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ラタトゥイユにのせたスクランブルエッグ、自家製ベーコン添え

  調理師学校でフランス料理を学びはじめのころは、正直なにが正解なのかわかりませんでした。和食や中華は、基本的に白いご飯に合う味だし、家庭や外食でも馴染みがあったので味の方向性はなんとなくつかめたのですが。

 ある日、フランス料理の実習で大竹伸郎シェフに教わったラタトゥイユ(野菜のトマト煮込み)を食べたときに初めて「フレンチは美味しい」と思うことができました。大竹シェフの作るラタトゥイユは、食感を生かした軽く煮込むものではなく、オーブンで30分ほどじっくり煮込むタイプで、複数のハーブを使用していて香り高く、何より煮込む前の段階でしっかり塩をふり、非常に力強い味わいなんですよ。例えるなら、香草風味の野菜のジャム。このとき、初めてズッキーニとアーティチョークを食べたと思います。そういう意味で、ラタトゥイユは私にとって原点のような料理です。

実際、ラタトゥイユがきっかけでフレンチ好きになった人は多い!

 ちなみに大竹伸郞シェフは、江東区にあった「ル·カナール」という一日一組の予約制のレストランのオーナーシェフ。当時、すでに70代で、基本的にレストラン業よりも大学の講師をしたり企業のアドバイザーをメインに仕事をしていたと思います。とにかく、料理の教え方がロジカルで、生物の骨格、料理の歴史的背景や語源、フランス人と日本人の美味しさのアプローチの違いなど非常に博学で、私のロールモデルになった方でもあります。今、どうしているんでしょう。生きていれば100歳くらいかな。

さて、今回の料理はそんなラタトゥイユにスクランブルエッグとベーコンを組み合わせた料理です。この組み合わせはバスク地方の伝統料理ピペラードからのインスパイアです。

作り方

·オリーブオイルでローリエ、ニンニク、玉葱、パプリカ、ズッキーニ、皮をむいた茄子を炒める。
·トマトペースト、バジル、タイム、塩を加え、蓋をして30分ほど煮込み、ラタトゥイユとする。
·全卵に生クリームを加え、湯煎でトロトロになるまで掻き立てる。
·スープカップにラタトゥイユ、スクランブルエッグを入れ、炒めた自家製ベーコンを添える。

画像では使用していないが、エスプレット唐辛子を散らしても美味しいと思う。

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