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中小企業向け補助金施策の是々非々について

日経新聞の経済教室に掲載されたデイビッド・ワインスタイン コロンビア大学教授の記事はなかなかに刺激的でした。

記事の中身としては、株価が上がり低い失業率を維持しているにも関わらず好調とはいえない日本経済について、バブル崩壊後の人口動態と生産性の低下が原因となりGDPでドイツに抜かれ世界4位となってしまったこと、さらに、日本経済停滞の理由について考察しています。

私がひっかったのは、経済停滞の理由として上げた3つの内の1つです。

理由の3つとは、1.女性の効率的活用ができていない、2.起業家精神を育む文化が圧迫されている、3.大学の財源不足による高度専門教育の遅れ、です。

それぞれの原因は確かにその通りだと思うのですが、2つ目の起業家精神が育まれないことを補助金のせいにしていることが「おっ」と思ったのです。

日本の中小企業は経済協力開発機構(OECD)のどの加盟国よりも潤沢な補助金を得ている。換言すれば労働力人口のかなりの比率が、補助金なしには存続できないような非効率な企業で働いている。事業が失敗すると、労働者や起業家は新しいことを始める強い意欲を持つものだが、補助金はその機運を圧殺してしまう。

日本経済新聞  2024年4月19日付「経済教室」より引用

まず1行目のOECDのどの加盟国よりも日本の中小企業が厚い補助金を得ているというのは私が検索した程度ではエビデンスが見つかりませんでした。

次に、「補助金」がまるで中小企業の生命維持装置のような言い方をされていますが、少し言いすぎではないかなと思いました。

たしかに、コロナ禍の「お祭り」とまで言われた1兆円の事業再構築補助金や、ゼロゼロ融資の返済ができず倒産件数が増加していることなど、そう言われても仕方ないと思う部分もあります。

とはいえ補助金には、スタートアップを支援するものや研究開発、ものづくり、IT投資支援など、中小企業の成長の背中を押す施策も多くあります。

中小企業診断士界隈では、補助金の話というはよく出てきます。もちろん顧問先企業にとって良かれと思う上で補助金申請を進めるわけです。

でも、客観的に見た時にまるで意識不明の高齢者の延命策のように見えてしまうこともあるのだと認識をして、しっかりとフォローも含めて成長の後押しをできるようにしたいものだと記事を読みながら再認識いたしました。



#日経COMEMO #NIKKEI

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