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【障害は"能力"】メンタルの天秤を揺らす外資系、双極性障害の話

大学を出て、外資系の会社に入り、年収が1000万円を超えたのは2年前でした。自分自身、なぜ障害者でありながらこのような厚遇を受けられているのか不思議です。

✅病みサーメンタルマガジンはじまるよ!今回は、双極性障害を抱えつつも第一線で活躍されているメンバーの体験談。社会とメンタルの天秤をどのように揺らしているのでしょうか?ぜひ続きをご覧ください。


【障害者雇用を諦めた理由】

就職時には、オープンではなく、クローズで入社(障害のことを伝えられなかった)しました。

実は、既に双極性障害を発症していた大学時代は、障害者雇用で働こうと思っていました。

しかし、担当のエージェントに「あなたの能力とスキルにマッチする障害者雇用のポジションはない」と言われ、泣く泣くクローズでの就職活動を始めたのです。

その後、なんとか外資系の企業に入社し、自分の能力を活かせる職種に就くことができ、現在に至ります。

【障害って"才能"?】

実は、世の中には障害を"才能"として捉えているコミュニティや、考えもあります。

その理由が自分の今の環境を説明できる一つかもしれません。

彼らの主張はかなり広がりが大きく、また、障害を"ギフト(Gift)"と、ポジティブに捉える理由は様々あるようです。

あまり発散せず、自分が感銘を受けた一点だけ紹介します。

障害の「ハンデ(Obstacle)」を克服するために得られた「対応手段・方法(Coping Method)」を、障害の克服以外の問題にも当てはめることができる。ひいては、自らその方法論を昇華させ、常人にはできないような成果を得ることができる。

この言葉を知ったのはかなり前でしたが、その本当の意味を知ったのは大学卒業間近、通訳の仕事をした時でした。

ハンデと闘って得たスキル

これだけを読んでもよくわからない人のために、実例で説明します。

私はADHDであるため、人の話す言葉をよく聞き逃します。一つのフレーズで20個単語が出たとすると、聞き取れるのはせいぜい9〜12個ほどでしょう。

すると、その間にある単語を補完しないといけないという「ハンデに対応する方法」が身につきます。

要するに言葉の聞き取れなかった部分を脳内で補完して、トーンや単語のチョイスなどからおおよそ何を言いたいかを(かなりの精度で)当てることができるということです。

それが活かされたのがテレビやカンファレンス(会議)にて同時通訳を行う時でした。同時通訳はその名の通り、言葉が全て発される前に同時に通訳を行わなければなりません。

そこで私は驚くまでに、次の単語やまだ言われていない言葉が何であるかを高い精度で予想し、通訳できることが判明したわけです。

先輩や上司の通訳者には「すごい才能だ」と言われましたが、これはあくまでも自分がハンデと闘ってきて身につけたスキルの一つでしかないとは、伝えませんでした。

【対応手段で力を伸ばす】

外資企業の話に戻りましょう。現在、私はSNSなどのPRとユーザーコミュニティのマネジメントを担当しています。

通訳の仕事と同様に、自分が抱えていたハンデを克服しようとして身につけた"対応手段(Coping Method)"を生かした仕事です。

「他者の目線に対する強い意識」、すなわち「自分とは何者なのか分からない」という状態において、他人がどう思っているのかを常に意識する能力が生かされたのだと、今では考えています。

リアルでのコミュニケーションへの苦手意識から、インターネット上での情報を人々が、どのように受け取るか・どのような感情を持つかについて考え、想像できる能力が培われたのでしょう。

【得意分野を活かすということ】

そうした職業についたのは、もしかすると一種の必然でもあったかもしれません。

実は、分業化が進むに連れて、障害を"ギフト(Gift)"と捉え、上記のように仕事で活かしてもらうといった方向にシフトしている企業が徐々に増えています。

今まで日本で多かった「ジェネラリスト」から、特定分野で能力を発揮する「スペシャリスト」が重んじられる社会に変わってきたという感触を確かに感じています。

そういった企業の一つに入社できたことは幸運です。しかし、ただの運ではなく、今後は一つの選択肢として選べるようになるかもしれません。

そのタイミングが来たときに、これを読んでいる皆さまにも、自分の障害がただのデメリットというわけではなく、メリットとして活かせるかもしれない。そういう環境があるかもしれないことを、意識してもらいたいと思います。

今後の社会の流れは誰にも読めませんが、自分の"ハンデの克服方法"、あるいは端的に"才能"が、いずれ活かされることを信じて、前を向いて生きていきましょう。

✅最後までお目通しいただき、ありがとうございました。Uさんのように、自分のやり方や得意分野を活かせる職場選びは大切です。メンタルの悩みを抱える皆さんも、個々の障害としっかり向き合い、対応手段で力を伸ばしていきましょう!


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