見出し画像

生産イノベーション講義より

トヨタ生産方式から学ぶ

とても有名なトヨタ生産方式
いまやこの考え方は、工場のみならずあらゆるビジネスの分野において「生産性」を向上させるために用いられているのではないでしょうか。

そんなトヨタ生産方式の2本柱が「自働化」(にんべんの「働」)と「ジャストインタイム」⇒つまりは、「徹底したムダの排除」というわけですね。
詳細については割愛しますが、「工場」にはたくさんの機械があって、それらを動かすための電力や多くの作業員がいて成り立っています。また広大な工場であればそれだけの固定資産税なども必要になります。
つまり、「工場」は固定費の塊みたいなものなのです。

なので、「工場」でのモノづくりを効率的に行い生産性を上げて、さらにはその製品を売って、利益を出すまでのサイクルを管理する仕組みが必要なのです。

もっとわかりやすく言えば、「工場」を持つ以上、何もしなくても固定費分が毎月おカネとして流出(=赤字)するわけですから、「工場」をフル稼働させて、どんどん売って利益を回収しなければならないのです。

ところが、逆に売れる以上のモノを作っても今度は過剰在庫が生じ、それが売れなければ結果的に損失となるわけです。
このあたりの調整がとても難しいですね。

こうした問題点や課題をトヨタは長年の歴史の中で克服し、今のトヨタ生産方式を確立させたんですね。

費用をコントロールする

「売価を決めるのはお客様。お客様は価値に見合った金額しか払いたいと思わない。だから売上はコントロールができない。」という考え方が根底にあります。
よって、「費用をコントロールしなければならない。」というのがトヨタ生産方式の生みの親である大野氏の考えなのです。

トヨタの工場では、工場内のどこか1か所のラインで不具合が生じたら、一斉に全体のラインがストップするそうです。(自働化)
その理由の根底には「不良品を徹底的に排除する」という精神が宿っています。つまり、不良品を作ってもカネにならないという意味なんですね。

また、「売れないものを作るのはやめよう。」「作ってほしいといわれたら作ろう。」という考え方も過剰在庫、仕掛在庫を極限まで減らすための工夫なのです。(ジャストインタイム)

顧客価値の提供

トヨタがこれほどまでにムダの排除にこだわり続ける理由
それは「顧客価値」を生み出せるのは「正味作業」だけであるという考え方があるからなんですね。
「顧客価値」それはどのビジネスにおいても最も大切なものですよね。

日常生活でモノを選び、購入するという行動の根底には、そのモノを金銭を払ってでも手に入れる価値があると私たちが認識しているからなんですね。そして、その認識してもらえること自体が「顧客価値」となるわけですね。

顧客価値を生み出す工場って?


ここで、ある大規模工場において、最先端のガラスを切る機械を導入したというお話をします。
この機械導入担当者は、「これで生産性も上がる。長年の課題が解決できる!」と意気込んでいました。
そんななか、ある日トヨタの工場の管理者がこの機械を見学に来ました。するとじーっと機械の動きを見つめていたトヨタの方が発した言葉が、「この機械、全然仕事していないな。」
担当者は思わず「エッ?ちゃんと動いているでしょ?」と言ったそうです。
するとトヨタの方が、
「ローラーコンベアの上をガラスが流れてきて、裁断機の下でストップして、刃が下りてきてガラスを切る。じゃあ、この機械は何秒仕事しているの?」といった事を仰られたようです。
つまりトヨタの方が言いたかったことは、
「切る」という価値を生む部分にどれだけ時間を要しているか?
ローラーの上をガラスが流れてきて、裁断機の刃の下に到着するまでの時間は「価値を生まない=ムダな時間」でしょ!ということだったようです。

この話には私も驚きました。
「切る、曲げる、穴を開ける、接合する…」と言った、直接的にモノを加工する作業以外は極論的には「ムダ」な作業なんだとトヨタ生産方式では言われるんですね。

ここで、工場がモノを作っていない時間=価値を生まない時間=ムダ とはどんな時間を指すのでしょうか?具体的事例で見ると以下のようなものが挙げられます。

①負荷ロス
朝礼(1日のパフォーマンスを上げることでロスを回収できる可能性もあります。)、清掃、棚卸、QCサークル(自分たちの作業改善によってロス回収できる可能性もあります。)
上記の例は、いま回収できるものではないからロスと呼ばれます。
②設備ロス
材料待ち、指示待ち、故障、切替など無くしていくべきもの
③速度ロス…ウォームアップ チョコ停など
④編成ロス…手持ちの発生
⑤不良ロス…不良、やり直し

工場における3つのマイナス要素(おさらい)


1、ムリ=能力<負荷 
残業によって能力不足分をカバーすれば、時間単位の労務費は約25%アップするけど、実質的にはその半分くらいしか回収できない。

2、ムダ=能力>負荷
生産量が減る=1個当たりの固定費が上昇し、利益が減少する。

3、ムラ=ムダ・ムリ・ムダ・ムダ・ムリ
これが最悪。発生源は最初の小さなムダから始まる。
例えば「さあやるぞ」と始めた途端、機械が停止する。そこで1時間ロスする。(ムダの発生)
作業時間が短くなると「ムリ」が生じる。手順相違、やり直し(ムダ)
最初の小さなムダを見つけることの重要性が高まる。
 
今回はトヨタ生産方式からみた工場の在り方について、講義録から抜粋してまとめてみました。
ありがとうございました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?