見出し画像

穴と暗闇と母との関係について


これからお話することは
「一瞬」の夢から始まった、
穴と暗闇と母との関係についてのお話。



数年前、おそらく真冬のある日
いつかの深夜バス

浅い眠りの中で、果てしなく深い暗闇の穴に落ちる
「一瞬」の夢を見た。

私は引力に吸い込まれるように
足元にある、先の見えない大きな暗闇の穴に吸い込まれそうになっていた。
ブラックホールのような深い空間に包まれ、私の非力な抵抗も虚しく
私の身体は半分、吸い込まれ連れて行かれそうになっていた。
その瞬間、最期、穴に落ちるとき、
ある言葉を咄嵯に声に出して叫んだ。

実際に声に出していたようだ。
深夜バス中に私の「お母さん!!」

という声が響いたと思う。
言葉を発した直前かその直後、
自分の声で目が覚め起きた。

落ちる瞬間の、恐怖の中
余地もなく咄嗟に出た「お母さん」という言葉。


夢のあと、穴に落ちる恐怖の感覚をジリジリと思い出し
起きてしばらく呆然としていた。

無意識に助けを求めて出た言葉について
最近になって数年越しに思い出したのであらためて考えた。

「お母さん」
「母」
「ママ」


「母」について


この言葉が何を意味しているのか
実際の肉親の母親の顔が浮かんだかどうか、は思い出せない。

おそらく「母」という概念の像として
かつて胎盤を通して一人の身体からもう一人の人間が生まれるということ、
身体が覚えている肉体の記憶、それが心に染み付いているのかどうか。
母と子の関係性のことを想像した。

「母」と「子」の関係について思うとき、
私はいつも宇多田ヒカルをよく思い出す。

彼女の言葉で心に残っているのは、楽曲「初恋」について
「誰しもが最初の初恋の相手というのは母親であり
この歌は母を歌った」ということ。
不思議と彼女の曲を聴く時、歌詞の「あなた」という呼び名全てが
母親を言っているように感じ、そのつながりを想ってしまう。

宇多田ヒカルの母親 藤圭子さんがお亡くなりになり、
その数年後に出した「Fantôme」というアルバムは、
彼女が彼女にへの思いが強く出ていて、深く美しく悲しくもある。
その「Fantôme」アルバムの曲の一つに「道」という歌がある。

以下、歌詞を抜粋

私の心の中にあなたがいる
いつ如何なる時も
一人で歩いたつもりの道でも
始まりはあなただった
It's a lonely road
But I'm no alone

どんなことをして誰といても
この身はあなたと共にある
一人で歩まねばならぬ道でも
あなたの声が聞こえる
It's a lonely road
But I'm no alone

私の心の中にあなたがいる
いつ如何なる時も
どこへ続くかまだ分からぬ道でも
きっとそこにあなたがいる
It's a lonely road
But I'm no alone

歌詞-歌ネット 宇多田ヒカル「道」


母の声、怒られたこと褒められたこと、
この歌詞と同じように私の身に染みついた、後天的な時間の思い出が
面影のようにじんわりと思い出す。
肉体の記憶と脳の記憶。

私が認識しているのは肉親としての「母」としての思い出だけだが
もしかしたら人間の象徴としての「母」というものも存在するのかもしれない。
ここで「母」という言葉をいくつか調べた。

【母】
①はは。ははおや。「母堂」「賢母」対父
②親族の年長の女子。「伯母」「叔母」
③母がわりの女性。うば。めのと。「乳母」「保母」
④物事のもととなるもの。「母型」「字母」
⑤帰るべきところ。ねじろ。「母港」
⑥出身地。「母校」「母国」

漢字ペディア


「母」とは本当の肉親であるかもしれないし、
人によってはそうでないかもしれない。

私が言えることは、
「母」とはきっとそれが無意識に根深く絶対的に、
人の心に存在しているかもしれないということ。
生の道しるべのような、広い海のような存在かは分からないが、
絶対的なものとして、それに近しいものが象徴としての「母」はいるのであろう。


穴と暗闇と母について


先日noteでも書いた清滝トンネルで感じたことについても
通じるものがあるのではないかとも思っている。


暗闇、つまり比喩として死の恐怖というものは
紙一重に生へ転じる快として存在していて、
その深い穴の中には、生の象徴としての「母」がいつもそこにいるのではないか。
それが私がトンネルで恐怖のなか感じた、心地いいという感覚。
もしくは子宮の中にいた記憶、残像。
たった一つの細胞でのときの、生きようとする固まりだった源。
この魂に刻まれているものは、肉体から始まった記憶が原点なのか、
そこまでこれから辿ってみたい。


以上
「穴と暗闇と母との関係について」






エピローグ

そもそもこの話を思い出したのは、
職場の方が机に突っ伏して昼寝をしていたとき、
軽く叫んで自分の声で起きびっくりしていたのを見て、
嗚呼自分も同じことたまに同じようなことあったなぁと。
それでたまたまこの夢の話を思い出し、
振り返ってみようと思ったのがきっかけです。
話が少し飛躍してしまった気もしますが後で見直して違和感あれば見直したいと思います、思うことには○も×もないはずなので。

また、ここのnoteで綴っているのは
誰にも話したことのない私のノンフィクションで、
とても個人的な内容にも関わらず
最近知人の方から感想をいただいたことがあり嬉しい限りです。


いつも最後まで読んでくださりありがとうございます。
またいつか。




yama utau
yamaura ayano

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?