#エッセイ『お行儀よく!』

     最近は休日のお昼に時々家族で外食をすることをちょっとした楽しみにしています。ケイタイの検索で近所のお店を色々開拓して初めて行くお店を探すのも楽しみの一つです。便利な時代です。ネットのない時代だったら自分では探しえない様なお店に行くことが出来るのですからね。住宅街の中にポツンとある鰻屋や蕎麦屋などにチャレンジして思いの外美味しかったりしたら何か得した気分になれます。家族と一緒に行くのですが気分はもう『孤独のグルメ』です。食べログとかには星の数が出ていたりしますが、そんなことは気にしません!自分で食べてみて美味しければそれでいいんです。でも何となくですが、ネットに出ている星の数はそこそこ当たっているような気はしてしまいますね・・。
 外食を楽しむというのはいいもんですね。まずはお店に入ってメニューを見て『ほほう・・・なるほどなるほど・・・』と思いつつ、でも残念ながらどこに行っても同じようなメニューをオーダーしてしまう癖があります。井之頭五郎のように攻めたメニューは選べません。というより選ばないのです!僕にとっては違った店に入って、いつもと同じ様なものを頼んでも楽しいのです!
    料理が出てくるまでの楽しみだってあります。お店の佇まいや壁に貼られているメニューなどをキョロキョロ眺め、厨房が見える様な席だったらそっちの方にもそっと目をやりながらワクワクして待つ、その時間も僕にとっては外食の楽しみです。その店舗が古ければどんな歴史を重ねたのかと想像し、『それだけ時間が経っていればさぞかし旨かろう!』と期待も膨らみますし、そんなお店の厨房に若い料理人がいれば『ん?二代目か?もしくは、三代目くらいか・・』と想像するのも何となく楽しいのです。

 ところがここ最近、どのお店に入ってもどうしても気になる事が一つ出てきたのです。それはよそ様のテーブルで足を組んで食事をしている人をよく見かけるという事です。最初のうちは何とも思わなかったのですが、色々なお店に行くようになってから足を組みながら食事をする人を大体どこのお店でも見かけるのです。しかも僕の見立てたところ、そのような姿勢で食事をしているのは年輩の女性に多く見られます。その姿勢で食事をする事がお行儀の悪いのかどうかという知識は実は持ち合わせていないので文句を言うつもりはないのですが、申し訳ないのですがどうしてもそれが目に付くのです。例えば老夫婦が二人で向かい合って食事をしていたとします。おじいさんの方は大体ちゃんと座って食事をしているのですが、おばあさんの方は足を組んで食べていたりすることは多いですね。小柄なおばあさんがそのような恰好をしていると背中がやや猫背になって椅子にもたれかかったような姿勢になるので、さらに歳をとって見えてしますのです。お箸もちゃんと持って、お茶碗もきちんと持てているのに何か残念な姿に見えるのです。まぁ大人しく食べているので誰に迷惑がかかるわけでもないし、本人たちも食事を楽しんでいるからそれはそれでいいのですが、それでも何で足を組むのかと考えてしまうのです。“そんな姿勢では食べにくかろう・・”と、つい余計な事を思うのです。そんなことを考えるようになると、『じゃあ、俺はお行儀がいいのか?』という事も気になりだすのです。
 昔の記憶を辿ると、子供の頃は食事時に母親から『ハイ、肘をつかない!背筋を伸ばす!お茶碗を鷲掴みにしない!使わない方の手は握り拳にしてテーブルの手前に縦に置く!寄せ箸と迷い箸はダメよ、みっともない!』と色々言われたもんですが、果たして今の自分はどうだろうか?毎日無意識に食事をしていますが、子供の頃に散々言われたそんな小言が身についているのかね?と思い返してしまいます。そんなことを考えながら食事をすると、せっかくのお店の料理の味が半減してしまうのですね。でも、自分が他人を見て気になるなら、他人も自分をどこかで見ているはずですからコレは気にしないわけにはいきません。そんなことを思い出しながらお行儀良いを気にしつつ食事をすることが最近多々あるのです。しかし、やってみたらどうでしょう!結構楽に食べられるのです!そう考えるとテーブルマナーとは大事なんだという事に今更ながら気が付くのです。(楽に食べられるという事を意識できるというのは、普段の僕は行儀が悪かったという事になるのですけどね・・・。)そういった意味ではテーブルマナーとは上品さや優雅さを第一に求めているのではなく、楽に食べられるという事が一番の目的という事が何となく理解できます。逆に言うなら、マナー通りの正しい姿勢で食事をするという事は、楽に食べられるという事と同時に傍から見て美しい姿に見えるという事なのでしょうか・・。考えてみればそうかもしれません。例えば野球のバッティングでも空手の型でもそのスポーツの基本的な動作をキチンとできる選手のプレーの姿は確かに美しくてかっこいいですからね!
 せっかくそんなことを思い始めたのですから、これからは多少窮屈でもマナーを意識して食べてみようかと思っているところです。なぜなら、食事のマナーは子供の頃からの積み重ねで、中々身に付かないとも言われていますからね!そして、どんなに綺麗な服を着ても、どんなに言葉使いを良くしても、食事している姿はその人の育ちと本質が出てしまうという話も聞きます。怖いですよね・・でも僕のやる事ですから、“お行儀よく”を頑張ってみてもおそらくは三日坊主で終わってしまうような気がしますが・・。

     あ、みなさん!ナイフとフォークは外から使うのがマナーです!(そんなん知ってますよね・・(笑))お皿の向こうにあるスプーンなんかは何時使うのかは実はよく知らないです・・。そんな程度でマナーを語ってすいませんでした。

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