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夫婦別姓に関して

たしかに「夫婦の姓一致」は制度的には実施が明治以降と新しいものであるものの、それ以前は夫婦の姓を一致させたりさせなかったりしていたのを一致する側に統一したのであって、中世以前の貴族や高級武士等はともかく、「近世以前には別姓がスタンダード」というわけではない。

制度実施後、夫婦別姓が議論された際も統一姓が支持されて今日に一至っており、夫婦の姓一致は日本人の習俗に沿うものであろうと考えられる。

中世以来、武家にしろ商家にしろ養子(婿含む)は常に氏姓を養子先のものに変えるため、氏姓を変える事が「家族の一員になる」という考え方は古来からあったといえる。

逆の例として美濃の戦国大名「斎藤義龍」は父の「斎藤道三」を倒したのち、母方の祖先の氏姓である一色氏を名乗り、父との決別を図った。氏姓の名乗りを変える事で家系の分断を企図したのである。

近代における夫婦間の氏姓一致の統一はこうした考え方を一歩進めたものといえる。

さらに両性の氏姓のどちらかに一致させればよい今日の制度は日本古来の習俗+近代戸籍+戦後の価値観を集合させた良くできたものといえるだろう。

今更、夫婦別姓(選択制)に戻すというのは日本人の習俗の洗練に逆行するものであり、復古主義の悪しき発現といえる。

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