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定点カメラで撮影した映像を、半日流しっぱなしにするという企画は大ヒットした。

 「スローテレビ」をご存じでしょうか。
 ノルウェー放送協会がベルゲン線の運転席から見える風景を7時間に渡って放送したのが現在のスローテレビの始まりと言われています。
 定点カメラで撮影した映像を流しっぱなしにするという企画は大ヒットしました。
 そのシリーズで印象深いのは、暖炉を撮影した映像です。
 Netflixでも放送されました。
 暖炉に薪がくべられ、火をつけ、燃え尽きるまでを放送しています。
 この企画が注目された理由は、SNSなど他のメディアに暖炉の状況を上げるユーザーによるところが大きいと思います。
 暖炉の薪が崩れて火の粉が飛ぶと、驚きの声が書きこまれ、細かな変化を見逃すまいと誰もがテレビに釘付けだったのです。
 この企画はとても現代的なコンセプトだと思います。
 同様の趣旨の現代アートの多くとは違い、具体的に世の中に強烈なインパクトを与え、人々を動かす力を持っています。
 映像を意図的なメッセージと捉えるのではなく、徹底的に表現しようとする意志を排除したのです。
 そして世界中に衝撃を与え、一つのジャンルとして確立したのです。
 ここには「自分なりに感じ取ってくれればいいのです」という無責任とも取れる思想はなく、とても自然で嫌味のない情報発信の方法を気付かせてくれました。
 スローテレビを見てから、スペインのバルの公開監視カメラを見ると、スペインの生活の息吹を感じてとても魅力的に見えました。


「利益」をもたらすコンテンツは、すぐに廃れます。 不況、インフレ、円安などの経済不安から、短期的な利益を求める風潮があっても、真実は変わりません。 人の心を動かすのは「物語」以外にありません。 心を打つ物語を発信する。 時代が求めるのは、イノベーティブなブレークスルーです。