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小さいオルゴール(530字の小説)


結衣ちゃんはもう直ぐ3歳になる女の子。
何でも興味を持つ女の子。

今日は不思議な箱を見つけて、目を輝かしています。
「ねえママ、この箱不思議だよ。蓋を開けると音楽が聴こえてくるよ。」

「そうだね、不思議だね。この中に結衣ちゃんよりも小さな人が
音楽を聴かせてくれてるのかも知れないね。」

と、ママは結衣ちゃんに夢を与えてくれました。
「この中に、小さな人がいるの?結衣ちゃんよりも小さな人がいるの?!」
と、結衣ちゃんは頭を捻ります。
…どんな人だろう?男の子かな、女の子かな。…
不思議に思う結衣ちゃんは、箱を逆さにして振って見ますが、
誰も出て来きません。
…何で出て来ないんだろう?…
結衣ちゃんに不思議な事がまた増えてしまいました。
「お兄ちゃん、この中に人がいるとママが言うんだけど、
振っても出て来ないの。どうしたら良いの?」

「本当に!! この中に人がいるの?」
と、お兄ちゃんは鼻水を手で擦りながら言います。

「よし、結衣待ってろ。お兄ちゃんがこの箱を分解するからな」
と、言って箱を壊してしまいました。
でも、中には誰もいません。
中学生になったばかりのお兄ちゃんは、
人が出て来ないのを見て、ガッカリしています。

結衣ちゃんは、壊された小さなオルゴールを見て泣いています。

#青ブラ文学部

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