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作家の日々

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2018年12月の記事一覧

「文庫落ち」という言葉、どうなんでしょう?

「文庫落ち」という言葉、どうなんでしょう?

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です! と共に、2019年2月新刊の「奇説無惨絵条々」(文藝春秋)と文庫化「曽呂利」(実業之日本社)もよろしくお願いいたします。

 文芸界隈には、「文庫落ち」という言葉があります。

 これ、あくまで業界用語なので、ほとんどの方はご存じないのではないかと思うのですが、文庫落ちというのは、単行本で発売した本を文庫の形で販売しなおすことを指します。
 ふた昔前ま

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TikTokが気になるお年頃、なのだけど

TikTokが気になるお年頃、なのだけど

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 以前から気になっていたのですが、ここのところ、TikTokに関心があります。

 あくまでど素人なので詳しくは分かりませんが、短い動画を配信できるアプリで、今、若い人を中心に流行しているそうです。
 と、こうして伝聞でしか語れないというあたりに、もはや蚊帳の外感がにじみ出ちゃっているわけですが……。

 ここのところ、とみに流れの速さに驚かされます

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クリスマスプレゼント!

クリスマスプレゼント!

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 いえね、十五の頃から、クリスマスに縁のない日々を送っていたのですよ。ところがどういう風の吹き回しか、クリスマスプレゼントを妻からもらったんですよ。hoooooo!

  ステンレスの大鍋と、鉄のフライパンをもらいました!

 家で使っている鍋が小さく使い勝手が悪かったのと、使っていたフライパンのテフロン加工がはがれてきてしまったので、妻が新たに買っ

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「刊行物一覧」を作った浅い理由

「刊行物一覧」を作った浅い理由

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 昨日、年末のクソ忙しい中、こんなもの

 を作ってしまいました。マジでこの忙しい時期に!
 でも、これには浅ーいわけがございまして。

 飲み会などで人と知り合うと、こんな会話がなされます。

「ふーん、で、谷津さん、でしたっけ。どんな本を書いてるの?」

 驚くに値しません。世の中、小説に詳しい人はごく一握り。皆さんも周りの友達に聞いて回ってみて

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悪だくみ中です

悪だくみ中です

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 実はこのエントリ、「処方箋」シリーズとも関わり合いがあることなのですが、微妙に話が異なるため別立てします。

 (もちろん専属でやられている作家さんも大勢いらっしゃいますが)文芸の作家は様々な出版社さんと手を取って本を世に問う形が基本線です。本という商品を作り販売したいという企業と、小説を書きたいという作家の利害が一致することによるコラボです。
 

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集中大事、という話

集中大事、という話

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 作家って集中してばっかりの仕事だということに気づきました。

 いえ、以前は自明のことだと思っていたのですが、絵を描く仕事をなさっている方とお話しすると、随分作家の集中力の使い方がフルスロットルであることに気づかされました。

 某絵を描く仕事をなさっている方曰く、

「絵の仕事で集中を必要とするのは構図を決めたり線画を描いたりっていう場面で、中に

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来年も新しいことやるぜ

来年も新しいことやるぜ

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 えっ。今日、12月20日なのかい!?
 というわけで、年末の仕事に追われております。

 とはいっても、第一稿を書いているわけではなく、編集者さんのリテイクやゲラ作業に追われている感じなので、気持ちは幾分か楽です(説明しておくと、第一稿は原理上「完成しない」恐れが付きまとい、結構なプレッシャーが作家にのしかかるものなのです。少なくともわたしはそうで

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作家の友、おすすめ目薬(ステマじゃないよ)

作家の友、おすすめ目薬(ステマじゃないよ)

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 作家にとって目は生命線です。

 原稿を書く際にも、本を読む際にも、ゲラに赤字を書き入れる際にも、目を酷使しています。目の調子が悪いと肩が凝り、効率もがた落ち。一日を無駄にしてしまいます。

 わたしは目が悪く、眼鏡をしているのですが、つまるところそこまで目が強くありません。疲れ目、かすみ目、ドライアイ……。腰痛と並び作家の職業病といっても過言では

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どう打ち返す?

どう打ち返す?

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 某編集者さんがかつて、わたしにこう言ったことがあります。

「作家なら、編集者の指摘をクリアするくらいで満足しないでください」

 編集者というのは一行たりとも書けない(し、もし書けたとしてもそれをおくびに出してはいけない)人間であり、他人の小説作品を前にしたときには究極的には素人の立場。なので、素人の発した疑問点くらい、玄人である作家は軽々乗り越

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「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑩

「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑩

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 前回エントリはこちら。

 前回は、「自らハブ先生になっちゃえば解決だし、そもそも作家は大なり小なりハブ先生ですぜ」という話でした。
 まーぶっちゃけた話、究極のところは自らがハブ先生になれば(≒作家自らに数字がつけば)、腰を据えて仕事ができるようになります。とはいえ、ここまでいくのが相当辛いのが現代なんですけどね……。
 ぶっちゃけ、これ以上話す

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「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑨

「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑨

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 前回エントリはこちら。

 前回は「うまくハブ先生と協働してゆきましょう」というお話でした。
 今回はその続きです。

むしろ自分がハブ先生になればいいんじゃね? 理論上、誰でもハブ先生になれる可能性があるという話をしました。
 ということは、作家自らがハブ先生になる道もあるということです。
 たとえば今、人気芸能人やブロガー、学者さんが小説を書く

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「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑧

「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑧

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 あと、「刀と算盤」(光文社)が本の雑誌が選ぶ2018年ベスト10の時代小説部門にてランクインしました。誠にありがとうございます!

 さて、前回エントリはこちらから。

 はい、前回は「ハブ先生」という存在についてでした。
 今回はその続きで、「ハブ先生」に関するあれこれです。

理論上、ハブ先生はどこにでもいる 昔、ハブ先生はマスメディアがほぼ寡

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「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑦

「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑦

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 前回エントリはこちら。

 前回は「担当者さん・出版社さんと歯車を噛み合わせていこうぜ」という話でした。
 十年くらい前まではここまででよかったんですが、現代は違う様相を呈し始めているぞい……、というのが今回のお話です。

「ハブ先生」の存在 世の中には「ハブ先生」がいます(この命名はわたし)。
 将棋の羽生名人とは関係ありません。むしろ関係がある

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「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑥

「作家埋もれがち問題」の処方箋について考える⑥

 新刊「刀と算盤」(光文社)好評発売中です!

 前回エントリはこちら。

 前回のお話は、「どうやら本が売れるためには、噛み合わせの悪い歯車で構成された世の中を何とか動かさなくちゃならない。そのための保守もまた作家の仕事なんじゃあるまいか」という感じの内容でした。
 では、その具体的な保守とは何かというと……。

まずは目の前の人と歯車を噛み合わせる いきなり遠大なことを言ってもしょうがないです

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