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CXO Night 「日本を変えるデザイン」後編

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デザインを越境せよ
いよいよ大本命。最後のセッション。

登壇者(プロフィールはイベントページから転載しています)

田川 欣哉 / Takram 代表 
Takram 代表 / デザインエンジニア / ロイヤル・カレッジ・オブ・アート 客員教授 / デザイン・テクノロジー・ビジネスを駆使するデザイン・イノベーションと呼ばれる仕事をしています。テーマは、UI・UX、プロダクト、インタラクション、ビッグデータ、IoT、宇宙、ブランディングなど。

田仲 薫 / IDEO Tokyo デザイン・ディレクター
専門はUX、ブランディング、マーケティング、デザイン・リサーチ、サービス・デザインなど。IDEOではサンフランシスコのFood Studioにも勤務し食周りのデザインに従事するくらい料理好き。

深津 貴之 / piece of cake CXO / THE GUILD 代表
インタラクション・デザイナー。株式会社thaを経て、Flashコミュニティで活躍。
2009年の独立以降は活動の中心をスマートフォンアプリのUI設計に移し、株式会社Art&Mobile、クリエイティブユニットTHE GUILDを設立。日経新聞電子版アプリの基礎設計のコンサルティングや、メディアプラットフォームnoteを運営するピースオブケイクCXOなどを務める。執筆、講演などでも勢力的に活動。

モデレート / 塩谷 舞 milieu編集長 
milieu編集長。東京とニューヨークの二拠点生活中。1988年大阪・千里生まれ。京都市立芸術大学 美術学部 総合芸術学科卒業。大学時代にアートマガジンSHAKE ART!を創刊、展覧会のキュレーションやメディア運営を行う。2012年CINRA入社、Webディレクター・PRを経て2015年からフリーランス。執筆・司会業などを行う。THE BAKE MAGAZINE編集長、DemoDay.Tokyoオーガナイザーなども兼任。

こんな豪華メンバーが1度に集まることは無いと思います。
大変貴重な時間でした。

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復習で前回のCXO Nightの内容に軽く目を通しておいてもいいかもしれません。

この後編に関しては、名言集&簡単な図でなるべく噛み砕いてコンパクトにまとめられれば。と思っています。
※図は自分なりの解釈です。ご参考までに。


「デザインは越境するためのメソッド」by 田川さん

デザインを越境するというタイトルについて言及した時の言葉で、言葉やライティングが物事を伝えるためにいかに大切かを知っているからこその言葉ではないでしょうか。

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坪田さんがキャッチーなタイトルを設定していたのに対し、田川さんが参加者に理解しやすいように説明してくださいました。
わかりやすい、正確な言葉を取捨選択するのはデザイナーとして非常に大切なことだと再確認させていただきました。


「回し蹴りだけを学んで戦士になろうとしているのと同じ」by 深津さん

「デザイナーとしてPhotoshopやIllustratorを学ぶ人が多いですが...」と塩谷さんに問われた際に、深津さんが答えた例えです。
戦士として強くなるためにはいろんな技を習得して、山を超える能力だったり、海を超える能力が必要で、回し蹴りだけでは戦士として不十分だということでした。

UXデザイナーになりたくてPhotoshopやIllustratorを学ぶ際は、ツールの操作やビジュアルの作成が細分化された作業の中の1つであるということを忘れないようにしたいですね。

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「手段としてデザインを選んだのではなく、何に行き着くかというところでデザインが必要だった。」by 田仲さん

塩田さんの「経営に入り込んでいますが、最初からそうだったのですか?」という問いに対しての、田仲さんの答えです。

はじめからデザイナーとして経営に関わっていたわけではなく、理想に向かう中で、デザインというスタンスを取らざるを得なくなったとのことでした。

UXという言葉に含まれるものがあまりに大きすぎるためにデザイナーにならざるを得なかったのかもしれません。


「"DESIGN" " design"」という概念を取り払いたい。"色形(design)"と"UX(DESIGN)"はorではなくand」 by 田川さん

田川さんが執筆したデザイン経営宣言に関する説明の中で出た言葉です。

個人的に、ものすごくパワフルでしびれる言葉でした。

※ビックD(DESIGN)、スモールd(design)の話が何のことかわからない方は以下の記事がわかりやすいかもしれません。

Appleからデザインを引き算したら?Teslaからデザインを引き算したら?
誰も買わないよね?という田川さんの例えも秀逸でした。

ビジュアルのデザインとUXのデザインは融合してこそパワフルなデザインが生まれるはずです。

僕もこの思考を見習い、2つのデザインを分断せずに考えられるようにしていきます。


「ビジネスの言葉でデザインを伝え、証明するのが大事」by 深津さん

「深津さんはCXOを体現してるけど、大変なことは?」という塩谷さんの問に対しての答え。

前回のCXO Nightでも同じような発言があったので、しっかりと理解できました。

「数字にコミットしないけど、このデザインは素晴らしい」では採用されないので、経営サイドに伝わるビジネスの言葉を話し、説得力を持ってデザインの価値を伝えるべきだということですね。

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「良くする・綺麗にする中で、特に効果がある部分を選ぶのがCXO」という発言からもCXOの仕事を明確化し、それを体現されていることが次代のCXOを生む良いロールモデルになることは言うまでもありません。


「CXO的なデザインをしていなかったせいでプロダクトが崩れていく」by 田川さん

フルスタック型のデザイナーが入っているデザイナーのプロダクトが
最初は伸びるけど、2年目から崩壊する。という例がよく見られるそうです。

CXOは中期長期のデザイン戦略を固める役割があるため、それを怠っていると大規模になったり、メンバーが変わったりしたときに崩壊してしまうということです。

愛されるプロジェクトにグロースさせていくためにもデザインの統一(デザインガイドライン、ブランドガイドライン)などの作成と組織のマネジメントは必須かもしれません。


「CXOクラスは"I(わたし)" と "We(わたしたち)"を切り分けて考えるべき。」by 田川さん

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田川さんはよく実行してらっしゃるそうです。
デザイナーにはもともと自己表現もしたい人が多いので、"We"だけでは死んでしまって、いい仕事できないとのこと。

そういった"I" と "We"を切り替えてモチベーションとアイデンティティを保たせ、自分が作っているんだという自覚を持たせるのもCXOの役割の一つであることは今後のキャリアでこのポジションを目指していく方なら、避けられない重要なポイントですね。


「寿司食ってるほうが悩みを共有しやすい」by 田仲さん

「フェードバックはデザイナーだけでやるべきではない?」という問いから出た言葉です。

色々な考えや言葉が飛び交うラフな雰囲気でこそ、共有はうまくいくということでしょうか。

「デザインシンキングはいろんなバックグラウンドの人が、一緒にやるために考えを揃えるための思考であって、イケてないと言われるとやってられない(ショックを受ける)ようではだめ。」と田仲さん。

その後の質問でも「デザイン経営宣言は弱みも強みも言い合えるチームじゃないと実現できない」とおっしゃっていました。

いろんなモノや考えが入ると、どんどん良いものが出来上がる。そういうデザインは面白いんだ。と楽しみながらデザインしていきたいですね。


「ベン図のイメージでデザイン、ビジネス、エンジニアの視点ですべてが重なる部分を目指す」by 深津さん

「デザイン上イケてるものはビジネス上イケてないものである事が多い。
だからデザイン、ビジネス、エンジニアが全部イケてるものを作ると当たる。」と非常にわかりやすく話してくださいました。

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このイメージをチームに浸透させるのもCXOの役割で、多角的な視点で正解を導くような思考をみんなで共有できると一番いいアウトプットになりそうです。

深津さんいわく、NetflixもAirbnbもそうやってできているそうなので、自分のチームに持ち帰り、こういった思考を浸透させてみるのはチームを持つ方にとっては非常に良いチャレンジだと思います。

田仲さんも同意しており、IDEOも仲が良いと思われがちだが、
健全なテンションの中で静かな喧嘩があるそうです。
各々が見ている視点を重ね合わせ、心地いいスポットを探すことでこそ、いいものが生まれるのだと、とても大きな学びになりました。


「コンペ反対」by 田川さん、田仲さん、深津さん

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【深津さん】
目隠しして、3Pシュート打つようなもの。
コンペはすべて失敗するように設計されている。
悪いものを作るインセンティブがあるのが良くない。

【田川さん】
課題がはっきりしていればいい。(例えば、2Lのバケツを作るとかの明確なお題ならOK。)
広告等狭い範囲でなら効率いいかも。(3日とかで面白いもの考えるようなスプリント。)
WEBサイト等でコンペはしんどい。

【田仲さん】
悩みが正しいかわからないものをブリーフにまとめるのは厳しい。


「プロダクトを1人で作って売れば、おしゃれと金の関係性がわかる」by 深津さん

経営と向き合えるクリエイターになるには?という質問に対しての答え。
こちらも、前回のCXO Nightでもお話していた内容で、改めて、UXを学ぶなら1人で0から全てやってみるのが一番手っ取り早いということでした。

プロダクトを1人で作って売れば、一発ですべてのセクターの言葉を喋れるようになるし、知識量が一気に跳ね上がることは間違いありません。
どんなに些細なモノでもいいので、0から売るまでの流れを体験したことのある人は強いということですね。

塩谷さんもこれについて言及しており、
自社でWEBメディアを作っていた経験から、グロースさせるに当たり
ローディングが一秒長いだけでユーザーが離脱するという問題に
リアリティを持って取り組める。というお話は大変説得力があり、納得できるお話でした。


「聞き上手は翻訳家にもなれて、悩みや問題の原因をしれる」 by 田仲さん

「デザイナーは主張することになれてると思うが、受け入れることができるとすごく役立つ。」と田仲さん。

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聞き上手は翻訳家にもなれて、悩みや問題の原因を知ることができる、とても良いスキルセットなのだということを教えてくださいました。

僕自身スタートアップでデザインをする中で共感できる部分でもありました。ビジネスサイドの人間である経営者から悩みを引き出すことができれば、すごくいい関係でデザインを浸透させられる気がしますね。


「CXOに求められるのは構造化能力」by 田川さん

まずはそれ(CXO的な役割)になると決めることが重要だそうです。
全員に向いているかはわからないので、自分のパフォーマンスがどこで最大化するかを見極め、向いている場合にCXOへの道を歩むべきです。

言葉を使い分け、その人の言葉で喋ることで組織を整理していくのもCXOの役割で、その方法や目指す道はスタートアップと大企業でも大きく異なるので、一概には言えないかもしれませんが、言葉は強い武器になるのは間違いありません。

「2,3センテンスのストーリーや言葉で伝える技術を持ち、デザインを全く考えずに育った人に伝える力を持つことが必要。」と田川さん。

そういった強い言葉を身につけていくために、とにかくインプットして自分の言葉に魂を宿らせていく作業も怠らずにやっていきたいものです。


最後は会場からの質問でした。
プロダクトを作るチームをスケールさせるポイントは?

【田川さん】
デザインチームを組織化すべき。
・CXO
・ヘッドオブデザイナー
・チーフ、デザインプログラムマネジャー
を雇い組織化し、入れ替え続けると200人規模くらいまでは走れると言う意見を述べられていました。

【田仲さん】
どういうスタイルでやりたいかが重要。
・議論して作るタイプ
・CXOやディレクターなどビジョナリーな人が作って周りが支えるタイプ
の2パターンがある。

どちらにせよ、フラットに言い合える雰囲気作りと共通言語があればOKで、自分たちをしっかり分析して、自分たちに足りない部分を補完していくスタイルが良いとのことでした。

【深津さん】
頑張ってなんとかしているようではダメで、いかにして頑張らないで回るデザインを作るかが重要とのこと。
見ている方向を揃え、共通の価値観、優先順位を共有する、キャリブレーションして意識をあわせることが大切なことだと教えてくださいました。

来週、GUILDとtakramの勉強会があり、
アメリカの最新事例をまとめるジョン・マエダさんのDesign in Tech Report 2018 Translationの解説を行うそうです。
大変ありがたいことに日本語訳が以下にあるので、ぜひ読んでみてください。
https://ja.takram.com/projects/design-in-tech-report-2018-translation

おわりに

個人的に今回のCXO Nightに参加して、決意したことがあります。

僕の憧れるAirbnbの創業者であるブライアン·チェスキーさんやデザインエンジニアの代表格であるダイソンのDysonの創業者のジェームス・ダイソンさんのような起業家になることです。

デザインであらゆる境目を越境し、既存の概念を破壊し続けるデザイナーになる。という決意を固めるイベントとなりました。

僕が現在、個人的に開発しているデザイナー向けのサービス(近いうちにローンチします)も、今やるべきことだと確信を持てたイベントになりました。デザイナー×経営者のセクターに食い込んでいきたいと思います。

主催してくださった坪田 朋さん(https://twitter.com/tsubotax)。

登壇し、大変有意義な空間を提供していただいた登壇者及び、スポンサーの皆さん。

田川 欣哉さん(https://twitter.com/_tagawa
深津 貴之さん(https://twitter.com/fladdict
田仲 薫さん
塩谷 舞さん(https://twitter.com/ciotan
山口 翔誠さん(https://twitter.com/shosemaru
若月 佑樹さん(https://twitter.com/yukiwakatsuki
広野 萌さん(https://twitter.com/hajipion

株式会社グッドパッチ
Studio Opt
GMOペパボ株式会社
TECHPLAY

会場及び、Twitter上で熱気と興奮で素敵な時間を作ってくださった皆さん、その他関係者の皆さん。

本当にありがとうございました!!

会場でお会いした方、記事を読んでくださった方、今後とも宜しくお願いいたします。
どなたでもお気軽にフォローしてくだされば幸いです。

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※福岡では、スタートアップのデザイナーや経営者が東京に比べて圧倒的に少ないので、これを機に繋がり、交流できるとすごく嬉しいです。

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最後までお読みいただきありがとうございます。サポートしていただければ、福岡でのデザイナーコミュニティの形成やデザインの勉強に使い、noteにアウトプットしようと思います!