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春、ロスト・イン・トランスレーションによせて。

別れと出会い、新年度を迎える季節が到来。
卒業、入学、就職、転職、転校と環境が大きく変わる時期でもありますが、中には上京したりして地元から離れてこれから生活する人も沢山いると思います。
長く住み慣れた街というのは本当に快適でストレスも無いし、土地勘もあるし人間関係も構築されていることから不安もあまりないんですよね。
でも、新しいところってそれがゼロベースになる訳だから適応するのが凄く大変。その苦労は私も上洛して3年目になりますが、構築途中なのでとてもよく分かります。大人になると仕事と家の往復で終わったり、友達を作るのも会社の外になれば何かのきっかけでも無い限りとても難しいもの。そこから生まれるのが寂しさだったり孤独という自覚。

そんな感覚を感じてる人にこの映画が届いたら嬉しいです。

2004年公開・ソフィア・コッポラ監督作品
「ロスト・イン・トランスレーション」

あらすじ…ウィスキーのコマーシャル撮影のため来日したハリウッドスターの男性。彼は滞在先である東京のホテルに到着すると、日本人スタッフから手厚い歓迎を受けるが、異国にいる不安や戸惑いも感じ始めていた。一方、同じホテルには写真家の夫の仕事に同行してきた人妻が滞在。東京を舞台に倦怠期の俳優と孤独な人妻の出会いと別れを描く。

このビル・マーレイ演じる俳優とスカーレット・ヨハンソン演じる人妻の「ひととき」は異国で出会った友として描かれています。私は若い頃、この作品を見た時「海外の人から見た日本の描き方が上手い」という感覚しか持ち合わせなかったんですが、29歳になり、上洛して孤独感が生まれた時見直してみたら「あぁ、私の寂しいってこれなんだろうな」と腑に落ちました。特にスカヨハが異国で言葉の壁もある中で色々試行錯誤する姿に、何故か泣いてしまいました。
彼女の設定としてはカメラマンの旦那様の仕事の付き添いで来たのですが、彼には東京に友達も仕事もあるのに私にはない…と言った感じです。
まさに、都会住みに慣れてる友達やそこに住んでる人はもう色々確立されているけど、自分には何も無い。新生活まんまです。
きっとあなたが寂しくなったら優しく寄り添ってくれる1本だと思います。そして、何より俳優と人妻のビターなひとときを味わって欲しい。
配信サイトだと見放題はユーネクスト、FOD、レンタルはTSUTAYAにあります。

美しくも寂しい春に、是非。

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