タカカウ

「真贋」吉本隆明


 僕は文芸批評を通じて、作家や作品を見るようになりました。たとえ大方の評価が決まっているものであっても、もう一度自分の目で確かめ直してみます。そして、自分なりの見方を磨くことで、見えなかったことが見えてくることもあります。批評というのは、モノの本質を見抜く必要最低限の方法だと思うのです。
(「真贋」吉本隆明より)

 「判断」についての話。先入観にとらわれず、自分の目で確かめて、じっとみつめる、視点を変えて、いろいろな角度から見てみる。そして、見えなかったものが見えてくる。

 この作業がなかなかできないもんです。まず、先入観、既成概念というモンスターが僕たちの気持ちを萎えさせる。毎日そういうピットフォールに陥るのです、そういうことを乗り越えて「モノの本質を見抜いてやる」という心構えが必要なんですね。

 偉大な人は自分の物差しで物事の本質を見抜き、自分の言葉で語る。だから、心に響く。ああ、そうか彼らは心が解放されているのだ、とらわれていない自由なんだな。そういうものを目指したいといつも考えているんです。

真贋/講談社インターナショナル

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