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憧れの地へ!

みなさん、ご両親や学校の先生に「田んぼには勝手に入ってはいけません!」と言われた経験、ありませんか?私はあります(笑)。

田んぼって見かけることはあっても、その中に入ったことがある人は少ないはず。幼少期は田んぼの周りに集まる生きものを見て、触れたくて、でも入れないから外からじっと見つめてオタマジャクシやカエルを一生懸命探したりしてました。

夏になれば用水路にザリガニが、ため池にカメが。幼少期の私にとってはたんぼは楽園に感じました。でも残念だったのが、入ることが許されなかったんですよね。私は。

学校行事で田植えをする学校もあるそうですが、もちろん全部の学校ではないでしょう。私が通った学校では、それぞれがバケツで稲を育てました。今もやっているのか気になるところです。

さて、今回そんな私の幼少期に思い描いていた「田んぼに入る」という思いが、念願叶って入ることができたんです。その田植え体験を通して感じたことや、やってみたことを記事にしていこうと思います。拙いですが、ぜひ見てくださるとうれしいです。

今回お邪魔したのは、度々登場しているお米と椎茸を房の駅に卸してくれている、生産者さん「根本さん」のお家。房の駅オープン当初からお世話になっている農家さんなので、今までの繋がりが長い農家さんでもあるんです。

今回お世話になった根本さんご夫妻。

前にもちょこっと説明していますが、根本さんの育てるお米は「音信米(おとずれまい)」といって献上米として選ばれたこともある、すんごいお米なんです!

根本さんの音信米。房の駅でも大人気!

千葉県は温暖な気候から、田植えを4月下旬ごろから行います。その田植えをスタッフだけで、実際に体験してみました!まずは、体験前に根本さんのお家にご挨拶に。出迎えてくださったのは根本さんの奥さま。優しく明るいいつも笑顔のお母さんです。いつもスタッフ1人1人に声をかけてくださるので、とても馴染みやすい生産者さんでもあるんです!

私たちの持ち物や姿をみるやいなや、「ゴム手袋はある?」とか、農作業を体験するにあたり、スタッフたちを心配してくださるような気遣いをいただきました。

「大丈夫ですよ!そんな気にしていただかなくて。」

と細やかな気遣いに感謝しながらも、「持ち物にゴム手袋なかったけど必要なのかな?」とか、心の中ではこれから経験するであろう未知の世界の妄想が勝手に膨らんでいってしまう気もしました。

そして田んぼに出ていた、ご主人の泰弘さんが戻りご挨拶。根本さんご夫妻は、お二方とも大らかで優しい方。そして今日が無事に晴れてできることを、とても喜んでくれていました。

少しの談笑を楽しんだあと、早速「田んぼに向かいましょう!」という事になり、車で3分ほど移動すると、そこには遠くのほうまで、見渡す限り田んぼが広がっていました。到着して車から降りてみると、田んぼ一つ一つの大きさを実感します。実際に植えるのは田んぼの一部、4列くらいですがその4列でも今日終わるかな…と不安になるほど長い…!

「まぢか。これは、本気モードだな。」

最初は「おっと。」という、その長さにしり込みをしそうな感じだったけど、そんな気弱になることよりも、幼少期のときの思いからかワクワクした感じが、私の中から沸き起こる方が勝り、気がつけば「よし、いくぞ!」という気持ちに切り替わっていました。

そして田んぼの脇で長靴に履き替え、いざ体験かと思いきや「長靴の長さが足りなそうだから、裸足でやった方がいいわ」お母さんに言われてしましました。脹脛くらいの長靴だと、深いところにはまると中に入ってしまうそう。

ひざ下くらいの長さのものは大丈夫らしいのですが、目の前にしてみる田んぼは、水面から見える土までの深さは、そんなに深そうに見えず、むしろ土が水面にひょっこりと顔を出している部分もあったりするので、なんだか不思議な感覚を覚えました。

楽観的なわたしは、目の前に見える自分の感覚だけを信じ、持参した長靴の長さから、そのまま長靴で行うことにしましたが、ちょっと後悔することに…その話はのちほど。

足元の準備が整ったところで、田んぼの脇で根本さんのお母さんから各人苗を渡されて持ってみました。稲は一つのトレーにびっしりと根を張っていて、トレーから外して持ち上げてみると、見た目ほど重たくもなく、むしろ子どもも持てるくらいの重さかな。と感じました。

「意外と、軽いなぁ。」

とその場での印象を口にすると、根本さんのお母さんが「後からつらくなるから、気を付けてね。」とのこと。その一言で「長時間同じ位置で持ち続けたら確実に筋肉痛になるやつだ、この重さは。」と、田んぼでの姿勢を考えた時を冷静に考えることができたので、あの一言をいただけたのは本当にありがたったなと、今更ながら思いました。

これでも半分くらいの大きさにしてもらった苗

稲の苗は実際間近で見てみると、野菜などの苗とは違い1株1株がくっついて板状(?)になっており、なんだか背の高い芝生みたいに見えました。裏をひっくり返すと真っ白な根がびっしり!

境目なんかもわからなくなっていて、裏からでは1株を認識できないほどに根が張り巡らされていました。触った感じもボロボロに崩れずにしっかり1枚になっているのには、さすがに驚きました。

根っこがびっしり!

この苗の中から3本~4本取って、植えていくんだそう。試しに1株取ってみると、根っこだけ残ってしまいました。それだけ頑丈に根同士がくっついていて、上の部分だけ持って取ると根っこが残ってしまうようだ。根本さん曰く、この根っこが大事なんだそう。

これから植えるのだから、たしかにそうだと一人納得。そして話をしていてくれた通りに、根っこまで割るようにとるのは結構難しく、強く引っ張らなければ取れないし、気を遣わなければボロボロになりそうな程に、フワッとした感覚の苗に、正直戸惑いしかなかった。意を決して、勢いよくブチブチブチブチと音が聞こえると、大丈夫なのかちょっと不安にもなった。

ちょっとドキドキしながら根っこの方を持って、ブチッと取ってみると根っこもしっかりついた状態で取ることができたが、考えてみればまだ田んぼに入ってもない状態だったので、田んぼの中でこれができるのだろうかと、不安が増していくばかりだった。

苗の植え方をレクチャーするために、先に根本さんが田んぼに入っていって説明をしてくれました。みんな脇から根本さんが実際にやるのを、しっかりと見つめながら聞いていました。

最初に説明された通りに、3本ほど取って植えていく。そして根本さんがあらかじめ機械で両端を植えてくださっていたので、その間隔に合わせて植えていく感じでやれば良いよ。と説明していただいた。そして植えたら、ちょっと土をかぶせるように根本をきゅっとつまめば完成。

「ほら、大丈夫だからやってみな!」

その声に、みんな自分の持ち場に向かって移動開始していった。

「やっと、入れるんだ!」

と思うと気分が上がって、ちょっと小走りに。不安もあるけれど、やはり楽しみの方が強く、疑問や不安をすぐに忘れてしまえるのも、私の長所でもあり欠点でもあることを、今更ながら再認識。そして無鉄砲に走りはじめた畦道は意外と柔らかく、足がとられたりしてしまった。ここも柔らかいのには、正直驚いた。畑の脇とは違うなと感じました。

私は持ち場についたが、ドキドキでなんだかためらってしまう。入る前の準備とかないのかな?スタッフたちが各々入り始めているのを見て、いざ憧れの地へ!

「ザブンッ!」

と勢いよく踏み出したら、さっそく一歩目から深すぎて長靴がハマってしまう。地面と思っているところからかなり深くいくので一歩目はきっと入った人は驚くと思う。目の錯覚なのかと思うくらいには衝撃があった。

ズボッとハマった足元に驚いた私。

すでに植えてある苗を避けようと、次の一歩を大きく踏み出してから気が付いた。大股で歩くと、はまった時ほとんど身動きができないと…!

あとは倒れるか誰かに支えてもらうしかない。地上と同じ感覚で進むと戻れなくなってしまう。そして足元が不安定の中、苗を植えていかなくてはならない。憧れの地は、結構過酷な地へと変わっていくのを肌で感じる事となった。そして、さらに周りを見てふと思った。

「裸足の方が、なんか動きがスムーズでは?」

長靴を履いている私は、泥に足を取られて足が引き抜けないことが多々あった。それに比べて裸足は割とすんなり足が抜けるのである。足が抜けずにドタバタした結果、一人だけ異様に泥だらけになってしまうなんて結果に至りました。

足が抜けないと、こんなポーズをとったりすることができます。

「やるときは裸足の方がいいのかもしれない」とちょっと後悔をしました。そして最初に、根本さんのお母さんが言っていたゴム手袋の必要性がやってみてわかった。爪の間に細かい砂がたくさん!

汚れたくない人は確かに、あると便利です。

泥だらけ最終形態。

苗を植えるべく、田んぼに手を突っ込んでみると、意外と水は冷たくなかった。さらに言えば、中の泥も冷たくない。温水プールまではいかないが、それなりの温度を感じる事ができたのが、何だか心地良く思えた。

調べたところによると、田植えにはだいたい10~25°Cくらいの必要なんだそう。温水プールが、だいたい25~30°Cだから田んぼのお水は、温かいはずだ。千葉県は比較的温暖な地域のため、温度が上がるが早く田植えも自然と早い。そして収穫も早いのだ。

何個か植えたところで、「ふーっ!」と一休みしつつ、前を見たときにちょっと絶望した。

「あれ。すごく曲がっている…!?」

あんなに横を確認しながらやったのに!と思ったが、後で根本さんに聞いてみたら、「近くを見ていると、曲がりやすいんだよ。」と教えてくれた。

だから、田植えをする時は、なるべく遠くを見ながらやるときれいになるのだそう。まあ人の手で植えた感じがあって、曲がっているのも味がある気がする。うん。収穫時も問題ないそうなので、勝手に良しとすることとした。

見えますか?この曲がり具合。

話はかわりますが、田んぼの周りにはたくさんの生きものがいて、子どもの頃に夢見た「水の中の生き物と戯れる。」そんな時間も楽しむことができました。

オタマジャクシが田んぼを泳いでいたり、アメンボがいたり。畦道にはカエルやカナヘビが。今回の体験でもいろんな生きものに遭遇!これもなかなか楽しい。名前のわからない虫やカエルと触れ合いました。

よく見かけたカエル。ゲコッ。

今回の体験はただ苗を植えているだけだが、「すごく楽しい!」という感覚がありました。憧れがあったのももちろんでしたが、慣れない田んぼの中で、どろや水の感触、さらにはカエルや鳥の鳴き声、すごいロケーションだったと思う。

また田んぼから見える景色も、新鮮で面白い。歩いている人も通り過ぎていく車も、田んぼの中から見ている視点はなかなか得難いもの。自然の中にいるのを感じるし、泥の感触は童心にかえる感覚があった。

体勢はきついけど、それよりも楽しいが勝るんだから農業体験は素敵だと思う。もちろん私たちは楽しいの範囲で終わっているからだと重々承知しているが、新しい体験に心が躍るのは誰もが持つ感覚だと思う。この感覚が癒しであったり、ひらめきだったり自分の中に素敵な影響を与えてくれているとそう思う。

私が今日感じた事とまったく同じではなかったとしても、この充実した時間をより多くの方に体験していただけたら。本当に、そう思える時間でした。なので、5月に実施する農業体験企画には、ぜひ多くの方にお伝えできるように準備をすすめて行きますよ。

今後の私たちの企画や活動に、ご期待いただければとも思います。

それでは、また。




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