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お金について考える#1_そもそもお金ってなんだろう

2015年に森信親氏が金融庁長官に任命され、「貯蓄から投資へ」のスローガンが話題になりました。
その当時から投資を始める前にしっかり勉強しようと数冊の本を読み、2018年1月から始まった積立NISAを機に投資を始めました。

基本的に長期・分散の投資信託しかやっていませんが、かれこれ4年で資産ポートフォリオも綺麗に分散してきています。

noteを始める前に読んだ本のなかでも、特に面白かった2冊の本を「お金について考える」シリーズとしてまとめることにしました。

まず1冊目は2011年に発行された池上彰氏の本です。
当時は金利ってなんだろう?ってレベルだったので、本当に参考になりました。
何冊か読みましたが、この本ほど分かり易い本はありませんでした。
文字数:約5,400

参考図書

第1章 お金の歴史

◼️お金の誕生
・お金が存在しない時代は全て物々交換
物々交換は分かりやすいが、商談成立すること可能性が低く効率が悪い
・そこで条件の合う人同士が出会う場として市場が誕生した
交換する元となるみんなが欲しがる共通の物が生まれてきた(日本の場合は米や布)
・中国では共通の物として子安貝が使われていた、その名残でお金に関係した感じには貝が多く使われている
・古代ローマでは兵士への給料は塩(サラリウム)だった、ここから転じてサラリーと言う言葉が生まれた
共通の物は地域によって様々で使いにくい面もあったため、使い勝手の良いものとして金、銀、銅になった
・金、銀、銅は古代の技術でも融かすことができ、持ち運びしやすい貨幣になった
当時の貨幣は持ち歩くには重く、危険も伴ったため、お金持ちに預けて、信用あるお金持ちから預かり証を発行してもらった
・この預かり証に対して、みんなが確実に金貨に変えてくれると信じた瞬間から預かり証で交換可能となる、これが紙幣
・お金はズバリ、欲しいものを得るための交換手段

◼️お金の管理
お金が生まれると次は管理する人が必要で、それが両替商
・両替商には、金一両は何銭で取引されているのかなど読んで金銭の売買を行う仕事と預かり証を発行することで信用取引を仲介する仕事(銀行)
昔のお金は兌換紙幣(紙幣を銀行に持っていけば同じ金額の金と取り替えることのできるお金)だった
・兌換紙幣によって自分の持っている金以上に紙幣を刷る人が現れ、いつでも金に変えてくれると言う信用が崩れてしまう
・明治時代、金融不安を抑制するために紙幣の発行を各銀行に任せるのをやめて、国の信用を背景とした中央銀行にだけ紙幣の発行権を与えた、これが日本銀行

◼️日本銀行の役割
①銀行にとっての銀行
・各銀行が持っている日銀口座は普通預金でなく当座預金(決済専用、利息なしだが手形や小切手を発行できる、また特徴としてペイオフになっても預金額が全額保証される)
・A銀行からB銀行に振込みした場合、実際にA銀行の人がB銀行にお金を持って行くわけではなく、A銀行の当座預金からB銀行に振り込みされてお金が移動している

②政府の銀行
私たちが納めた税金は日銀の金庫に入っている、また交通違反の罰金も日銀の金庫に入っている

③紙幣の発行
兌換紙幣のときは「金の量がお札の信用を担保」しており、これを金本位制と言う
金本位制は、その国が持っている金の量しかお金を発行できないため、市場に流通するお金を制御する金融政策に限界が生じた
・20世紀の経済発展についていけないと考えた当時の先進国は金本位制を離脱し、不換紙幣へと移行した
金本位制の離脱はお金の価値が信用・信頼になった
金本位制でなくなったとき何を基準に紙幣発行するかというと、金に代わる価値のあるもの=国債

◼️国債
・金本位制でない場合、稼いだ量(いまの金の量)でなく借金(国債)によってする発行するお金が決まる
・政府が発行した国債を銀行や個人が買う→中央銀行はその国債を買い上げ、その買い上げる額と同じだけの紙幣を発行する
・インフレを避けるために政府が発行した国債を日銀が直前引き受けずに、各銀行が買った国債を買い上げて、その時点で紙幣を発行することで、政府が無尽蔵に国債を発行することを防いでいる

知らないと損する 池上彰のお金の学校
ISBN978-4-02-273417-4
P12〜P26

第2章 銀行

預金しているお金が経済学では余っているお金
・この余っているお金を、貸して欲しいところに引き合わせるのが金融の仕事
・銀行はお金を貸す人と借りる人の間に立って、お金を返せなかったときのリスクをとっておりこれが利子となる
◼️金利
金利は経済のカラクリが全て含まれていると言っても過言ではない
①金利を得る=我慢する
・いまあるお金を使わずに我慢することで金利を得る
・引き出すまでの我慢が長く厳しいほど高くなる
我慢の具合は世の中の状況も影響し、景気が良いときは欲しいものがたくさん出てきて、多くの人が早くお金を使いたくなる(金利が高くなる)、一方不景気のときは不安からお金を使わずに我慢する人が増える(金利が低くなる)

②お金を借りる=レンタル料を払う
・銀行からお金を借りるのは、そのお金を一定期間自由に使うためのレンタル料
◼️金利の決め方
・金利は現在自由化されている(日銀が勝手に決めることができない)
・日銀が決めた金利を公定歩合と呼び、「各銀行が日銀から借りるときの金利」のことであり、各銀行は公定歩合に連動するように規制していた
・1994年10月に銀行同士の競争意識を持つべきとなり、金利は各銀行で決めることができるようになった
①国が決める短期金利
・金融機関同士は頻繁にお金の貸借りをしており、金融機関同士で呼びかけ合う市場があり、これをコール市場という
コール市場でつく金利が最も代表的な短期金利であり、あらゆる金利を決める際の基本となる
短期金利は基本的に市場に流通するお金の総量を増やしたり減らしたりすることでコントロールできる(日銀がコントロールできる)
公定歩合が機能しなくなった現在の政策金利は、国が各銀行の持っている国債を買い上げたり、各銀行に国債を売ったりして金利を調整する
みんながお金が欲しいと考えているときは金利は高くなり、みんなが欲しくないときに市場にお金がたくさんあれば金利は低くなる
景気が良いときに市場のお金を減らすと金利は高くなる、景気が悪い時に市場のお金を増やすと金利が下がりお金を借りやすくなる

②市場が決める長期金利
・代表的な金融商品は10年物国債、この長期金利は発行済み国債の売買状況によって決まる
・債権市場で取引されている国債は毎日値段が変わる、国債に人気があり大勢の買い手がいるとき額面100万円の国債が101万円に値上がりすると、利子はどちらも2万円で変わらないので、100万円で買った人は利率2%、101万円で買った人は利率1.98%となり、国債の価格が上がると長期金利は下がる
・発行済み国債の価格が上昇すると金利が下がり、価格が下がると金利は上がる
日本のように財政赤字でも国債を発行すれば市場の国債の量が増え価格が下がる、また政情不安などによって国債の格付けが下がれば、「この国債は満期で本当に現金化できるのか」と投資家が不安となり価格は下がり、金利は上がる
金利が上がる現象には
1、良い金利(景気が良くお金への需要が高まる)
2、悪い金利(国債への信頼が下がる)
がある

・質への逃避と呼ばれる現象によっても国債金利が上がり金利は下がる、これは株価が上がって「今は株が儲かりそう」というときは国債を売って株が買われて国債の流通価格が下がり長期金利が上がる

◼️リーマンショックから読み解く金利
・銀行が一つ破綻すると「もしかすると他の銀行も危ないのでは」と不安が広がり、金融機関同士のお金の貸借りが鈍化し市場全体にお金が回らなくなり不況になる
・銀行間のお金の貸借りは無担保なので、相手が金融機関だからといってうっかりお金を貸すと返ってこないかもしれない、無担保だから倒産したら丸損」と互いに考えるようになり本当に必要なところにお金が届かなくなる
・この状況下で政府はコール市場にお金が余る状態を作った、お金が余ることでただ持っていても意味がないから貸そうと考えると踏んだ、これを金融緩和と言う
金利は需要と供給のバランスで決まる、借りたい人がたくさんいて、貸したい人が少なければ金利は上がり、逆なら下がる
・日本の金融機関にあるペイオフ制度は金融機関が倒産しても預金なら1,000万円とその利子までは預金者に必ず払い戻される制度

知らないと損する 池上彰のお金の学校
ISBN978-4-02-273417-4
P28〜P67

第3章 投資

◼️株式投資
・株とは株式会社が資金を集めるために発行する証明書
・株の売買を会社と投資家の間で行うのが証券会社
・基本的に証券=株と考えてよく、それを持っていれば何らかの形で利益が得られる証明書
証券会社はまだ上場していない企業を探して上場させて手数料を得ることもしている
・東インド会社から始まった株式会社は当時のヨーロッパに肉を保存するための香辛料を求めてアフリカやアジアを航海する人たちのリスクを減らすことが出来ないか、という視点から始まった
・当時は船を買うのも、船長を雇うのも、船員を集めのも資金が必要だったが、香辛料を持ち帰ることが出来れば大儲け、失敗すれば死すら有り得るダメージを負うことになる
株式会社はみんなでお金を出し合い、利益をみんなで分け合うことになる
当時失敗しても出したお金を失うだけ、成功すれば大儲けというシステムは画期的だった
・株価が上がっても企業に直接お金が入ってくるわけではないが株価を上げようとする理由は
1、社会的な信用が上がる
2、新株の発行を有利に行える
→新しく資金を集めるために新しく株を発行する増資を行った際に新たな株をより高い額で売れる
・株式を分割することもある。これは株価が上がりすぎて個人投資家が手を出せないような時に用いられる(時価総額は変わらない)
・あまり細かく分割するとコストがかかるデメリットもある
・経営陣で自社株を買い占めて非上場にする企業もあるが、その大きな理由は
1、ダメになった会社を根本的に立て直すとき
・株主の意見を聞かずに大胆な経営改革ができる
2、株主からうるさいことを言われたくないと経営陣が考えたとき

◼️債権
・債権とは「確かに借金しました。満期が来たら利子をつけてお返しします」と記載された借金証書
株式会社は「株を発行する」「銀行から借りる」「社債を発行する」の3つの方法で資金調達する
株は利益が出れば永続的に株主に配当金を出すので、長期的な資金調達に適している
社債は銀行から借りるのではなく、証券会社を介して広く一般の投資家から借金すること
・社債を発行できるのは、一般の投資家たちからかなりの信頼を勝ち取っている企業に限られる
社債の金利に影響するのが格付け会社によるランク
格付け会社はアメリカの西武開拓時代に鉄道を建設のための資金調達を背景に誕生した
・外国債もあるが、2つの注意事項がある
1、デフォルト(債務不履行)
・突然借金を返せませんと言い出す可能性がある
2、為替変動リスク
・円高になれば多少の金利差はあっという間に飛ぶ

◼️投資信託
投資信託とは専門家にお任せする金融商品
・投資信託には多種の商品があり、商品ごとに手数料が違う
・意外と気づかないのが売買手数料と同時に一年間の運用のための手数料もかかっている
・これは証券会社ではなく実際に株式を売買している会社に支払うもので「信託報酬」と言われる
・株式会社は決算書でリスクも含めたすべての経営状態を開示しないといけない、これと同じように投資信託もリスク、手数料を含めた商品の説明をしないといけない。これが目論見書

◼️ETF(Exchange Traded Fund)
投資信託が非上場株を対象としており商品数が多いのに対して、ETFは上場株
・投資信託は購入を申し込んでから投資信託会社が実際に株を買ってから4営業日くらいかかってようやくいくらで買えたか分かる
・ETFは普通の株式と同じように瞬時に売買できる

◼️先物取引
・先物とは将来の価格を今決めて取引する
・今後110円に値上がりすると予想したものが107円で売り出されていれば買いで、本当に1ヶ月後に110円になれば儲けるし、105円までしか値上がりしなければ損をする

知らないと損する 池上彰のお金の学校
ISBN978-4-02-273417-4
P70〜136

<所感>

冒頭にも記載しましたが、当時は本当に金利のことや金融緩和のことも、ただ単語として見ていただけで、その意味や原理は全く理解していませんでした。

投資するためにどうやったら金利の意味が分かるのだろう、と数冊読み進める中で、当時この本はなかなかの衝撃でした。

とにかく分かり易い

池上さんはTVでも分かり易い説明に定評がありますが、本でもその分かり易さは健在です。
この本が発行された2011年は民主党政権下の超円高、デフレ、そして東日本大震災となかなか大変な時期でした。
10年以上前の本ですが、内容は全く陳腐化せず、読むたびに勉強になるな・・・と感心してしまいます。

引き続きこの本の内容をまとめていきます。
次も身近なお金について説明してくれているので、楽しみです。


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