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読書感想文 「幸せをお金で買う」5つの授業 所有と経験で幸せを語る

「幸せをお金で買う」5つの授業を読んだ感想を書いてみたい。この本は前にnoteの記事にした「幸せ」について知っておきたい5つのこと の中に出てくる博士の一人が書いたものだ。前の記事はこちら


前に書いた本と重複する部分も多い。ただもう少し多くの説明が書かれている。お金と幸せについて書いている。もう少し言えばお金の使い方の問題だ。世の中にはお金をいかに稼ぐかという本はたくさんある。他にも、いかに仕事を善くするにはどうしたらいいのかという本もある。でもこの本はいかにお金を使うのかということを書いた本だ。どうお金を使えばより幸福が増すのかという疑問に答えるための本だ。

初めに書かれているのが物よりも経験を買えということだ。高い買い物の代表である家を買うこと、自動車を買うことが上げらている。宝くじに当たったら何を買うかという質問に、家を買いたいという答えをする人は多いと思う。実験結果とかがいろいろ出てくる。それによれば高い家に住んだとしてもほとんど幸福度には貢献しないとある。これは年収と幸福度が相関しないということと似た感じだ。人間はなんにでもなれてしまうという性質ゆえだと思う。

人間の性質であって、合理性があるかどうかを持ち込んでも仕方がない。見慣れたものは評価しないという人間の性質は、失って初めてそのものの大切さを知るということからもよくわかる。これは大事なことを指摘している。

物を買うというのは所有するということであって、経験は所有とは違う構造を持っている。所有はいつでも使えるということを意味している。便利ではあるが、逆にそのことに慣れてしまう。いつでも使えるということは、使用に驚きはなくなる。この本では慣れてしまうことに対して、ご褒美化や制限をかけるという、一見無駄なことをすることを考えている。

制限をかけることによって、使用に新たな驚きを与えようとする。この延長線上に所有ではなくシェアも考えている。ヨットを所有するには多大なコストがかかる。そこでシェアを考える。ヨットをシェアすることによって予約したりする手間がかかるし、思い道理に予定を立てられないことも生じるが、かえって制限になり刺激になるという。

これらは工夫であり、何かを求めて所有することとは異なる。幸福度をあげようとするなら、こういう工夫も必要になる。逆にいえば人間をもっと知ることによって、幸福度は上げることができる。そのための言葉として、所有よりも経験を、希少性をどう取り戻していくかも問題になる。希少性とは稀なこととも言い換えることができる。経験とは決して安くはない。旅行を考えればわかる。でもいつでも生きている限り経験しているとも言える。その経験の希少性を、慣れの中からどう取り出していくかの感性が問われる。

希少にする工夫も必要だ。良かったことを書き出してみるというのもそういう工夫の一つと言える。人間はひとりひとり違うのでこれがいいとはいえない。アニメを見ていれば幸福という人もいるでしょう。アニメも一気見するより一週間ごとに待たされる方が楽しみは増える。慣れに対するこれは焦らしであり、楽しみの遅延だ。

人間の文化とは焦らしや遅延をわざとつくることをしている。無駄なことに見えるが実際には大きな意味がある。無駄なことの意味をもっと積極的に語る必要がある。合理性とは違う付加価値なのだ。

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