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【王からの手紙6】謎の男との言葉が分からない不思議な会話


 王からの手紙に導かれたどり着いた1軒の家。そこで出会った「カーリー」と名乗る男は、4か国語をあやつる秀才だったが、そのいずれも私の理解の出来ない言語だった。アフガニスタンの初日の夜をそのよく分からない男と2人で迎えようとしていた。


この話は、以下を読んで頂くと、より楽しめます。お時間のある方は是非ご覧いただければと思います。

また、文中に出てくる王様の話は、以下のものとなります。

※ 今回のコラムは、避難勧告が出ている国、エリアへの渡航を推奨するものではありません。昔の旅の情緒を伝える目的で投稿をしておりますので、あらかじめご承知おきください。



 カーリーと名乗った目の前に座っているこの男に、私はたくさん聞きたいことがあった。

 まず、ここは王様の家なのか。もしそうなら、このカーリーが王様の息子なのか。


んん?よく考えると王様の息子って事は、王子よね?


 でもちょっと言っちゃ悪いけど…カーリーが「王子」って感じはしないな💦 


 と言うか、そもそも勝手にラワールピンディで会った「王様」って呼んでるだけで、ホンマに王様だったのか分からんしな…
 そしてとりあえず家の中に招かれたが私はここに泊ってもいいのか、ここでどうふるまえばいいのか…
 分からん事だらけやし、カーリーに聞いてみよう… 


でも、言葉が通じないという事は、こんな細かな事をどうやって聞けばいいのよ!?


  こまったこまったこまった…

 色々考えならが落としていた視線を上げると、カーリーはこっちを向いていた。
 笑顔で何かを言っている。
 「※○▽★◆!」


え?


 分からないと言う顔をしていたら、カーリーは手招きをして、ついて来いという雰囲気をだしながら立ち上がった。

 黙って付いていくと…そこは、シャワーがあった。

あ、「お風呂入るか?」って聞いてくれてたのね!


入ります!入ります!


長時間の移動で、砂ぼこりをたくさん浴びて、さっぱりしたかったので、ちょうどよかった!
 なんか、まだカーリーの事もこの家の事も分からないが、風呂入るか?と言ってくれているという事は、歓迎はしてくれてるんやろな。

 ありがたい。


 …お湯が出る素晴らしいシャワーを浴びて、身体がさっぱりすると、何か心もさっぱりする気分になって、居室に戻った。

 そう言えば、入ってる間にタオルも置いてくれてて、なにかささやかな心遣いにちょっと感動した。


 さて、カーリーに色々聞かないと。まずは、王様からの手紙を改めて見せて…とりあえずお互い言葉通じないから、もう日本語で話しちゃえ!

 「この手紙の通りねんけど…」

「アーOK、OK! ▽※◆☆□☆★◆、ゼリフ、ハニフ、ノー」


 なんか惜しい💦
 オッケーは分かったけど、なにか肝心のところがまったくわからん。そして、「ゼリフ、ハニフ」って言葉が聞こえたけど、これは何?

 「とりあえず、オッケーなのね、でも、まったく分からんねん…」
 困った顔して言ってみた。

 また、カーリーは立ち上がり、どこかへ行って、すぐに帰ってきた。持ってきたのは、カレンダーのようだ。

 「◆▽▽▽★※※★◇」

 …カレンダーを指さしながら何か言っている。

 今日を指さして、「ノー」って言ってる。
 そして、次に、明日を指さして、
 「ゼリフ、ハニフ、OK」
 と言っているな…

もしかして…

 「カーリー!分かったかも!もしかして、”ゼリフ””ハニフ”って言うのが、王様の息子の名前で、今日は来れないけど、明日来るって言ってるん???」


 身振り手振りを交えながら日本語で思わず言ったことに関して、カーリーはめっちゃうなずいていた。

 なるほど!
 としたら、このカーリーは多分、この家のハウスキーパーみたいな感じなんかな。

 …そのまま少しの間、カーリーとよく分からないコミュニケーションを図っていたが、長時間の移動の疲れが出ていたところにお風呂に入ってほっこりしたことで、私には眠気がめっちゃ襲ってきていた。

 「カーリー、眠いし少し寝てもいい???」

 カーリーはその言葉を理解してくれたのか、毛布を持って来てくれ、私はそのままその場で横になり、目を閉じた。そして、あっという間に眠りについた。



 …深い眠りについていた私の身体を誰から揺り動かしている。
 ゆっくりと目を開けると、目の前にはカーリーが居た。
 窓の外を見ると、すっかり真っ暗になっていた。2時間くらい寝たのだろうか。

 「※◇▽▽★☆」


 これは分かる。言葉が分かるんじゃなくて、身振り手振りとこのタイミングで言われる事ってきっと…

「そろそろごはんの時間だが、食べるか?」


 だろう。

 大きくうなずきながら「食べる!」と答えてみた。

 カーリーは、私を手招きしてきた。ん?なにやら外に出るらしい。外食なのか?

 慌てて外へ出る準備をした私は、カーリーに連れられるがままに家の外に出た。

暗すぎやろ!なんも見えん!



 外は真っ暗も真っ暗。街灯がほとんどなく、わずかに家からこぼれる光がぼんやりとあたりを照らしているだけの外なんですけど…
ここって、あの、「アフガニスタンのジャララバード」ですよね?
 日本出る前に、アフガニスタンの戦争のニュースで、何回も何回も聞いた名前の「ジャララバード」ですよね?

 旅ズレしすぎて、少し常識的な感覚がバグり始めている自分でも、分かる。

 一人じゃ絶対に歩かん。危なすぎる匂いがプンプンしてる!怖すぎる。


 いや、だって、外歩いている人、現地の人含めて誰一人居らんやん!


 そんな私の気持ちなんて想像もしていないであろうカーリーは、ズンズン歩いて行く。油断すると置いて行かれるくらいのスピードだが、足元も何も見えない道を、カーリーはどうやって歩いているんだ?
 でもなんせカーリーの服が白くてよかった。少し離れてもぼんやりとまだ見える。

 恐る恐るカーリーの後ろをひょこひょこ歩いてついていく。

 こんな真っ暗な夜に、ご飯といって外に出された私は、一体どこに連れていかれるのだろうか。

 つづきは以下より


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