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やなけん、携帯電話代理店辞めるってよ

やなけん(@yanaken8787)です。

本日、25年以上携わった携帯電話販売代理店を卒業しました🎓

いやー。感慨深いものがありますね。

メッセージすらできない通話のみのガラケーからスタートし、技術革新によってカメラが付いたりインターネットが出来るようになったりと、様変わりしていくモバイル機器やサービスに触れてきました。

ビジネス面では、萌芽期から普及期、成熟期と、様々なステージを経験させてもらった25年でした。

卒業するにあたって、これまでどういった想いで携帯電話販売代理店(以下、携帯代理店 or 代理店)の仕事に従事してきたのか、どのような経緯で卒業を決意したのかなどを、自分の気持を整理する意味でも綴っていきたいと思います。

携帯代理店との出会い

コンピューター黎明期である高校時代、親が奮発してPC-9801を買い与えてくれたのがきっかけでコンピューターに興味を持ちました。その後、パソコン通信のNifty-ServeやPC-VANと出会います。(※パソコン通信を知らない人はWiki参照

離れた場所にいる人とのチャットやBBSでの文字を通じたコミュニケーションが楽しくて、どんどんのめり込んでいきました。夜な夜なパソコン通信に興じる日々。当時は使い放題もなく、電話代という経済概念がない高校生だったので毎月高かったと思うのですが、一言も文句言わずに使わせてくれた両親に30年越しではありますが感謝しています。

学校を卒業した後は就職もせず、PHS(携帯電話の弟分みたいなやつ)のキャンペーン販売スタッフとしてアルバイトしてました。最新技術やサービスに触れる楽しさ、学校で学んだ知識を活かした接客に面白さを感じ、興味の赴くままにドコモショップを運営している会社に正社員入社しました。ここから、携帯代理店の仕事に長く携わって行くことになります。

携帯電話の先生として

これまで携帯を手に入れるにはレンタル契約のみしか無かったのですが、一般ユーザーが購入できるようになった時期に入社しました。(新規売り切り)

携帯電話を水に濡らしたら壊れる、電波状態が悪いと通話が不安定になったり切断する(もしくは着信できない)、充電がすぐに無くなるなど、機械や電波、電池の特性を知らないユーザーからのクレームの日々でしたが、一人ひとりに正しい知識を伝えていくことで、安心・安全・快適・便利に携帯電話を使える人が増えることを目標として取り組んできました。

今どきの言葉でいうと、アドバイザーもしくはコンシェルジュと表現するのが妥当かも知れません。

やがて少しずつですが、お客様からのご指摘やお叱りが減っていき、友人や家族を紹介してくれたり、旅行に行ったからとスタッフにお土産を買ってきてくれたりと、お客様とのお付き合いも働く喜びに繋がっていました。

何よりも、当時のドコモの社長であった大星さんが、「代理店は我々と一緒にモバイルを普及推進し、共に成長していく大切なパートナーだ」的な事を発信していてすごく感化されたのも、お客様との関係を大切にしてきた原動力となっていました。

店舗・代理店の評価制度がはじまる

auショップを運営する代理店に籍を移してから、店舗の評価制度がはじまりました。

主にサービスの普及などに絡めたものなので、ある程度納得して取り組んでいましたが、この制度が段々と過剰(過激)になっていきます。

工夫すれば売れていた時代は終わり、ある程度普及して成熟産業となり、新製品もユーザーが目立った性能変化を感じにくくなりました。また、改正電気通信事業法の施行によって、値引きや販売手法が規制され、製品が高額化して購入需要が落ち込んでいきました。そして、携帯電話会社から代理店に支払われるインセンティブが徐々に削減されるようになりました。

代理店は携帯会社が構築したインセンティブありきのビジネスモデルのため、目標を達成しないと収益源であるインセンティブが入ってきません。

インセンティブのために現場のお尻を叩いて目標を追いかける。現場は徐々に疲弊していき、お客様への心温まるサービスが消えるのと同時に離職が増え、募集しても人が採用できず人手不足で現場が回らなくなっていく――各代理店の中心的なマネージャー層も仕事の社会的意義を見失う時代に入っていきました。

今思えば、顧客や仕事を通じた社会に対する貢献から、「会社の存続」へ視点が移った瞬間だったのではないかと感じています。

携帯会社としては「方針にしっかりと従う代理店だけを残したい」そんな時代に突入した時期でした。

この頃から、この業界へ携わっていくことの意義を見失いかけてきました。取引先の仲間とも「つまらない仕事になってしまったね」と苦笑いする日々。

事業譲渡から始まった度重なる転籍

2020年に僕が勤めていたA社は携帯代理店事業から撤退することが決まりました。それに伴い、A社からB社へ事業譲渡され一緒に転籍しました。

そして2年経たない内に、B社の株主である同業のC社へ吸収合併されることが決定し再度転籍しました。

C社で自分の役割が大きく変わり、気持ちも新たに頑張ろうと仕事に取り組んでいた矢先、1年も経たずにC社がD社に売却されることが決定しました。そして売却後は吸収合併されることが決まりました。

わずか3年という、短期間での出来事です。

このままD社にいた場合は、再編の波を再び経験するのでしょうか――。

さらば、携帯代理店

顧客サポート拠点として拡大してきた携帯ショップも、オンライン手続きの登場で、来店よりもオンライン手続き数が上回るようになりました。ようするに、携帯ショップに来店しない人が増えたという事です。

最近の携帯ショップでは来店予約制が浸透してきたとはいえ、携帯会社問わず店内は常に閑散としています。お客様よりもスタッフ数の方が多いと感じるくらいです。

このことからも、完全に無くなる訳ではありませんが、携帯ショップ及び携帯代理店の一定の役割は終えたのだなぁ~と強く実感します。

色々な想いを抱きながらモヤモヤ過ごす中で、ここ数年で個人的に職業興味が大きく変化したこともあり、僕は違う業界・職種へ進むことを決断しました。

離れられた安堵の気持ちと寂しさが入り混じった複雑な気持ちですが、これからも、この業界がどのように変化していくのかは気になってしまうのだろうなぁと感じています。

そんな想いを抱きつつ、本日卒業しました🎓

仲の良い携帯会社の皆さんや他代理店の仲間、メーカーの営業さんなど、個人でお付き合い頂ける皆さん引き続きよろしくお願いします。落ち着いたらぜひ飲みに行きましょう。

そして、今までお世話になった皆さん、本当にありがとうございました。

お元気で。

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