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トウキョウ感傷議事録


コードレスなイヤホンに、ポケットに突っ込んだスマートフォン。
片手にはクレジットカードの入ったキーケース。
それだけで歩いていける街。トウキョウ。

流れる歌に合わせて足を叩いても気にされない横断歩道の待ち時間に、
勝手にエモいなんて言葉を当てはめたりして、
感傷に浸ったような心を持って公園のベンチで夜の月を見る。

なんてくだらない
なんてナルシストな日々。

それでもそれが、僕らの日常を少しでも切り離してくれる術であることを
僕らはきっと知っている。


家までの道にだってあかりはあって、コンビニは今日も明るい。

かじりかけの食パンは、別に今日食べなくてもよかったし、
飲みかけの炭酸は、明日にはゴミ箱行きだ。

帰りがけに買った肉まんなんて、食べる気もなかった、無駄な128円。

お風呂に入れて、本が読める。
TVだってつければ賑わしてくれるし、電気は今日も止まっていない。

冷蔵庫の中にはチューハイに炭酸に、水にお茶。
好きなものを食べるだけのお金だってあるっていうのに。


いつもなにかどこか満たされない。


誰にも干渉されないはずの街、トウキョウ。
何も縛られないはずの街、トウキョウ。
やる気になればなんとでもなる街、トウキョウ。

どうにでもなるなんとでもなる誰にも何にもしばられない街
トウキョウで今日も僕らは満たされない。


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