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物語が持つべき謎の変容に気付いた日

今日、初めて映画を視聴中に離脱した。
みていたプラットフォームはNetflix。作品名は伏せる。

その後に、この行為を引き金は物語自身だが、行動をおこさせたのは物語を見る側の『自然』が変わったことによるものなのではと思い、文章におこすことにした。

従来の、映画と漫画の違い

まず、想像しやすい例として映画と漫画の物語の作り方の差について。
最近漫画の編集者の方とお話をしていた時にこんな話がでてきた。

漫画はいつでも離脱できる。映画は映画館で見るから離脱できない。
『だから漫画は面白くないところを続かせないのが重要
『逆に映画は面白くないところをある程度伸ばしても最後に逆転して特大のカタルシスを得られるならOK

つまり、映画館では観客が金を払って上映中に出ていくとは考えられておらず、逆に漫画はスマホ上で見られるので、いつでも出ていくことができる。

この状況が、徐々に変化していくのだと思う。

最近Amazon Prime VideoやNetflixに映画を独占配信をする、というスキームが増えてきたように感じるが、そこで何かを見ることが当たり前の世代にとって、全てのコンテンツは彼らのスマホ上というフェアな土壌で闘わされる。

映画館で映画を見て育ってきた人々の中の1人として、さらにコンテンツの制作に携わる1人として意識をしていきたい。

どのように戦えばいいのか

この問題については明確に以下の2つの方法があると思っている。

1. アンフェアに戦う(自分のフィールドで勝負する)
2. フェアに戦う(他のコンテンツへの見せ方に適合する)

ただし、ここでは最終的にどちらに収束するという話はしない。
わからないうえに、結局は生き残った方がその時代では強かったという結論ありきの話になるからだ。

以下ではこの1について考えてみる。
2については「時代に迎合する」という、制作方法と言うよりもフォーマットレベルでの問題で、6分ドラマなどがそれにあたるのだと思う。

映画というフィールドで勝負する

まずは前述の1のアンフェアに闘う、がこれ。
これは映画が『面白くない時間が長い時に』『スマホの上で』どう闘うのかを考えてみる。

調査方法はNetflixでよく見られている映画がどのようなものかを調査する、という方法。
つまり、『既存の映画作品で』『スマホ上で』闘うことができている作品から知見を拝借しようということだ。

その結果、正解はない前提で、僕はこれに対する回答は『謎』だと思った。
それもただの謎じゃなくて、以下の2つの要素を備えている謎。

1. どうしても結末を知りたくなる
2. オチの推測がギリギリできない

映画作品において『物語上の謎』は当然存在するものだが、この謎のあり方にルールがあるというのが僕の気付きだ。

どうしても結末を知りたくなる謎

これを作るためには物語の中にクイズ形式をいれるのが良いように思う。
ちょうど今日アメリカンスナイパーという映画を見ていて、この映画ではクイズが非常にうまく仕掛けられていた。以下に記す。

最初のシーン
主人公が戦地で銃を持って『爆弾のような何か』を持っている子供を狙っている。子供が走り、それとともに銃声が鳴ってシーン1が終わる。
(さらにここで相方から『もしあれが爆弾でなければ刑務所行きだぞ』という注意が加わる)

画面が切り替わり、全く別の場所での回想シーンのような映像が映る。

ここでは『子供が持っていたものが本当に爆弾だったのか?主人公は打てたのか?』という問題をなげかけている。

さらに、相方の言葉は主人公になげかけたものではなく視聴者になげかけたもので、『主人公は簡単に打てませんよ』というヒントを与えている。

これにより少なくとも僕はこの銃声の結果を見るまでは間違いなく見ないと、と思った。

面白い映画ではこの『クイズ』が劇中で常に1つ以上あり、それがゆえに目を離すことができなかった。

オチの推測がギリギリできない謎

『仮にその推測が違ってるとしても』オチの推測ができる作品は途中離脱してしまうというのが僕が今回離脱した直接的な理由の推測だ。

ちなみに離脱した後にネタバレを見ると推測と合致していたようで、それは推測が間違っている場合よりも最後の満足度の点でよろしくないと思う。

『お約束』とはどう違うのかというと、お約束自体を物語全体の謎として使うのはまずい選択肢なのではないか、ということだ。

様々な要素があるために、また視聴者のリテラシーもかつてなく多様化していることから非常に難しい要因かとは思うが、今日性などを加味したギリギリ度合いを攻めていくのが良いのだと思う。

さいごに

Netflixが視聴中の速度の倍率を変えられるようにしようとした時、制作側から大きな反発があったという話は頷くことができる。

しかし、実は今回は1.4倍速で視聴していたというのに途中離脱をしたという事実はまた別の視点をもたなければならないと思わせてくれた。












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