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【王からの手紙3】アフガニスタンへの入国の想い出は、「おっさん」と「見た事ないイミグレ」

 パキスタンからアフガニスタンへの陸路での国境通過を目指して、パキスタンの治外法権エリアであるトライバルエリアへハイエースで侵入した。窓の外の様子を見て、修羅の国に入ってしまった実感とともに、恐怖感がジワジワ増してきた。やなぎやは無事にアフガニスタンへたどり着けるのか…


※ この話は、以下の話を予め読んで頂けると、より一層楽しんでいただけます。ぜひ、ご覧ください!(上が古く、下が新しいです)

※ 今回のコラムは、避難勧告が出ている国、エリアへの渡航を推奨するものではありません。昔の旅の情緒を伝える目的で投稿をしておりますので、あらかじめご承知おきください。


 ――多分、今、顔めっちゃ引きつってる感じがしてるし、不安そうな表情してると思うけど、他の乗客に見られない助手席でよかった。

 私以外の他の乗客や運転手の方にとっては日常の移動なのか、普通に話し声、笑い声聞こえてるし、運転手の人も会話に参加してるやん。

 そうやんな…知らん場所で、「めっちゃ危ない地域」って聞いてたから、身体が恐怖に反応しているけど、

 そこでも普通に暮らしてる人がいて、日常があるねんな…


 この人たちにとっての日常の世界に、今、自分はお邪魔していて、勝手に特別に見えて恐怖を感じているだけで、今、トライバルエリアを抜けてハイバル峠に向かうハイエースに乗っているのは、この人たちにとっては特別でもない、日本で私が、隣の町に行く電車に乗ってるような普通のこと。


そう、普通の日常のことなんやろな。


 しばらくして、何事もなく、無事ハイエースが止まった。
 トルハムに着いたようだ。
 ここは、町中というよりは、雰囲気的にはもう国境近くなにゃろな。

 なんかチャイ屋みたいなんいっぱいあって茶飲んでる人多いな…
 
 で、イミグレはどこやろ…

「※〇◆☆△×□!!!!」


 ハイエースから一緒に降りたおっさん…なんか私に言ってる!?
 …手招きしてるという事は、多分、

「俺に付いて来い!」


 みたいな事言ってるんやろな。
 ハイエース一緒に乗ってた他の人も付いていってる。

 おっさんめっちゃ頼りになるやん!

 きっとトルハム国境の猛者やな、このおっさん!


 これは、このおっさんにだまって私も着いて行こう。

 お、建物に着いた。きっとここがイミグレのはず!
 おっさんが建物に入っていった、なんか待ってたらいいんかな…
 それにしてもいよいよパキスタンを出国して、アフガニスタンに入るんやな。

 あードキドキする!!!

 おっさん戻ってきた。

「※〇◆☆△×□!!!!」

 なんか、元来た道を指さしてる???
 へ?元来た道戻ってる???

 もしかして間違えた?

 おっさん…もしかしてトルハム国境猛者じゃないの???


 とりあえず、こんな場所で1人になるわけにもいかないし、付いていくしかない…

 へ?

なんかおっさん、お店で席を確保しだしてる。
そして、私を手招きしてる???

 もしかして…このタイミングで飯?


 あの…イミグレをさっさと、通り抜けたいのですが…

 いや、おっさん多分それ、私の分もオーダーしてくれてるよね?
 ありがとうなんですけど…国境越えはいつするの?
 もしかして、このおっさんは、

ただ、トルハム観光に来て、飯食いに来ただけの人じゃ…


 これはマズイ!ちょっと頑張ってこのおっさんに聞いてみないと。

うんうん…あ!そういう事!?


 言葉は通じてないけど、多分イミグレがお昼休みで12:30になったら開くから、とりあえずそれまで時間あるから、飯でも食おう!って言ってるよね?きっと。

 おっさんが勝手に頼んでくれた飯、せっかく頼んでくれたからとりあえず食べないと…うお!おっさんだけじゃなくて、めっちゃ色んな人が話かけてくれるけど、何言ってるのか分からん!

 おっさんも、言葉通じないけど、とりあえずおっさん助けて…

って、なんかしらんけど、居らんやん!

いや、なんで居らんねん!


 って突っ込みたいとこやけど、居らんしな…

 ただ、みんな笑顔で話しかけてきてくれてるから、きっとなんかこんなところに居る日本人に対して興味本位か、好意で話かけてくれてるにゃろな。

 ここは、日本人得意の愛想笑いだーーーーー!!!


 お、おっさん戻ってきた。
 えっ!?もう行くの?そんな時間?

 お金払わないと…

って、おっさんもう会計済ましてる!?


めっちゃ笑顔でいいからいいからみたいな事言ってるおっさんの事が…

カッコよく見えてきた💦


 ついて行って…さっきの場所やん!あ、やっぱりここイミグレだったのね。んで、ちゃんと係員みたいな人居る。

 列に並んで、自分の番。

 へ?その場でハンコ押してくれないの?
 パスポート預けて、一回後ろで待ってろ?

 
 そんなもんなんかな…でも他の人もそうしてるし、仕方ない。
 待っててみよう。

 退屈やし、その辺にでも座って日記でも書くか…って、なんかめっちゃ人集まってくるねんけど。とりあえず、愛想よくしとかないと、この人たちが徒党組んで襲ってきたら、

 絶対に〇ぬ。



 「そうです!私は日本人です!珍しいでしょ???どうだーーーー!!!」

 なんか、動物園の檻の中に居る、パンダみたいな気分…

 

 お、なんか呼ばれた。

 ん?なんか今、
「VISA Expired!(ビザ切れてるよ!)」
って言われたよね?

 切れてないんですけど…いや、これって何て言えばいいんやろ。なんか言った方がいいんかな…って、もう手続き進めてハンコ押してるやん💦

 なんのジョークですかこれ?賄賂でも要求されるんかと思ったわ💦
 無事、パスポートも返してもらって出国完了!

 おっさん終わったよーって

 

あれ?おっさん達居ないやん!!!


 なんで居ないの?置いて行かれた?

 どっち行けばいいんやろ…とりあえず、国境は分かるし、こっち方面に行ってみるか…

 もう多分、国境越えちゃってるよね?そして、車も見えてるし、このまま入国スタンプなしで、進めちゃいそうねんけど、

イミグレどこよ?


んん?なんか子供が掘っ立て小屋指さしてくれてる?
あっち?あれがイミグレ?
ありがとー!!!

 とりあえず行ってみるか…って、絶対あれ違うやろ。
 あれ、ただの木造の小屋やん。なんか電気もついてなくて陰気くさいし…かといって、他に当てもないし、あの小屋行ってみて、聞いてみるか。


 すいませーん、お邪魔します…
 あ、人、居た居た…んん?こっち来いって言ってる?

 ここイミグレなん!?💦


 こんなイミグレ初めて見た。小屋やん、ただの小屋。
こんな存在感のない陸路の国境初めて。人も誰も並んでないし、って、私しかおらんやん。
 暗すぎるし、木の机に、よくドラマの警察とかである電灯が1個あるだけやん!

 謎すぎる…

 で、イミグレの人、顔を一回も上げず、パスポートの空いてるとこ探してハンコ押しただけやん。

 後で、

 「いやー居るんですわ、イミグレごっこしてる人が。あんなとこがイミグレな訳ないやん!ま、ほとんど居ないですけどね、あんなとこがイミグレって信じる人…」


 とか、言われて、


 

「え!?まさか、あれをイミグレって信じたんですか?かわいそうですけど、完全に不法入国ですね!とりあえず署のほうに…」



 とか言われたりしないかな…


 こんなあっさり、アフガン入国してしまったけど、大丈夫なんかな…



 んで、おっさんどこ行ったんよー!!!


  

そんな、アフガニスタンの第一歩を記したある日の話。

以下、つづき


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