私とあめこさん #1 〜ブスをやめた日〜
拝啓、蛙田あめこ様
迷惑かもしれませんが、どうか、どうかこのラブレターを受け取ってはくれませんでしょうか。
大切なお友達・蛙田あめこさんについて3回にわたって語ろうと思う。
私は勝手に友達だと思っているし、あめこさんは最年少ながら私たち「サイゼ3人組」のリーダーであり、劉備担当だと思っている。
筏田かつらさんは関羽担当で、私は張飛担当だ。
張飛は乱暴者で大成しなそうなうえに、思い切り「私そのもの」なので嫌だが、やっぱりこれがしっくりくる。3人は、バランスが良い。
あめこさんは、筏田かつらさんと供に私のnoteに度々登場している。
今は私が思いっきり病んだことをきっかけに休止中だが、よく3人で遊んだ。3人でインタビューの仕事も受けた。一緒に作業会もした。
本当に、3人での再会が待たれる。
願わくば、肉の寿司食べに行き、山賊のように飲んで笑うような女子会がしたい。
※あめこさんが登場して私を長年苦しめた呪いを解放したお話はこちら
そんなあめこさんの著作『女だから、とパーティを追放されたので最強魔女とタッグを組みました』の新刊(2巻)は明日発売だ。
読んで、いたく感動した。
電気が走り、興奮で五感が研ぎ澄まされた。
読み終わった瞬間にあめこさんにDMした言葉。
「読みました。傑作です」。その言葉に嘘はない。
出版を記念し、自称お友達からの長くて迷惑なラブレターを送ることを思いついた。全3回。第4回は書評を書けたらいい。
「お前のラブレターなんてどうでもいいわい!」と思っている人。この時点で気になっている人は四の五の言わずにAmazonへGOだ。
この物語を読んでいないにも関わらず、「求めている」人たちがいる。読み終わったその日の深夜、ネット通販を使い友人に1巻をプレゼント配送した。「げんきになーれ」とその子の快復へおまじないをかけて。
この物語が、「この物語を必要としている人」に届けばいいと思う。
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はじめて蛙田あめこさんに会った日、「私はこんな人になりたい」と思った。乾いた砂漠に一滴の雨を垂らしたかのように、渇望した。
上品で、面白くて、負けん気が強くて、スマートで、しかも、お仕事をしている。きっとお仕事ができる。
彼女はうつくしい人。そう、うつくしい人なんだ。
私にとって、蛙田あめこさんは「うつくしくて羨ましい人」だった。何でも知っている人で、勉強家で、スマートなのにどこか振舞いに努力がにじんでいて、そんな血が滲んだ跡の見える指が、無傷の指を持つ私にはどうしても羨ましかった。
――そんな私も、実は背中や足が傷だらけだと気づいたのは少し後のこと。
砂漠である私にとっての雨。優しくてうつくしい、恵みの雨。誰もが歓迎するうつくしいもの。
あめこさんはそんな人だった。
対する私はブスで、品が無くて、根性が無くて、いつも溺れそうで、何にもできない。
できれば小説家よりもOLになりたかった。ちゃんと働いて、ちゃんとお金を貰う人になりたかった。家族はそんな私を許したが、本当は許してほしくなかったのかもしれない。「死ぬべきだ」。そう思いながら生きていた。
私は今日もOLにも非処女にもなれなくて、小説家も中途半端な状態だ。お金を稼ぐことに決定的に向いていない。
頑張れなくってダメダメで、何でも中途半端で勢いだけの私とは真逆の存在。それがあめこさんだった。そう思っていた。……多分、思いたかった。
あめこさんは凄い人だ。そう思ってはばからなかった。
あめこさんの上品に笑う姿、気品あるたたずまいに心底ほれ込んでいた。
「あやせさん、顔がいいですよ」
そう言ってくれた時、私はブスではなくなった。
その恩は計り知れない。
命をかけてでも守りたいと思った。
かつらさん、あめこさんと友人でいられたことが凄く凄く嬉しかった。誇りだった。何にもない私の誇れる部分だった。……絶対に嫌われたくなかった。
筏田かつらさん(彼女のことも必ず連載にする)と3人でお会いした時、余りに楽しくて時間が溶けてしまった。
そんなことははじめてだった。ずっと苦しかったのに、あの瞬間だけは色んな苦しみから解放されていた。
当時、家族の間で大きな試練を抱えていた私は、どうしても家に帰りたくなく、あめこさんに無茶なお願いをして小田急沿いのジョナサンで朝まで一緒にいてもらった。
そして私は迷惑にも不安を吐露して泣いてしまった。
その数か月後、私は本当にどうしようもなく病んでしまったのだが、それはまた次回語る。
ファミレスの机に突っ伏す私に、「大ニュースがあります。スープが入りました」とドリンクバーに補充されたスープをそっと持ってきて、プラスチックのコップを突っ伏す私の横に置いてくれた。
しょっぱくて具の無いスープはその時はなぜか女神様の涙のような味がして、決して絶品のグルメなんかじゃないはずなのに、一口飲むだけでなんだか元気が沸いてきた。
心がいつ折れてもおかしくなかったあの日、あめこさんがいてくれて本当に良かったと思っている。
帰りの小田急線始発。
奇しくも私が「ブスの呪い」をかけられたジョナサンを横目で追いつつ、「私は絶対に変わったんだ。変われるんだ」と信じて疑わなかった。
あの朝焼けの多摩川は脳裏に焼き付いて離れない。
きっと、あの日は私の運命が変わった日になるはずだった。
はずだったんだ……。
私はあめこさんになりたかった。
それ以上に、私はあめこさんになれないのが悔しかった。
責めてあめこさんの何かになりたかった。この人の……この人達の……かつらさんと、あめこさんの背を少しでも支えられる人になりたいと思っていた。
うつくしい人、かっこいい人を支えれば、こんな何もできない私も少しでもうつくしくなると信じていた。
張飛が。張飛にしては信じるもののない弱っちい私が。「3人の中で明らかに格下の自分が嫌だ」という気持ちと戦いながら、私は戦おうとしていた。
その時の私は荷物がいっぱいで、両手も背中もふさがってて、傷でいっぱいで。
もう、体も心もどんな場所にも戦える力なんて残っていなかったのに。
あの朝、多摩川は揺れていた。私がブスであった日々と同じように、ゆらゆら、ゆらゆら、ゆりかごのように――あるいは、私が乗っている小田急線のように、変わらずに揺れていた。
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連載はどうでもいいですが、ここからは大事な情報をお伝えします。
あめこさんの著作は明日発売です!
まだ1巻から読んでいない人は1巻から読んでも間に合います。
大丈夫、売れたら重版するだけですから。
おもしろ情報を発信してしょっちゅうバズってるこちらのツイッターアカウントも必見
noteも内容が充実してるし有り余る品がにじみ出ているぞ!!!!
お願い、あめこさんめっちゃ売れて!!!!!!!!!
ドン引きすぐるらいめっちゃ売れて、嫉妬も多分するけど、とにかく売れたら沢山の人が絶対に救われるから、ほんと売れて!!!!!
女だから、重版して。ゴリゴリに重版して私にお肉のお寿司おごって!!!
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