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センセイの授業準備 三色ボールペン

塾講師だったころの思い出を細々とつづっています。

授業準備の準備、テキストに答えを書き写す「写経」、答えの根拠を探し蛍光ペンで線を引いておく「線引き」を終えた後、ついに本当の授業準備に入る。
授業で実際にホワイトボードに書く板書案と解説を考えるのがここでの仕事であり、最も時間のかかる部分だった。

板書の流れはだいたい以下の通りだ。
問を簡潔に書く
注目すべきポイントを書く 例:逆接に注目、指示語に注目…など
逆接があるならその後の文、指示語があれば指示語が指す文を書く
答えの根拠になる文を書く
足りない部分を肉付け
最後にどの問題にもあてはまる普遍的なキャッチコピーを付け足す 
例:逆接の後に主張あり!、指示語の後にヒントありすぐに前を見ない!…など

もちろん肉付けが必要なかったり、ポイントを書くだけで済むような問題もあるのでそれらはテキストにちょちょっとメモ書きを残すだけにとどめる。

詳しく板書を考えるとき、私は三色ボールペンを使っていた。いろいろな物を使ったが、試行錯誤して書いては消すを繰り返すこともあるため、最終的には消せるボールペンを愛用した。

重要部分は青で、矢印や目立たせたい記号などは赤、それ以外は黒と実際にホワイトボード上に書くままの色で、テキストの開いているスペースに器用に小さく書いていった。一生懸命考えても、授業直前に見直すと、もっと簡単に根拠にたどり着けるじゃん!と気づいて全て書き直すこともあった。

時間をかけて解説を考えても、生徒たちのできが予想よりもよく、ほとんど書かずに問いかけだけで終わることもあった。それでも心配性の私は毎週毎週せっせと三色ボールペンを走らせたのであった。

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