【小説感想】ブラック·ショーマンと名もなき町の殺人**東野圭吾

書き下ろしのこの作品は、初版が2020年11月30日だったようですが、私が購入したのは12月5日には重版がかかったようです。
私の購入したのは第2刷となっておりました。
さすがに東野圭吾作品って感じですねー。重版のスピードが早い!

物語の世界は現実同様コロナ禍。舞台は日本のどこかの小さな観光地です。
コロナの影響で町がどんどん衰退化していく最中、その町に住む元教師の男性がどうやら殺されたようだ、と、東京に暮らす娘に警察から連絡が入ります。

早速地元に帰り翌日現場となった、実家で警察に対応していると、突然その男性の弟、彼女にとっては叔父にあたる男もやってきます。

叔父は警察は当てにならないと、一人で事件の犯人を調べ始めようとしますが、彼女は「そういうことなら、私も手伝う」と言い、二人で事件の材料を集め始めます。

この叔父さん、かなりのくせ者で、変わり者。
彼女も周りもかなり振り回されます。
でも、とにかく人を操る術を心得てる叔父。もとマジシャンだけあって人のスマホを気付かれずにスーツの内ポケットから取り出すのだって朝飯前で、兎に角すっごく頭が切れる。

嘘をついている者をどんどん炙り出し、事件との関係性を探ります。
そして小さなピースがたくさん集まった時、ショーが始まります。

ずっと気になってて買えずにいたこの作品。
帯には「コロナの時代に、とんでもないヒーローが現れた。」とあったのはこの叔父の事だったんですね。
事件に関係すること、しないこと、エピローグも含めて色んな情報が集まってくては真実が判明してを繰り返すのでなかなかな情報量。
本当に真実に近付いているのか、読んでいて私はもどかしい思いも感じて、だから真実が知りたくて暇さえあれば先を先をと読んじゃっていました。

私にとっては犯人は意外な人でした。
そして、そんなことで殺してしまったの?と言う感じ。
もし私がその娘の立場なら、悲しくて悔しくて、辛いです。

読みごたえは満点。
やっぱり東野圭吾はすごいなーと、つくづく思います。
今回はこれで終了したけれど、この作品だけでこのヒーローが終わってしまうのは勿体無い気がするけれど…シリーズものにするのは厳しいのかなー。

ヒーローから想像する正義の味方感は全然ない今回のヒーローだけど、それがなかなかリアル。
まさにブラック。
私もこんな風に頭の切れる人になりたいです。

皆さんも是非、気になっているならこの、まるで現在の日本のどこかで起きてそうな小さな町の事件を覗いてみてください。

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