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老害の人(著者:内館牧子)

著作者:内館牧子 発行所:株式会社講談社 2022年11月1日発行
 
主人公の戸山福太郎は、昭和十年五月生まれの八十五歳。老害には種類があるが第一位は、「昔の自慢話」第二位は、「世代交代に抵抗」である。福太郎はこの第一位と第二位を併せ持ち、最強最悪な「老害の人」である。
 
ここでは、福太郎の孫の戸山俊(しゅん)に焦点を当てる。俊は、「雀躍堂(じゃくやくどう)」社長の純一と明代の長男で、埼玉県立岩谷第一高校の三年生である。
 
『岩谷一高は、戸山宅から自転車で十五分ほどのところにあり、文武両道の進学校だ。俊はその道のりを、毎日ランニングで往復する。学校からさらに二十分ほど奥にある「松木ファーム」という農園でアルバイトもしているのだが、その往復もランニングだ。』
 
『俊は中学校の頃から関東では名の聞こえた駅伝選手である。』また、小学校の頃から「箱根駅伝に出たい」と言っていた。岩谷一高の陸上部は強豪で、俊は一区十キロのレギュラーである。俊には、箱根駅伝の名門大学三校から誘いが来ている。また、俊は、福太郎、純一と続く「雀躍堂」の四代目も期待されている。
 
そんな俊が宣言する。『「俺、大学には行かないことにしました。」「松木ファームで農業やります」「農大には行かない。箱根ももういい」』『そして言い切った。「俺、考えて考えてたどりついたんだよ。箱根に青春を懸けるより、農業に一生を懸けようって」』
 
果たして、俊の両親や福太郎は、俊の思いを許すのか。老害の人の福太郎は、何と言うのか。楽しみだ。
 
注:『』は引用文

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