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看病は苦手なことだらけ

看病は家族がするのが当たり前 

と思っていたのは、家族で私だけでした。自閉スペクトラム症のうちのふたりには、そもそも助け合うという考えがありませんでした。

更に、看病が二人にとって苦手なことばかりだと分かったのは、ムスメに私が初めて看病をお願いしてやってもらった中2の冬でした。二人は私の様子から「大丈夫?」と心配して声をかけるという気遣いすら出来なかったのです。

小6で私が診断に繋げた後、初めて私が寝込んだ時でした。それまではずっと
二人には思いやりがなく、自分勝手な理由で私の看病をしたくないだけ』(ある意味その通りでもあるのですが…)と思い込んでいたので、発達障害のどういう特性が、どういった理由で看病を拒むのか、診断後も長い間分かりませんでした。

「やりたくない事は絶対にやらない! 聞きたくないことは断固、聞かない!」という特性上の問題を知らずに日々振り回されて感情的にボロボロになっていた私には、気づける余裕がなかったといった方が正確かもしれません。

  • 看病が苦手な理由1

    人への関心が元々薄いので、関わろうとしない。面倒なことはしたくないという心理も働く。見た目の変化にも気づけないらしいが、それがどんなに酷い事が客観的に分かっていない。

    けれども、外では他人に気を使いまくるので、分かっていない訳でもない。ただ家に帰ると疲れ等から素の自分でいようとするので、家族は邪険に扱われる可能性が高くなる、というわけです。

    「どうしたの?」と様子を聞かれることがないので、具合が悪いことを自己申告しない限り気づいてもらえないのでした。

    そんな日光の三猿のようなふたりでしたから、看病などする訳はなかったのでした。

    普段から私を無視しているかのように振る舞うムスメに「私が何をしてるか、まず目で見て気にするようにしてみたら」と提案したことがありました。
    ムスメは「見ても違いが分かんないし、何を言えばいいのか分かんない」と言うので、「何してるの?って聞けばいいんじゃない?」と提案しましたが、「ふう〜ん」という返事が返ってきただけでした。

    実際、こちらの様子を気にかけることが、ほとんどないので難しいと思いました。今はユーモアを込めて「何してるか聞いて?」とムスメにこちらから話しかけたり、いろいろ言って笑いあっていますが、そもそも難しい事なのでしょうから、「これがムスメ」と割り切ることも大事と思うようにしています。

  • 看病が苦手な理由2

    病気は突然やってきて、二人はその突然が苦手でした。

    常に自分のことでいっぱいの人達にとって、急な出来事は混乱を招き、彼らを不機嫌にしたり、フリーズさせたりするのでした。

    初めてのことにうまく対応できないのは仕方がないかもしれませんが、出来ない訳ではないので、やはり家族の看病もどうしたらいいか学んでできるようにして欲しいと思ってます。

  • 看病が苦手な理由3

    不器用なので、二人ともそもそも料理が苦手。

    病気の時の食事は知識や一般常識が必要なのですが、二人は持ち合わせていないのです。何をどうしたらいいか分からない。料理自体いろいろな知識が必要で、何より苦手な同時進行が求められる為、苦手なことだらけという訳です。

  • 看病が苦手なモトオ限定の理由4

    モトオはこだわりとプライドが異常に高かったので、(自分で作った料理が)「自分でおいしいと思えないのに、それを人からおいしいと言われても嬉しくない」と、言って断固拒否でした。
    ここまでひねくれていると、救いようがありません。

発達障害だから、特性で苦手だからといって、やらなくていいかといったら違うと思うのです。定型の人のように簡単には出来ないかもしれないけれど、家族を大切に思うなら努力すべきなのです。

「家族であっても最低限守らなければいけないルールがある。 家族は大切な存在だから、他人以上に尊重し合わなければいけない」
二人には、これがなかなか理解できませんでした。マイルールが一番で、家族を大切にするということがどういうことか分からず、尊重の意味も理解できなかったのです。

結局、家族より自分が大切だったモトオは出ていき、ムスメは忘れがちですが、いろいろ学習中です。

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