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『ゾン100』の影響を受けて「死ぬまでにしたい100のこと」を書いてみた話

ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』をご存じだろうか。私はアニメ化されてからこの作品を知って、めっちゃくちゃ好きな作品に出会えたなぁと喜んでいる。漫画のほうも読みたい。Netflixで公開された実写化のほうも気になっている。

私はもともとゾンビものが好きだ。ゾンビに相対する人間というものは、生死がかかった状態で非・人間であるゾンビと戦うので、必然的に人間らしさが誇張して描かれる。心の醜い側面や命のはかなさといったテーマがよく出てくるので、そこらへんが大好物な私はついついゾンビものに引き寄せられてしまう。

『ゾン100』もNetflixのオススメに出てきて、「お、ゾンビものじゃん」と気軽に見てみた。その時点では全くあらすじを知らなかったのだが、一話を見ておどろいた。ゾンビもののストーリーの定型は、“幸せな日常”を描いてから“恐怖のどん底”に突き落とす。でもこの作品、逆なのだ。“クソ不幸な日常”がゾンビの出現によって“解放”に転換する。こんな構想よく思いついたな、と感動してしまった。

そして、その“解放”のシーンの描き方がめちゃくちゃ素晴らしい。アニメ版の色合い、スピード感、主人公の表情、ぜひ体感してほしい。いくつかの作品でアニメ制作会社の皆さまを思い浮かべながら手を合わせて拝んだことがあるが、この作品もついそれをやってしまった。

ゾンビものの主人公は、物語の軸になるために生き残らねばならない。一方で、主人公があまりに最強キャラだと「まぁ、おまえなら生き残れるだろうよ」とすこししらけてしまう。生き残れる理由はありつつも視聴者が身近に感じられる、絶妙なキャラ設定が必要だ。

その点でも、『ゾン100』の主人公・輝(アキラ)は素晴らしい。大学時代にラグビーをやっていたという背景から基礎体力の高さは推し量れるし、体育会系の神経が育まれているのでネガティブ思考になりにくいのも理解できる。ゾンビものの主人公、わりと恐怖や不安をばねに成長していく姿を描かれやすいんだけれど、輝(アキラ)にはそれが全くない。でも、ゾンビパニックに見舞われたからこそ別の意味で成長していく。それがまた、これまで見てきたゾンビものにない感動につながっている。

タイトルにもなっている“ゾンビになるまでにしたい100のこと”は、輝(アキラ)が綴るノートのタイトルだ。ゾンビが満ちあふれた世界で、輝(アキラ)は自分のやりたいことを一覧化するのである。「たとえ人生が明日まででも60年先まででも、やりたいことをするのにはあまりに短い」と、彼はゾンビパニックのなかで初めて悟るのだ。そしてゾンビの波をかいくぐりながら、自分のやりたいことをひとつずつ叶えていくのである。

「生きるってどういうことだろう」と改めて考えさせられる。これは、従来のゾンビものでもよく出てくるテーマだと思う。「ゾンビにおびえながら生き残っても意味がない」と絶望して自ら死を選ぶ人物もよく描かれるし、逆に「誰かを蹴落としてでも俺が生き残るんだ」と人間同士で不毛な争いを始めてしまうケースもよくある。ただし、いずれも「ゾンビになりたくない」という感情が根底にある。たいがい彼らは恐怖に駆られて人間性を失う。

一方『ゾン100』の主人公・輝(アキラ)は、「やりたいことをあきらめるくらいなら、ゾンビになったほうがマシだ」と考える。ノートのタイトルで“ゾンビになるまでに”と言っている時点で、輝(アキラ)は命を懸けて限りある人生を謳歌しようと決意している。その姿はじつに生き生きしている。

幸か不幸か私は今のところゾンビパニックに巻き込まれていないが、いつゾンビパニックが起こるかはわからない。それに、やりたいことをするには人生があまりに短いのは、ゾンビがいようといまいと変わらない。

そこで、思いたって“死ぬまでにしたい100のこと”を書き出してみた。輝(アキラ)とおなじように、ノートにボールペンで。だいたい40個くらいで、先に進まなくなった。なんでもチャレンジできると仮定しても100は浮かばないもんだなぁ。

書きだしてみて気付いたけれど、やりたいことというものは、自分のこれまでの人生で出会ったものからしか生まれない。例えば私は『着物を美しく着たい』って書いたけれど、これは椎名林檎の和服姿に憧れたからだし、『バイクを自分で運転してみたい』はパートナーが後ろに乗せてくれた経験があったから書けたことだ。つまり、現在進行形の人生のなかで幅広い経験、感動と出会えていなければ、そもそもやりたいという気持ちも芽生えないんだ。

ノートを閉じて、また日々が始まる。とりあえず私は、輝(アキラ)ほどスピード感はないかもしれないけれど、ひとつずつこれらをつぶしていこうと思う。そうしたらまた、新しくやりたいことができるんだろうな、と、久々に明日が楽しみになる。ちなみに「自分が好きなものに言葉で貢献したい」と書いたから、このnoteを書いた。これからもこういう「好きなもの」のことを言語化することは続けるぞ。

『ゾン100』ありがとう、と心から思う。そしてぜひこれを読んだ方にも『ゾン100』を観て、あるいは読んでほしいし、気が向いたら“死ぬまでにしたい100のこと”を書いてほしい。ちょっと人生が楽しくなると思うから。

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