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レンダリングインテントによる柔軟性:人間の意図と意志の力

カラーマネジメントのお話まだまだ続きます。
今回は「レンダリングインテント」をご説明します。

これは、Photoshopのプロファイルを使った色変換である、プロファイル変換ダイアログでは、「マッチング方法」として実装さています。


私はこの連載でカラーマネジメントを下記のように説明してきました。

カラーマネジメント:ヒトの色の見た目を、数値で指定・伝達可能とし、それぞのデバイスの状態を安定させ、出力可能な色の中でなるべく指定に近い色を、安定的に出し続けるようにするための仕組み。

この中でもいつかポイントがありますが、本日お話をする「レンダリングインテント」にかんしてのポイントは、「出力可能な色の中でなるべく指定に近い色を」という部分になります。

つまり、カラーマネジメントでは。必ずしも色の見た目を完全一致させることを約束していません。

「出力可能な色の中でなるべく指定に近い色を」という、ベストエフォート的な色の保証しか出来ないのです。

このブログで、ガモットの説明をしました。ガモットとは、色空間の中で、あるアウトプットデバイスが出力可能範囲な空間・面積のことをいいます。

より広い色域が出力できるデバイスのことをガモットが広い、小さな範囲しか再現できないデバイスはガモットが狭いといっったりします。

各デバイスのガモットの広さの違により、マッチングできる色・出来ない色が出てきます。

変換先:ディスティネーションプロファイルのガモットが、変換元:ソースプロファイルのガモットより狭い場合、ソースとディスティネーションで一致しない色が発生します。

下の図をご覧ください、Adobe RGBの中でも高い彩度のこの緑は、CMYKのガモットを大きく超えています。これはこのCMYKデバイスではこの緑は彩度が高すぎて出力が出来ないと言うことを示しています。


ガモットを超えて出力が出来ない色を、どのように扱うかを制御するのが、この「レンダリングインテント」です。

いくつかの変換方法のアルゴリズムがICCプロファイルの中で定義されています。

知覚的:カラー値が変更された場合でも、人の目に色が自然に映るように、色間の視覚的な関係を保護する。色通しの相対的な関係を維持するので、ガモット内の色であっても、より彩度の低い色に変換される。このレンダリングインテントは、色域外の色が多く含まれる写真画像に最適である。

彩度:色の正確さよりも、画像の鮮明な色を再現することを重視する。このレンダリングインテントは、色間の正確な関係よりも、明るい色使いが求められるグラフや図表など、オフィスで使用するグラフィックに最適である。しかし正確な色の伝達というカラーマネジメントの役割を考えると、通常は使用されない。

相対的な色域を維持:人間が色を知覚する場合、ハイライトとその色との相対的な関係をにより色を感じる。その関係を重視するため、変換元のカラースペースの最大ハイライトと、変換先のカラースペースの最大ハイライトを比較し、その差だけシフトして全ての色を変換する。色域から外れる色は、出力先のカラースペースで再現できる最も近い色に調整される。色域からはずれた色と外れない色の相対的な関係は維持されないため、トーンジャンプが起こることもある。

絶対的な色域を維持:出力先の色域に収まる色は変更されないが、色域から外れる色はクリップされる。色域からはずれたいろと外れた色の相対的な関係は維持されないため、トーンジャンプが起こることもある。またハイライトは紙色であることが多く、変換後はその髪色がハイライトとして再現される。色域からはずれた色と外れない色の相対的な関係は維持されないため、トーンジャンプが起こることもある。

プロファイルによる色変換では、このようにガモット外の色をどう扱うかの設定をあらかじめ行います。

私は、この部分がカラーマネジメンの一番のポイントだと思ってます。

というのは、人の能力がそれぞれのように、機械もまたそれぞれ、すべてのデバイスをの色をマッチングさせるのは、到底無理だと言うことは皆さんも理解できると思います。

しかし、色が合わないことを完全に諦めずに、そんな状況でもなるべく色が合うように努力している様は、システムに柔軟性を与えているのです。

レンダリングインテントは日本語に訳すると、「変換意図」となるのでしょうか。このインテント:意図という言葉が好きです。

意図は意志という言葉につながります。どんな無理な状況でも人間は意志を持つことにより未来を切り開くのです。

レンダリングインテントは、そのような柔軟でポジティブな気持ちにさせてくれます。今日もお粗末様でした。

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