【旅エッセイ】国境越えのミニバス内で、ヤンキーがプリングルス(大)をボリボリ食べてながら私に絡んできた話
とある日の午後、タイの南の街、ハジャイにてペナン島に向かうミニバスを待っていた。間もなく4列のハイエースが到着し、バックパックを預け、道中で一緒になった日本人旅行者(以下、旅友)とともに、最後尾列に乗せられ、右側の窓際に旅友、そして私は3人掛けの真ん中に座った。
ほどなく、1人の男が乗り込んできた。その男は手にはプリングルス(大)を持っており、音漏れのしているイヤホンからは、ファンキーな音楽が聞こえる。
そして座るや否や、サンダルを脱いでシートに片膝を立てて、窓の外を眺めだした。年齢は…見た目20歳くらいの青年で、中華系の顔立ち、そして、
「触れたものはすべて切り裂く」
みたいなオーラを出した、日本で言うと学校に2,3人いる感じの番長的な雰囲気の男だった。ん?や、番長って1人じゃないのか?だからヤンキーか。
…いずれにしても、絶対やばい人であることは間違いない。
や、音漏れさせながら、でかいプリングルスだけを手に持って、ボリボリ、ムシャムシャ食べながら、ミニバスに入って来て、座るないなや、片膝立てて座る人間なんて、普通の人じゃないでしょ。
だって………
絶対に喉渇くやん!!!
ここからタイから国境を越えて、マレーシアに入って、ペナン島までは飛ばしても4時間くらいかかるだろう。その間、プリングルスを食べ続けていたら、絶対に喉の渇きに、私なら耐えられない。もしかしたら、喉の渇きに耐えかねて私の持っている水をカツアゲされるかもしれない…
こっそり彼をチラチラ見ながら警戒していたが、そんな事を考えている間に、ハイエースは、詰め込めるだけの人を詰め込んで、動き出した。
ドキドキしながらヤンキーの動きに警戒していたが、出発して間もなく、窓の外を見ていたヤンキーの手が動いた。
プ リ ン グ ル ス の 口 が こ ち ら に 向 け ら れ た!
目の前にいきなり現れたプリングルス、これは勝手に取って食べてもいいのか?困惑してヤンキーの顔を見てみると、
こ ち ら を 見 て い た 。
そして、私と目が合うな否や、ヤンキーはこう言った。
「喰う?」
――私は頭の中で少し状況を整理した。
たまたまミニバスで隣に座った得体もしれないヤンキーが、私に向かっていきなりプリングルスを喰う?と聞いてきているのだ。
ちょっとまてよ。確か幼稚園の頃に教わったいくつかの大切な事の1つに、
「知らない人から、もらったものを食べない」
と言う教えがあった。この教えに沿えば食べるべきではない。
しかし、相手は得体もしれないヤンキーだ。この車中と言う密閉空間、さらに最後尾列という、誰の目にも見られていない最悪の場所であることも相まって、断れば一体何をされるのか分からない。多分、私の水をカツアゲしただけにとどまらず、隠し持っている私のプリングルス(小)まで奪われるかもしれない。(ここまで0.1秒)
「ありがとう、1枚頂くよ。」
ふー。これが最善手のはず。
と言うか、人の好意はちゃんと受け取らないといけないし、なにより幼稚園の頃に教わったいくつかの大切な事の1つに、
「人は見かけで判断してはいけない」
と言う教えがあったはず。
私も、ヤンキーに倣って出来るだけ「ポリポリ」鳴らしながらプリングルスを食べた。
「どっから来たの?日本人?」
プリングルスを食べる私を見ながら、イヤホンを外して私に聞いてきた。
「そうだよ、日本人!」
とりあえず答えてみたが…やばい!会話が始まりそうだ。ここから4時間は到着までかかる。蚤の心臓の私は、ヤンキーにこの車内と言う密室で4時間も尋問されては、”私の今持っているお金の額”から、”初恋の娘の名前”まで、すべてを話してしまいそうだ。
その前に、私の英語は壊滅的で何言っているのかも、正直よくわからない。もし、英語を話せないことがばれたら、イライラしてきて、危害を加えてくるんじゃないか…
そうだ!となりの旅友に助けを求めよう…
って、すでに目を閉じて寝ている。
そうだった!
この子、そう言えば今日午前中から
「体調悪い…」
って言ってた。
だから、午前出発の予定を、少し体調の様子を見て、出発をずらして、到着が夜になるこの時間の便にしたんだった。
午後になって、
「もうだいぶマシになったし、大丈夫だし、今日行こっか。」
っていったのに、
全然大丈夫じゃないやん!!!
やばい!
逃 げ 場 が な い !
そんな旅の途中で、マレーシアのプリングルスヤンキーとの出会った時の話。
続きは下から★
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