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「共通の数字」によるコミュニケーションが、人と組織を強くする

フレックスや複業など、働く自由度が高まる一方で、「人と人が協力して何かを成し遂げる」という本質は変わりません。
管理会計は「イコール予算」として固いものだと思われがちですが、人と組織を強くするための、「シンプルだけれど大切なエッセンス」があります。

このnoteでは、会計事務所勤務や管理会計コンサルタントとして、小さな企業から一部上場企業の担当まで幅広い経験を積んできた筆者が、「共通の数字」によるコミュニケーションの大切さをお伝えします。

今回は概論を書きます。要点としては、

【管理会計の大切なポイント】
・現状を捉えることの大切さ(次回、書きます)
 =体重計に乗る
・同じフォーマットで語ることの大切さ(今回、書きます)
 =目線を合わせる

以上のような点を、簡単にお伝えできればと思います。少しでも、管理会計に興味を持っていただければ幸いです。


1. 筆者を簡単に紹介

※ここは飛ばしていただいても構いません。
まず、筆者がどのような経験を積んできたのか、簡単にご説明します。

大学で経営学を学んだあと、「地元でコンサルができる」ということで、地元にある、とある会計事務所母体のコンサル企業に就職しました。
しかし実態はほとんど会計事務所で、個人事業主から数億円規模の会社まで、決算業務を中心に担当しました。

その後、アメーバ経営のコンサルティングを行う企業に転職します。アメーバ経営については、検索していただければと思いますが、京セラ創業者の稲盛和夫さんが考案された仕組みです。一時期、JALの再生ということで注目されました。

それから私は、事業会社にて事業に携わりたいと思い、IT企業に転身。メガベンチャーで経営企画や新規事業(アプリ)の企画開発に携わった後、現在は上場を目指すITベンチャーで新規事業に携わっています。

事業会社に転じてから感じたことは、管理会計のエッセンスは普遍的であり、人や組織が強くなるには重要である、ということです。


2. 管理会計は「コミュニケーション・ツール」

詳細な説明はほかに譲るとして、簡単に言ってしまえば、会計は「財務会計」と「管理会計」の2つあります。

ここでは、「財務会計」は税務申告や公表用のもの、とだけ表現しておきます。

一方で、管理会計は、名前に「管理」がつくように、社内の管理ツールです。経営層だけでなくリーダー層が、ひいては現場の一人ひとりが組織を運営していくために有益な情報を提供する、というのが、管理会計です。

【ワンポイント】
財務会計:税務申告や公表用にまとめるもの。
管理会計:社内の「すべての人」に有益な情報を提供するもの。

ただし、多くの場合、管理会計は経営者やリーダーが管理するため「だけ」のツールになっており、現場の人々のツールになっていないことがあります。

しかし管理会計は、すべての人にその内容が伝えられてこそ、本領を発揮します。なぜなら、管理会計はコミュニケーションツールでもあるからです。


3. 管理会計で、目線を合わせる

管理会計「だけ」を見ると、そこにあるのは「数字」です。
会社、もしくは部署単位の売上や経費が記載され、最終的には利益(や赤字)を記載します。

肝心なのは、その数字の使い方、です。管理会計で導き出された数字を使って、どう会話し、どう議論するかということが、人や組織を強くします。

強い組織というのは、例えば、

【強い組織】
・能力が他の組織よりも長けている(=パワー)
・メンバーの方向性や足並みが揃っている(=ベクトル)
・変化への対応が早い(=スピード)

といった点が優れているのではないでしょうか。(もちろん、この他にもあると思います)

このうち、2点目と3点目について、管理会計は有効です。
数字に対する考え方を共有することで、組織における方向性や足並みを揃えることができます。
もう少し別の言い方で表現すると、管理会計によって、価値観や判断基準を共有することが可能です。

例えば、1つの事象において、上司と部下の考え方が相違する、ということがあるのではないでしょうか。

例えば次月の予算を検討していたとき、どうも広告費が予算を超過しそうだ、ということがわかったとしましょう。その時、

社員A:予算を超過するのはよくない、広告費を抑えよう。
社員B:超過してしまうが、今回は攻めるチャンスだ、アクセルを踏もう。
社員C:チャンスは逃したくないが、予算の範囲でなんとかできる方法はないか?
社員D:綿密に予算を組んだはずなのに、何が起きているのか?

このような色々な考えを持つかもしれません。社員Aが部下で社員Bが上司かもしれません。あるいはその逆かもしれません。
しかしいずれにしても、両者の考え方が違った場合、そこに会話が生まれます。そうした会話を通じて、考えが共有され、切磋琢磨されます。すなわち、管理会計はコミュニケーション・ツールなのです。

また、管理会計をもとに意思の疎通をはかり、常にPDCAを回すことで、変化への対応力を高めることもできます。


4. まとめ:管理会計で、組織を強くする

今回は、管理会計に関する概論をお伝えしました。抽象的なお話でしたが、少しでも興味を持っていただければ幸いです。

管理会計は、社内の管理ツールですが、決して経営層やリーダー層だけのものではないというのが、私の持論です。
管理会計を全員で共有することが、コミュニケーションを生み、組織を活性化させ、組織を強くします。

次回も引き続き、管理会計のエッセンスをお伝えできればと思います。


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