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地方の中小企業が「必死の賃上げ」から「魅力ある仕事」へと転換させるために必要な企業マーケティング

地方の中小企業の賃金上昇率が都市部を上回っているという記事が出ていました(日経新聞5月12日付1面)。

もちろん、これはもともと低かった地方中小企業の賃金は上昇して差が少し縮まったというだけで、実際には上昇率トップの宮崎県と東京都の中小企業の賃金水準では12万円以上の差があります。

上昇率が高い地域としてはTSMC(台湾)が熊本に進出して以降、人材獲得競争が激しくなっている九州エリアやインバウンドで観光産業の人材が必要な道後温泉のある愛媛県などが例として上げられています。

地方と都会とでは家賃などの生活費で比較した場合の差があり実質的な生活という面では都会の方が厳しいということもあります。ただ、単身世帯などライフスタイルによっては地方においての不便さの面も含めると都会の方がリーズナブルに暮らせるという意見もあります。

記事では、大企業や外資との競争で追い込まれた結果の賃上げでは持続可能性があるとは言えない、賃上げの原資を確保する必要がある、と締めています。

大事なことは、賃上げによる水準の向上とともに、どうすれば「ここで働きたい」と思ってもらえるような魅力ある職場にできるのか、だと思います。

都会で育ち、近くの学校を卒業した人が、知らない地方で就職・転職するというのはかなりの心理的ハードルも高いです。そんな人たちもが働きたいと思える職場にはどうすればできるのでしょうか?

先日、日本の伝統工芸品の担い手が不足しているという記事がありました。

伝統工芸品産業も、その価値を正しく伝えることで都会に住んでいた人の中にもやってみたいと思う人って必ずいると思います。もちろん、賃金も重要な要素の一つではあるでしょう。でも、やっぱり大事なことはその仕事が「楽しい」、「意義がある」と思えるかどうかです。

楽しい職場というのは一緒に働く人による部分が大きいです。知らない地方には、「閉鎖的」というイメージはどうしても付きがちです。そういったイメージを変えるためには積極的な外へのプロモーションが必要です。

「意義がある」と感じてもらうには、ストーリーにして伝えること効果があるでしょう。この仕事がどんな歴史があり、誰を助け、社会にどう役立っているのかを物語にできるようにしましょう。

地方の中小企業にこそ、今は製品・サービスのマーケティングだけでなく、企業マーケティング活動が必要になっています。


#日経COMEMO #NIKKEI


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