仇花

「おもしろき こともなく世を おもしろく」は高杉晋作の句だけどこれを言う人は高杉晋作以…

仇花

「おもしろき こともなく世を おもしろく」は高杉晋作の句だけどこれを言う人は高杉晋作以外は面白くない説

記事一覧

ブッダは最後にこういった。

ブッダというものはいない。 我々が普段目にし、拝むブッダとはブッダ師が創った彫刻か、ブッダレーターが創った絵である。 それは、ブッダではない。 ブッダとは、拝むヒ…

仇花
5年前

マジシャン・オブ・ブラックカオス

都会の駅前である奇術師が興行していた。 「パパ、すごいよあれー。」と腕白そうな子供が父親の手をひき、奇術師によってくる。 「見てくださいよー、ほら。このマッチ箱…

仇花
5年前

零点の青春に終止符を!

「津川、お前との長い戦いもここまでだな」 「ぬかせ、まだまだこっからよ橋本」 そういいながら津川の頭はここからどう下手をせず負けるか考えていた。 7回表、255-2…

仇花
5年前
3

五十路おっさん海に育

増税と買収の波が押し寄せ、私の会社が大規模なリストラをした。 国家や企業が国民を守る時代は終わったのだ。 「窓際の魔術師」と呼ばれ、30年会社でカバディしてきた。…

仇花
5年前
7

Blood - Execution =始まりの鮮血=

『純血というのは生まれた地から離れない、優秀な者達の中で育つんだ。 混血はその逆、地から離れた能力のない奴がさらに下等なのと交わって獣 になった奴。なんていえ…

仇花
5年前

ババアVSエスピー ~欲望の本能か遂行の理性か~

ピッ 「アンタら、アタシらと戦って無事でいられると思ってるのかイァ!」 ガラス戸を一枚隔てた前、体格のいいババア「明美」がスピーカーを持ち叫ぶ。 ピッ 「我々に…

仇花
5年前
6

とある英雄と友の伝記

「覚えているか、私が学生時代ペアを組んだ相手を。そうだ、私を小馬鹿にしたあいつだ。あれが今、私の伝記を書き、世間を騒がしたそうだ。」 そう語る彼の目は、30年前か…

仇花
5年前
2

破留浮手本チュウ震暗

トーキョー、ツキヂ。そこは鼠にとってまさに天国であった。 魚の切れ端や悪くなった魚が捨てられ、猫はこちらを向かず、掃除も居住区まではほとんどされない。水も魚の肉…

仇花
5年前
2

無色の異世界者

「ガ、ガァァ……」 ズズン……ッと二つ角の獣は倒れる。獣は地域で「双獣」と呼ばれ、最近街周辺での襲撃被害が報告された要注意モンスターであった。 しかし、一人の男…

仇花
5年前
1

スタチュード戦記

ーーーーそれはまずアメリカ合衆国、ニューヨーク市で確認された。 明け方、サムは奇妙な揺れと音で目を覚ました。ソファで酒を煽り、TVをつけっぱで寝ていたらしい。服は…

仇花
5年前
4

Monstrum Aurora

「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」そう、誰かが言ったらしい。 だけどそれは『生きた』から言えた事で、『死んだ』ならそう言えなかっただろう。 その二択を『問…

仇花
5年前
7

過去はまるで生き物みたく

ミーンミンミンミンミンジーッ…… ガタンッガタガタン、ゥォーン…… 耳障りな音と、繰り返される肩の揺れで、目を開けた。 赤錆の様な匂いが鼻をつく。 視界には、サンサ…

仇花
5年前
1
ブッダは最後にこういった。

ブッダは最後にこういった。

ブッダというものはいない。
我々が普段目にし、拝むブッダとはブッダ師が創った彫刻か、ブッダレーターが創った絵である。
それは、ブッダではない。

ブッダとは、拝むヒトビトのココロにインサイドし、涅槃もそこにセイムジョインしている。
だからブッダ壇のフラワーはヒトのココロに供えている。

もし、ブッダ彫刻やブッダ絵がトゥルーブッダであるならば
何故、我々はフラワーのバックをトゥルーブッダに供えるのだ

もっとみる
マジシャン・オブ・ブラックカオス

マジシャン・オブ・ブラックカオス

都会の駅前である奇術師が興行していた。

「パパ、すごいよあれー。」と腕白そうな子供が父親の手をひき、奇術師によってくる。

「見てくださいよー、ほら。このマッチ箱の中に丸いコインがありますね?これを閉じて開くとー……コインがなくなっちゃった!」

無邪気な子供はその光景をみて驚いている。
そこに、父親が小声で子供にいう。

「ハハッあれはね、二重底になってるんだよ。あの道具さえあればパパでもでき

もっとみる
零点の青春に終止符を!

零点の青春に終止符を!

「津川、お前との長い戦いもここまでだな」

「ぬかせ、まだまだこっからよ橋本」

そういいながら津川の頭はここからどう下手をせず負けるか考えていた。

7回表、255-2。帽子を直すふりをして虚ろな目でプレートを見つめる。

コールドゲームって何点差だったっけ、もうそろそろ差がついて中止にしてくれないだろうか。

きっかけは田中の一言だった。「強豪校がくるから地べたはいつくばらせようぜ!お前ピッチ

もっとみる
五十路おっさん海に育

五十路おっさん海に育

増税と買収の波が押し寄せ、私の会社が大規模なリストラをした。

国家や企業が国民を守る時代は終わったのだ。

「窓際の魔術師」と呼ばれ、30年会社でカバディしてきた。家族も貯金もない、身軽だ。

もはやこの国に私の生きる場所はない。

なので海に還る事にした。フフッ、母なる海よ。私の声を聞いてくれ。

できる事なら無事着水しエラ呼吸にならせたまえ、マンボウくらいになりたまえ。

そう願い、私は海へ

もっとみる
Blood - Execution =始まりの鮮血=

Blood - Execution =始まりの鮮血=

『純血というのは生まれた地から離れない、優秀な者達の中で育つんだ。
混血はその逆、地から離れた能力のない奴がさらに下等なのと交わって獣
になった奴。なんていえばいいか……そう、雑種。犬と同じ価値のない
奴等なんだよ。』
この工場で何度も見た奴の笑顔は、昔とは違っていた。

2025年、突如世界規模で謎の病原体によるパンデミックが起こり、世界の首都は壊滅した。
感染すると首の円周状に皮下

もっとみる
ババアVSエスピー ~欲望の本能か遂行の理性か~

ババアVSエスピー ~欲望の本能か遂行の理性か~

ピッ

「アンタら、アタシらと戦って無事でいられると思ってるのかイァ!」
ガラス戸を一枚隔てた前、体格のいいババア「明美」がスピーカーを持ち叫ぶ。

ピッ

「我々に護れぬ物などない。護れない時は、死ぬ時だ。」
通路の奥、FBIの厳しい試験を乗り越え選ばれた要人警護のスペシャリスト、コードネーム『ヘクトル』は室内放送で応えた。

ピッ

お立ち台の上、ヒョロ男が何かを呟き、300人のババアが前のめ

もっとみる
とある英雄と友の伝記

とある英雄と友の伝記

「覚えているか、私が学生時代ペアを組んだ相手を。そうだ、私を小馬鹿にしたあいつだ。あれが今、私の伝記を書き、世間を騒がしたそうだ。」

そう語る彼の目は、30年前から少しも変わらない。
大きな黒い瞳で、僕を射貫く。

「私に関わろうともしなかった奴に、何がわかる!」
彼は唸る様に拳を机に叩き、僕の体を震わせ、こう続ける。

「我が友よ、私を知るただ一人の友よ。
 私の事をもし、書ける者がいるなら、

もっとみる
破留浮手本チュウ震暗

破留浮手本チュウ震暗

トーキョー、ツキヂ。そこは鼠にとってまさに天国であった。

魚の切れ端や悪くなった魚が捨てられ、猫はこちらを向かず、掃除も居住区まではほとんどされない。水も魚の肉がまじり得も言われぬ風味を醸し出す、養老の滝なる美味であった。

冬に寒くなる事を除けば鼠達のホームタウンなのだ。

しかし、そんな鼠の故郷が脅かされた。元凶はわかっている、クイケのせいだ。だが鼠達は元凶がわかれど、圧倒的戦力差を前に愚痴

もっとみる
無色の異世界者

無色の異世界者

「ガ、ガァァ……」

ズズン……ッと二つ角の獣は倒れる。獣は地域で「双獣」と呼ばれ、最近街周辺での襲撃被害が報告された要注意モンスターであった。

しかし、一人の男がその前にたち、剣を振ると一瞬で二つの角が中心でパックリと分かれた。

「お、おぉ……」と襲われた商隊の長は感嘆の声を漏らす。

「誰か知りませんが、すごいお方じゃ。あり……」と、長は礼を言おうとした。

しかし、それを男が手で制す。そ

もっとみる
スタチュード戦記

スタチュード戦記

ーーーーそれはまずアメリカ合衆国、ニューヨーク市で確認された。

明け方、サムは奇妙な揺れと音で目を覚ました。ソファで酒を煽り、TVをつけっぱで寝ていたらしい。服は昨日のままだった。

「ファック!ジャパン地震がここまできたか!それともゴミ収集車がうちのアパートに突っ込みやがったか。」

彼は寝ぼけ眼で罵り、何が起きたか確認する様に窓を開けた。

窓を開けると、目に飛び込んできたのは一面の緑の光景

もっとみる
Monstrum Aurora

Monstrum Aurora

「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」そう、誰かが言ったらしい。

だけどそれは『生きた』から言えた事で、『死んだ』ならそう言えなかっただろう。

その二択を『問題』とした時点でそいつは『生きた』し、『生きたがり』だった。そもそも、感じた話では『どっちの方が気高いか』という自身への問いかけらしい。

なんて贅沢な悩みなんだろう。『気高さ』のために『生きながら』にして『生』と『死』を天秤にかけてい

もっとみる
過去はまるで生き物みたく

過去はまるで生き物みたく

ミーンミンミンミンミンジーッ……
ガタンッガタガタン、ゥォーン……
耳障りな音と、繰り返される肩の揺れで、目を開けた。
赤錆の様な匂いが鼻をつく。
視界には、サンサンと音がするかのような日を灯した窓と
古ぼけた、派手好きの女性が赤ワインをこぼした様な色の座席。
それに、垢塗れの黄ばんだつり革が写った。

「……そうだ、うっかり寝ちゃって」

ぺりっとしたのりの様な口元を拭い、しわのついた紺色のスコ

もっとみる