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いつまでもワクワクとときめきを「高齢者向けファッションレンタルサービス」

いつまでもワクワクとときめきを
「高齢者向けファッションレンタルサービス」を実現したい!

ずっとずっと、おしゃれな女性でいたい!!
年齢であきらめることなく、ファッションを楽しむんだ!!

誰もが、いつまでも、活き活きと笑顔で過せるように。
そして「高齢になればファッションは必要ない」という風潮さえも、
変えていきたい!!

でもね……
振り返ると、おしゃれ好きで流行りの服をすぐ買ってしまう母には、
「また買ったの?」と、つい言ってしまう…。
だから「物を減らしても、お洒落を楽しみ、笑顔は増える」を合言葉に、
「高齢者向けファッションレンタルサービス」を実現するのが、私の夢。


【自己紹介】

私は、香川県内を中心に全国で「研修講師」として活動している。
専門は「ビジネスマナー」と「接遇」。
香川大学大学院では、海外の留学生に日本のビジネスシーンでの
社会人基礎力と会話力を指導する非常勤講師。
香川県警察学校・香川県消防学校では特別講師として、
警察・消防に特化し、実際の案件から再発防止も含めた内容で、
初任科生の講義を担当している。
これまで、医療関係では医療接遇研修。
介護施設では、介護職員初任者研修やリーダー研修なども担当してきた。

 

そんな私が起業に向けて模索しているのが、専門分野外である
「高齢者向けファッションレンタルサービス」
である。

【きっかけ】

私の母は、83歳。今も元気で一人で生活している。とにかくお洒落好き、
流行に敏感で新しい物を購入し、若々しく見られることが生きがい。
元気で、楽しみを持ち過ごしているのは、とても喜ばしいが…
洋服の多さは、悩みのタネだ。高齢の親を持つ私たち世代にとって、
実家の片付けは、今後の課題。そして、今後の日本の課題ともいえる。
何より、つい「また、買ったの?」と母に言ってしまう自分対しても、
嫌になってしまう。
 けれど、私も子ども達が成人し、主人と第二の人生を考える年齢となり、10年もすると高齢者の仲間入り。その頃には母と同じように、
女性としていつまでも美しく・お洒落を楽しみながら
人生の終盤を過ごしたいという気持ちになるだろう…。

話題の韓国コスメを買いにきている母

【プランの発案】

そこで、この「お洒落を楽しむ」と「洋服を減らす」を、両立できないかと考えたのが、『高齢者向けファッションレンタルサービス』である。
高齢者といっても、アクティブシニアから介護が必要な方まで、
一括りでは難しい。
このビジネスプランを事業として立ち上げるなら、明確なターゲットの
見定めが必要となる。
本ビジネスプランでは、民間企業が在宅型施設として運営し
自立している方が入居する「サービス付き高齢者向け住宅=サ高住」と
「有料老人ホーム」を、事業当初のターゲットとしている。

本プランの事業当初のターゲット

自立はしているが、一人住まいや家族が県外の為心配といった理由から、
早い段階で高齢者施設に入居する方も増えているのが、現状だ。
入居することで食事の手間が省け、住まいの手入れやセキュリティの面で
安心感はあるが、決められた居住空間で生活し
限られた収納の中で、洋服を管理しなければならない。
そのうえ日本は四季があるため、必然的に洋服は増える。
 また施設に入居することで、買い物や自由に出かけることが
制限される。それにより、気に入った洋服を手にする機会も、減ってくる。
ここで重要なのは、高齢者施設に入居する8割が女性であるといった点。
これまでお洒落を楽しんでいた方々にとって、
自分の気に入った洋服を着る・アイティムを増やすという
当たり前に出来ていた事にも制限がかかることで、
日々の満足感や生き甲斐にまで影響する。
このように「限られた空間の有効活用」と「自分で洋服を選ぶ喜び」いった
ニーズに応えるサービスを、高齢者施設に展開していきたいと考えている。

ビジネスプランのターゲット


【明日を楽しみに生活することの大切さ】

私は、長期入院の経験がある。

 

長女・次女ともに、妊娠から出産までの9か月間、ずっとパジャマで、
点滴しながら天井を見る生活。限られた空間、狭いロッカー。
食事の心配もなく、一年を通して室温も保たれ、何かあれば看護師の方も
来て下さる、安心できる環境。
けれど長期の入院は辛く苦しく、日々当たり前に出来ていたことができないことの悲しさ、せつなさ。「普通の生活」がどれほど、有難いことなのかを痛感させられた。せっかく主人や家族が面会に来てくれても、
いつもパジャマで。気持ちの切り替えも出来ない毎日。
そのような日々の中で、私を支えていたのは
「明日の自分を想像し、日々を過ごすことの大切さ」
私は「子どもを育てる!」という未来が描けていたから、
辛い状況も乗り切ることができた。

では、高齢者施設は、どうだろう……。環境も、食事も申し分ない。
けれど、みんな一緒。アイデンティティにも関わる「自分らしさ」は
高齢になるほど、望めなくなってしまう。
そしてもう一つ、日々現実と向き合うことの不安。
入居している方々は、日に日に弱っていく先に入居した方の姿を目にする。いつも元気な姿を見せていた人が、今日は談話室に居ない。
そんな日もあるだろう。
否が応でも、自分の何年か先の現実を目の当たりにしているのだ。
私が届けたいのは、ほんの少しでいい。
ほんの少し、気持ちが上がるきっかけ作り。
食べる物も一緒、施設内での決まりやルールを守りながらの共同生活。
そのような中で、いつもは着ない明るい色の洋服。デザインが素敵な洋服。
持っているアイティムとコーディネートできる洋服。
自分らしさを出せる喜び、自由に選べる幸せを
ファッションを通して、味わっていただきたい。
このビジネスプランで「自分らしく、明日を楽しみに生活すること」を
「ファッション」を通して、叶えていきたいんだ!

【高齢者向けファッションレンタルサービス導入のメリット】

 このビジネスプランのメリットは高齢者だけではない。
高齢者施設で働く施設職員や介護士の方々にとっても、
施設でのレクリエーションの企画・準備の軽減につながる。
認知機能低下防止のため、各施設では軽い運動や手遊び・物づくりといったレクリエーションを年間行事と並行し、毎月・毎週のように企画して
利用者や入居者の方に楽しんで頂けるよう、準備している。
その手間と労力、費やす時間は、私達の想像を超えているであろう。
そこに、施設に定期的に訪れる「ファッションレンタルサービス」を
導入することで、私達サービススタッフの訪問している間は、
心からお任せできる時間がもて、事前の準備という手間も省ける。

施設内での入居者とのレクリエーション

高齢の入居者の命を預かるという、緊張感のある毎日を過ごしている
施設職員の方々の、ほんの束の間の「ほっ」とする時間でもありたい。

 ご家族にとっても買ってきた洋服と、入居者ご本人の好みの違いといったミスマッチを防ぎ、洗濯や衣替えといった負担も減る。
なにより、面会時の笑顔の父や母の様子は、心からの安心につながる。

また高齢者施設にとっても、サービスを導入することで
施設の付加価値となるだけでなく、入居を考える高齢者やご家族から
選ばれる施設として、他施設との差別化につながる。

【サービス導入で目指すこと、そこから生まれる価値】

 私が届けたいのは、洋服だけではない。
サービスを提供する上で共に過ごす空間・時間の中に、
満足度を上げる価値を生み出したいと考えている。

①高齢者施設に入居している方々には、
定期的な訪問とお届けした洋服で、日付の感覚と四季を感じて頂きたい。
2着レンタルすることで、コーディネートの喜びも味わって頂きたい。
また、レンタル手続きと借りた洋服の管理はタブレット端末を活用し、
利用者の方がレンタル品を手にした様子を写真撮影することで、
年齢による認知機能の衰えから起きる、借りた物の忘れや行き違いを
防ぐことができる。そのうえ、利用者の姿を写真撮影することで、
レンタル手続のやり取りでさえ会話も弾み、楽しみに変えることもできる。
そのような交流や写真を確認することで、身だしなみにも意識が高まり、
笑顔での会話や褒められる言葉から、自己肯定感も上がるだろう。

 

②介護職を挫折した方々の受け皿にもなりたい。
訪問するのは、介護資格を持つ女性2名。これまでの経験を活かして、
レンタル時のサポートをするほか、各施設の好みや傾向を捉えて
次回のお届けに活かすことが出来る。
また、ビジネスプランについて施設長の方にインタビューした際にも
「介護を目指したものの離職した若い人材が、その培った経験を
今度はファッションで活かすことができるのは、有難い」との声も頂いた。
介護現場で新人職員が、実践的な技術を覚えるには大変な苦労があるが、
指導する側の上司や先輩介護士にとっても
積み重ねた時間と労力は、計り知れない。
せっかく成長して一人前の介護士になったと安心したのもつかの間、
退職や転職、転勤といったことを、施設長の誰もが経験してきている。
介護資格取得者が、もう一度「介護現場」で挑戦するチャンスとして、
このビジネスプランを評価してくださったことが、何より嬉しかった。

【サービス展開が難しい地域と課題】

私の住む香川県は、気候が温暖で災害も少なく美味しく新鮮な食材も多い。転勤で香川県でお住まいになった方誰もが、「老後は香川」でというほど…
恵まれた地域である。「うどん県」で認知されているだけあり、
物価も安く、早く・美味しく・安く食べれるお店も多い。
その香川県でこの高齢者向けファッションレンタルサービスを
事業として立ち上げるとなると、難しい側面が見えてきた。
高齢者施設へのヒアリングの中で、
「田舎で農家の方が多く、衣服への興味がない。
身に着けている物に対しても、無頓着の人が多い」との回答を頂いた。
ただ、支店経済で栄え県庁所在地である高松市の中心部となると、
逆の回答を聞くことができた。施設の立地が商店街や百貨店と近いため、
身だしなみにも気を遣い、出かけることが楽しみである入居者が多い。
また、朝食会場に身だしなみを整え、履物もサンダルではなく、
靴やローヒールで集まるとのこと。それも一人だけではなく、
施設内の誰もがである。
施設担当者は、このきちんと感がいつまで続くのか…と様子を見ていたが、新規受け入れから3か月経っても、なお変わらず
身支度を整え洗練された雰囲気で、朝食会場に足を運ぶという。
このように香川県内だけでも、高松中心部とその他の市町となると、
ファッションに対する意識や受け止め方も、様変わりすることが分かった。

香川県 市町の位置図

また、高齢者施設をいくつもインタビューしていく中で、
高齢者のファッションについて、施設により受け止め方や必要性の有無が、
分かってきた。
多くの施設ではやるべき事も多く、安心・安全に努めるだけで精一杯。
ファッションで入居者の満足度を上げるという新規事業や考え方に対し、
ハードルが高く、後ろ向きである事も分かってきたのだ。

【お洒落は、高齢になれば諦めないといけないのか……?】

香川県主催のビジネスコンテスト『瀬戸内チャレンジャーアワード2023』で、私は専門分野外であるこのビジネスプランを最終発表した。

瀬戸内チャレンジャーアワード2023 ( 2023.10.9 ) 登壇の様子

他のチャレンジャーのように既に起業や会社として運営している上で
発表するのとは違い、3カ月間という短い準備期間では、
儲かる事業としての収支の積み上げ、リアルな導入先までを明確にできず…
グランプリ・準グランプリを逃した。
ただ、総評の時に伝えられた審査委員長からの感想とアドバイスの中で
このビジネスプランを事業化していく上での「key」となる言葉を頂けた。
「高齢者にファッションで喜びを…誰も考えない」というコメント。
私はこの言葉の中に、真実があると考えた。 
高齢になったらもうお洒落までは、いいんじゃないか…」と。
きっと世の中の誰もが抱く、この価値観や風潮を変えていかないと、
高齢者の方が笑顔でお洒落を楽しむ世の中には、ならないと。 
本当に、高齢になればお洒落は必要ないのだろうか…
この投稿記事を読んでくださっている皆様は、どうお考えになりますか?

最終発表に臨む前、
友人達から激励と共に、たくさんのリアルな経験談を聴く機会があった。
友人の祖母が高齢者施設に入居したケース
あれだけ洋服に気を使い、バックなど身に付ける物にもこだわりがあった
祖母が、施設内の他の入居者の方に気を使い、施設に持ってきているのに
身に付けることがなくなり、だんだん気持ちも体も弱っていったとのこと。
他の友人からは、祖母が気に入った洋服を着ていると、他の入居者の方から羨ましがられたり、ひがまれたりされることもあり、
施設内で毎日顔を合わすことから周囲に気を使って、
好きな洋服でさえ着ることが出来なくなった話も、聞くことができた。
高齢者施設の約8割が女性。女性が多い分、難しい問題だと感じる。
ただこの女性の割合が多いことは、逆の発想で利点に変えることも
出来ると考える。

瀬戸内チャレンジャーアワード2023 発表の様子

それは、女性はファッションで気持ちの切り替えをしてきたということ。
私もそうだったが、妻として、母として、仕事での立場や役目。
嫁の立場や、親族の一人として。TPOに合わせ洋服を着替えるように、
普段の自分、仕事の自分、年間行事から家族の節目にと、
その時々に身に付ける装いで、気持ちのスイッチを切り替えてきた。
袖を通すことで、背筋が伸び、気持ちを引き締め、表情までかわる。
女性にとってファッションとは、アイデンティティそのもの。
私自身、瀬戸内チャレンジャーアワード最終発表の場で着用する洋服にも、やはりこだわりがあった。身に付けることで登壇の意気込みや緊張感までも追い風やプラスにするべく、ゲン担ぎのようでもあった。
女性にとって、ファッションは自分を表現し気持ちを切り替える上で、
切っても切れない物であると考えている。
そして、誰か一人だけがファッションを楽しむ状況では目立つことも
施設内の誰もが、自分の好みの洋服を気軽に手に取り楽しめる環境作りで、
周囲に気を使い、生き甲斐を奪われることも無くなっていくにちがいない。

【ビジネスマナー講師の私が、なぜ専門分野外の起業なのか…】

 これまで、高齢者施設や医療機関での「接遇研修」を担当してきた
私にとって、研修内容で必ず触れないといけないキーワードが
「高齢者との接し方」である。「親しみやすと馴れ馴れしさの違い」と言う切り口で「世代間ギャップを円滑にする会話力」について指導している。

研修の様子 ( コロナ禍での対面による研修 )

世代間ギャップを円滑にする会話力研修では、敬語を含む丁寧な表現と
「褒める時には、タイミングと褒める内容が重要」という点も、指導する。
事例の一つとして……
高齢男性が食事をしている時に、若手の介護職員が
「○○さんお箸も上手に使えるようになって、今日はこぼさず綺麗に食べれましたね。」と伝えて、高齢男性を激怒させたというシチュエーション。
では、どのような声のかけ方が適切であったのか?
ポイントは2つ。
高齢男性にとって、お箸を使って食べることは、当たり前のこと。
これまでこぼしていたのは、脳梗塞の後遺症で手の動きが悪かったためだ。
豆を箸でつかむなどのリハビリをして、お箸を使えるようになったのだ。
このシチュエーションでは「ここまで、リハビリをよく頑張りましたね」
という声かけが、正しい。
伝えるタイミングと褒める内容がいかに重要か、実例から学ぶ研修である。
介護士の一日の仕事量は多く、タスクも多ければスケジュールもタイト。
そのうえ重労働という職場環境で、会話と話の内容までよく考え意識して
伝えなければならないという、負担を増やし不安にさせるような指導。
指導する立場でありながら、心苦しいのが本音である。
どのようにお声掛けしようか…と、一言ひとこと悩むような高齢者との
コミュニケーションではなく、ストレートに笑顔で話せるシチュエーションが施設内にあれば良いのに…というのも、ファッションレンタルサービスを高齢者施設で展開したい一つの理由でもある。
「よく似合いますね。」「この服、私も着れそう!」と、もっと気軽に笑顔で言葉を交わせる空間や時間を作れないか…と、想いを巡らせている。

【レンタルすることで、チャレンジを楽しむ自分になれる】

これは年齢関係なく、誰もが経験することだが……
自分に似合う洋服選び、そして自分らしさを追求することは、
常にチャレンジだ。
「着てみたいけれど、自分に似合うのか?」
「持っている洋服と、合わせられるのか?」
憧れはあっても現実的に購入するとなると、心配になる。
そのため結局失敗したくないから、同じような色合い、
無難なデザインを選んでしまう。 ならば……
トライ&エラーでさえリスクではなく、楽しみに変えられないだろうか。

 

私は「レンタル」や「サブスクリプション」の利用を選択肢の一つに
加えることで、チャレンジへのハードルを下げることができると思う。
着てみたいデザイン、挑戦してみたいカラー。
ワクワクと好奇心高まるコーディネート。
日常のシーンに合わせてあれこれ選び、組み合わせる楽しみも。
非日常といえる旅行やイベントの時なら、なおさらいつもの自分とは違う
雰囲気や表情を見せたいだろう。
そんな気持ちに応えられるのも、「レンタル」の良さだと感じる。

若い方や30代~40代を中心に「レンタル」や「サブスクリプション」も
浸透してきた。
ただ、高齢者世代のファッションにおける「レンタル」というと、
フォーマルウェアが中心。

友人との会食やお出掛け、家族との幸せな日常を彩りお洒落心を満足させる
ファッションのレンタルサービスは、ない。
今のままであれば、自分が歳を重ね高齢と言われる年齢になった時に
お洒落を心から楽しみ利用できるサービスは、無いのだ。
自身の未来を想像すると、寂しい……。
今後、高齢者世代が断捨離し終活するうえでも、需要は高いと考えている。
経済成長と共に時代の先駆者としてファッションを楽しんできた世代も、
アクティブシニアと呼ばれる年齢に近づいてきた。
物を増やさないだけでなく、お洒落を心から楽しみチャレンジできる
「レンタル」から得られる、生活の中の潤い、袖を通す喜び。
いつもの自分とは違う表情。活き活きと、人生を謳歌する姿。
私は、高齢と呼ばれる世代にも、そして今後の自分の為にも、
このビジネスプランを、「ビジネス」として成立させ、世に浸透させ
持続していきたいと考えている。

【傾聴ボランティアをしていた母からの話】

冒頭で紹介した83歳の私の母は、コロナの影響で面会に制限がかかる前の
79歳まで、介護施設で「傾聴ボランティア」をしていた。
どんな活動をしていたか聞くと、ただ入居している方の話をゆっくり
うなずき、笑顔で聴いてあげるのだそう。
車いすを押しながら、童謡や昔懐かしい歌謡曲を一緒に歌ったりと、
同年代だから分かる昔の思い出や出来事を振り返り、共感しあえることが
入居者の方の心を癒すようだ。
「悪いけれど、息子に電話して。
一度家に、自分の服を取りに帰りたいから…」と、
小さなメモ書きを渡される事もあったという。
母としては、それは出来ないので、本当は電話していないけれど
「息子さん。お仕事で忙しいみたいで、繋がらない…」と、なだめつつ
電話番号をそっと返すという。
きっと「家に洋服を取りに帰る」というのは、家に帰りたいという
一つの口実だとは思うが、そのようなやり取りは、
一人や二人ではないそう。
コロナ禍で、家族との面会もままならなかった入居者の方々にとって
この4年間は、寂しさと我慢の連続、辛抱の毎日であっただろう…
ボランティアでも、できることがある。
だがボランティアでは出来ない事、賄えない事があるのも事実だ。
サービス導入により費用負担はあっても
心が満たされること、気持ちが温かくなること、心が緩むサービスを
展開することで、高齢者施設に入居している方々の心の拠り所になれれば、
この事業を立ち上げることに、大きな意味があると思う。

 

【高齢者に関わる全ての方に、してもらえる喜びを……】

日々の生活の中で「してあげる」「してあげなきゃ」「するべき」という
心の中にある、自分を追い立てる言葉の数々。
特に介護となるとその負担も大きく、これらの言葉がついてまわる。
「自分にも優しく、自分にも何かしてあげる」時間を持てない時、
人は、心が疲れ切って、胸が苦しくなり、
ポジティブに物事を考えられなくなる。
まして、家族となれば、そして介護が長期間となれば
その痛みや辛さを代わってあげられないもどかしさで、
ますます、自分を「○○してあげなきゃ」で追い込む。
誰もが歳をとる。そしてこれから誰もが介護していく立場も経験していく。
この社会課題でもある、高齢者自身と私達世代の悩みに向き合い
解決の糸口となるサービスとして、「してもらえる」ことが、
1つでもあれば……
ギューっと頑なになった心が、ほんの少し柔らかく、楽になると思う。
『高齢者向けファッションレンタルサービス』が
高齢者はもちろん、高齢者を支えるご家族や取り巻く関係者の方々にも
「してもらえるって、有難い」「お任せできる」と託してもらえるよう、
実現化していきたい。

高齢者だけでなく、周囲も幸せなサービスを目指して


【高齢者施設は、安心・安全だけでいいのか?】

これから高齢化がますます加速する中で、高齢者施設に求められることは
時代とともに変化していくと思う。
私は、安心・安全だけでなく、生活の中の幸福感をいかに提供できるかが、
今後重要になってくると考えている。
施設内でずっと生活していると、顔見知りの入居者が弱っていく、
今日は姿がない…といった状況から自分もいつかそうなるのか…と
否が応でも頭によぎる。
何を頼りに、何を楽しみに毎日過ごすのかは、気持ちを整理し心豊かに
暮らすために、必要不可欠。今後、施設運営で求められることとして
「カスタマー・エクスペリエンス=顧客体験価値」を生み出すことが
重要視されると思われる。
入居者自身が、実際に体験することで生まれる「感情的な価値」
例えば、届けた洋服を実際に手にし触れることで
「素敵」「きれい」「嬉しい」「楽しみ」「ワクワクする」といった
感情が積み重なり、満足度やかけがえのない価値となるのだ。
このように、高齢者の顧客体験価値を、
ファッションを通して叶えていきたいと、私は考えている。
施設職員以外の人が定期的に来訪することで、新たな関わりが生まれる。
そして「明日この服を着て、面会の家族と会おう」といった楽しみや、
施設職員や仲の良い入居者から「似合っているね」と言われる嬉しさ。
自分で自由に洋服を選ぶ幸せ。自分で選んだ服に袖を通す喜び。
感情的な価値が増すことで「生活の中の幸福感」を実感できるよう、
洋服だけではなく幸せになれる体験も、お届けしたい
と考えている。

【高齢化社会の中で私がかなえたい夢の、市場規模は】

国内に目を向けると…
超高齢化社会となった日本での、シニアマーケットは、101兆円。

日本人の3人に1人が、高齢者の時代  シニア市場規模
シニアマーケットでの産業ごとの市場規模 みずほコーポレート銀行産業調査部資料から引用
本プランのターゲットとその割合 みずほコーポレート銀行産業調査部資料から引用

本プランのターゲットは、民間企業が運営する在宅型の有料老人ホームと
サービス付き高齢者向け住宅、シニア向け分譲住宅といった
介護産業15.2兆円の20.3% 、約3兆856億円だ。

今後は「ご家族が申し込む」『個別レンタル』も計画することで、
「生活産業」市場も、視野に入れている。
高齢者施設に対する施設サービスだけでなく、ご家族がスマートフォンから
ポチッとレンタル手続きができるようにすることで、衣類を届けられない
困った時に、手軽で安心できるサービスになれると考えている。
病院のパジャマとタオル一式のレンタルも、一般化してきた。
今後は高齢者の衣類レンタルも、一般化する一つのきっかけになりたい。

家族が申し込む「個別レンタル」の市場規模 みずほコーポレート銀行産業調査部資料から引用

また事業展開を、第4フェーズまで考えている。
第1フェーズは、紹介した高齢者施設に対するレンタルサービス B to B
第2フェーズ
は、ご家族が申し込む「個別レンタル」B to C
この第2フェーズに入るまでに、スマートフォンからの手続きと
返却のシステムを構築し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を駆使して、B to Cへと提供範囲を広げることを目指していきたい。
できることなら、団塊の世代が高齢者施設に入居するまでに、このシステムを構築することで、身近にあるスマートフォンやタブレットといったIT機器の取扱いに長けた世代の、ニーズに応えることができると考えている。
第3フェーズは、観光業界とファッションレンタルを合わせたサービス
これから高齢者がますます増える中で、旅行を楽しむシニアも増える。
例えばオーロラを見に行くために、極寒用のダウンコートを
1度の旅行のためだけに購入するのは、割に合わない。
そのような、観光や旅行の時にだけ身に付ける衣類や洋服、
季節商品に特化したレンタルを行うことも、考えている。
第4フェーズは、アクティブシニアと呼ばれる高齢者の方々への提供 B to C
ファッションを楽しみたいけれど、物を増やしたくない世代のニーズに
応えるレンタルサービス。若い頃から、レンタルやサブスクリプションの
利用で借りることに抵抗がない世代が、高齢と呼ばれる年齢になるまでに
運用し普及できれば…と考えている。

【レンタルでSDGsの一助となりたい】

高齢者施設で最後を迎える方がいらっしゃる以上、
タブーかつリアルな話も、あえて触れないといけない。
入居者がお亡くなりになると、ご家族が貴重品などの遺品整理をした後は、
「全て、捨ててください」と、伝えられることがほとんど。
施設職員の方は、まだ袖も通していない真新しい洋服や
生前大切にしていた品物を、心は痛むが指示通り捨てるのだそうだ。
また友人達の話でもよく話題になるのが、自分の母親達のタンスに眠る、
品質の良い服や、ブランド品の行く末。
「いつか着るから。いつか使うから。」で、使わずじまい。
もったいない洋服や品物を循環できないか…といった事だ。
今ファッション業界では、衣類の過剰供給による弊害や環境負荷
焼却による地球温暖化、人道的観点から労働力の搾取が問題となっている。

 

これらのことを鑑みると、新品の洋服を卸業者から購入するたげでなく
未使用品やリユース品も含め、衣服が循環する世の中作りも必要と感じる。
富裕層高齢者施設から、未使用品や状態の良い洋服を買い取るシステムで
高齢者施設に居ながら買い物せずに「憧れ(の洋服)を身に付ける機会」も、
設けたいとも考えている。

【いつまでも、ワクワクとときめきを…】

私は、いつまでもワクワクとときめきを持ち生活をしていくことを、
ファッションを通して叶えていきたいと考えている。
それこそが、私の夢だ。

本ビジネスプランの「VALUE」は、
命には限りがあるからこそ「時間と体験を、価値あるものに…」

タイトルの「いつまでも」には、理由がある。
「いくつになっても」という言葉だけでは、年齢だけになってしまう…
このサービスが、「時代が変わっても」
        「健康状態がどのようであっても」
        「どこに居ても」 (自宅でも、施設に入居していても)
        「洋服としての、機能が続くまで活用し」
        「美しい地球が保たれ、未来につながるよう」

美しい地球を、未来の子供たちに引き継ぐために…

『物を減らしても、お洒落を楽しみ、笑顔は増える』を合言葉に、
日々の生活に寄り添うサービスとして、実現したい!!


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