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大正一二年の魔法少女『忍術漫遊 戸澤雪姫』

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大正一二年に書かれた魔法少女の物語『忍術漫遊 戸澤雪姫』を公開しています。今でいう漫画やラノベにあたる存在です。当時の挿絵も貼り付けつつ、各章の最後に解説もつけておきます。
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Kindle 本にしました

解説がまともになり、少しだけ誤字脱字が減っています。

山下泰平
2年前
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大正一二年の魔法少女『忍術漫遊 戸澤雪姫』解説

「忍術漫遊 戸澤雪姫」をノートに掲載していくにあたって、概要と解説を書いておきます。全20…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その1 『雪姫の生い立ち』

今回は風変りな忍術談を紹介する事にする。 何時の世にも悠悠と天下を闊歩し、弱者を助け、強…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その02 『乱暴者』

雪姫と乳母は顔を見合せてニコッと笑い、 道「お姫様、大した腕前でございます。モウこれなら…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その03 『廓通い』

ところが此処には喧しく云う者が誰もいないから、二人は結局良いことにして、 雪「乳母やお出…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その04 『忍術修行』

ある日、虎若丸が別荘に尋ねて来て、 虎「雪姫、その方は毎夜男の姿になって柳原の遊廓に立ち…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その05 『山賊の来襲』

さてその翌朝になったが、乳母のお道の病気は直らなかった。そこで出立をすることは出来ない。その日も仕方がないので頼んで厄介になり、翌日を待ったが、お道は熱が出て起きる事が出来ぬ。主人も奉公人も旅の女を哀れんで親切に世話をしてくれるから、雪姫も喜んで、介抱に手を尽し、隣村の医者を迎えて診てもらうという始末、お道は手を合せて、 道「お姫様、すみませぬ。私がお姫様にご介抱をして頂くとは勿体のうございます」 雪「アア乳母や、心配おしでないよ。主従はお互いだよ。私がまた何時病気になる

忍術漫遊 戸澤雪姫 その06 『神出鬼没』

頭「コリャコリャ早くしろ。金はいつでもさらえる事が出来るが、これは序でだ。本来の目的は当…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その07 『盗賊二人』

#それよりだんだん備前地へ入り込み 、三石という所へ来て宿を取った。なにしろ女巡礼が二人、…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その08 『また失敗』

権「オヤッ、これはおかしいぞ。俺の胴巻がない。落す訳もないし、布団の下に入れておいたのを…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その09 『偽せ雲助』

間もなく日も暮れて、月はまだ出ない。折柄通った一挺の駕籠、辻堂で人の気配がするからノコノ…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その10 『果たし合い』

乳母のお道も平気なものだ。言わるるままに探し歩いて御飯を夫れへ持って来る。二人は一七人の…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その11 『芸州屋長兵衛』

すると先刻より宿屋の前に佇んで、様子を見ていた一人の男、 男「エエモシ御婦人」 雪「ハイ…

山下泰平
5年前
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忍術漫遊 戸澤雪姫 その12 『敵(かたき)の手掛り』

素破こそ一大事と、老女は老体を打ち忘れて、駆け出して行く。夫と見た雪姫は、静かに、 雪「皆様、お騒ぎ召されるな。御城内で狼藉者とはさても合点が参りませぬ。お前様方は奥方のお側を御守り申していられよ」 と、言い様立ち上がって、小妻キリキリと取り上げ、廊下をさして小刻みの爪先走り、雪姫は廊下へ出て、佶(キッ)と向うを見ると、白刄を提げた大の武士が、相手欲しさに刀を振回しては、面白そうに廊下の柱を一々斬りつけて居る。 雪「オヤ、掟厳しき御錠口を破って入り込み、暴れるからは狂人