理由に基づく選択とは-行動経済学の理解と実践65
「理由に基づく選択(Reason-based CHoise)」仮説は、人間は効用の最大化ではなく十分な理由があって選択することに自己を正当化するだけの理由があれば、その理由に基づいた選択を行うと考えるものです。
心理学のエイモス・トベルスキー先生、行動科学者のエルダー・シャフィール先生らによって提唱された理論です。
従来の経済学では効用関数モデルといって、合理的に判断して予算の範囲の中でもっとも大きな効用(ベネフィット)を得ることができるものを選択することを前提にしています。意思決定において、感情は介入しないとされており感情が影響するのは選択後の満足感によって表現されると考えられています。
しかし、実際には意思決定の段階においても感情は影響を及ぼしています。意思決定を容易にする選ぶ理由の見つけやすさという視点から選択を行っているのです。
「理由に基づく選択」仮説は、多くのラグジュアリーブランドが選ばれる理由と考えることができます。
たとえば、高級グラスの代名詞とも言われる「バカラ」を例に考えてみましょう。
王室御用達のグラスで見ているだけでもその造形の美しさにほれぼれしますよ。
でも、機能を考えるとそれはあくまでグラスです。何万円もするバカラと数百円のグラスでは比較できないと考えるのが普通ですが、飲み物を注いで飲むという機能においては同じです。もしかすると落としても割れない頑丈さは安物の方があるかもしれません。
従来の経済学の効用関数モデルでバカラのグラスを選択する理由を説明するのは難しいと言えるでしょう。
それでもやっぱり下のリンクを読めばバカラのグラスが欲しい理由はいくらでもあると思うはずです。
バカラを所有するわかりやすい理由さえあれば、何倍ものコストでも喜んで支払うことができるということです。
とんがった商品が選ぶ理由になる
ブランドストーリーやパーパス、SDG’Sなど、自社の製品やサービスに際立った「これ」という要素を見つけ際立たせましょう。
シーンとの結びつけることも際立つ要素となるでしょう。
バカラのような高級グラスを自分のために買う人は、きっと自分へのご褒美のようなものとして購入している人たちです。
忙しい1日が終わって、ほんの少しの静かな時間に一杯だけ、って時には安っぽいグラスでは癒しにならないでしょう。
つまり、ターゲットとなる顧客層が実際に利用するシーンと結びつけて訴求することによって「理由に基づく選択」を喚起することが期待できるでしょう。
最後までお読みいただき有難うございます。
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