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日本の漫画とスペインのコミック:手塚治虫と漫画誌『テヅコミ』を巡り出会う2つの世界  を聞きに行く

麹町というか市ヶ谷というか…その中間にあるインスティトゥト・セルバンテス東京に、表題の講演会を聞きに行った。
インスティトゥト・セルバンテス東京というのはスペイン国政府がもってる施設で、スペイン文化やスペイン語の普及のためにある。似たようなものはいっぱいあって、アンスティトューフランセとかブリティッシュカウンシルなんかが、それ。
この日のトーカーはケニー・ルイス、ケン・ニイムラ、カネコ アツシ。
『日本とスペインで用いられてきた伝統的な手法がどのように反映されているかを明らかにしていきます。これを機に東洋と西洋につながりが生み出され、この2つの漫画・劇画大国に見られる芸術的多様性が再確認されることとなるでしょう』
という主催者の惹句に惹かれたのと、この前日、ケニー・ルイス氏とコミッティアで知り合って「聴きにきなよ」と誘われたのがきっかけ。

結論から言うと『テヅコミ』という手塚作品の二次創作漫画誌の宣伝イベントでした。考えてみりゃあカネコアツシさんなんかは伝統的な漫画と違うところに位置するわけだから、惹句通りになるわけがない。
もう一つは手塚作品の背景を知る人が全然いないこと。カネコさん自身お若い。古い編集からエピソードを聞くこもあるだろうが、彼が主戦場にしている『コミックビーム』の編集スタッフは元秋田書店の少年チャンピオンにいた人たちだが、彼らが入社した頃には手塚先生は亡くなっていたか『アエラ』で『ネオファウスト』やってた頃だと思う。およそ手塚作品の背景にあるものを語れない。致し方ないけど。
例えばカネコさんは『どろろ』を取り上げ二次創作していたが、作品の背後にある冷戦構造や朝鮮戦争については触れていなかった。こういうの触れないと、作品の持つ深みまでは切り込めない。

それでも感銘を受けた。それはひとえにケニー・ルイス氏の存在。海外では『ナルト』や『ドラゴンボール』ばっかり語られる(仕方ないけど)。その中で彼は手塚治虫先生の偉大さを熱弁するのだ。素晴らしい!
自分の二次創作に『ぼくの孫悟空』なんていうチョイスをするのもいかしていた。相当好きでなければこれはでない。

ということで、主催者のもくろみとは全然別のことを堪能して帰りました。
実はスペインの人が描く日本風漫画はフランス人が描く日本風漫画より日本のテイストに近い。大国とは思わないけど通じるものがあるような気はしています、スペイン。


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