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小説執筆のお作法6選

 私はいにしえの小説書きである。

 とかいってnoteには1つも小説を投稿していないくせに、小説の書き方作法とは何様だ? と思うだろう。名前に「エッセイと書いてる」とハッキリ書いてるじゃないかと。せめて「小説書きたい」に転生してからものを言えと。そう思うだろう。もっともである。

 でも、少なくとも私は子供の頃から数千冊の小説を乱読している。

 創作大賞も開催されたことだし、知らない人が多そうだなと思ったので、自分の実績は度外視して記事にすることにした。

 細かいこと言うな? 小説は内容で勝負? もちろんその通りだ!

 でもどんなにいい商品でも、パッケージが謎のマーブル模様で、何語かも定かではない文字が躍っていたら買うのにためらうだろう。せっかく書いたのだから、内容以前に読もうという気が薄れるような要素はなるべく無い方が良い。

「!?」記号の後は一文字スペースを空ける

×

「なんだって?それはひどいな!信じられない」

「なんだって? それはひどいな! 信じられない」

 読みやすさのためだと思うが、お約束である。スペースが無くても意味は分かるのだが、空けておくと、ぐっと素人っぽさが抜ける。

文頭はスペースを空ける

×

洋子はベッドで上半身を起こし、ううん、と伸びをした。
「今日もいい日になりますように!」
ぴょんと飛び降りる。

 洋子はベッドで上半身を起こし、ううん、と伸びをした。
「今日もいい日になりますように!」
 ぴょんと飛び降りる。

 読みやすさのためだと思うが、文頭を一文字空けるのがお約束である。Web小説では媒体の都合上、無くても良いかもしれないが、小説である以上はお約束通りの方がベターだと思う。

三点リーダは2回繰り返す(単品使用しない)

×

「今日はダメダメだぁ…」

「今日はダメダメだぁ……」

 三点リーダの単品使用を推奨されない理由は分からない(古の風習らしい)が、とにかくお約束である。

 なお、三点リーダを3回以上繰り返すのはどうなのかというと、あまり推奨されない。

 プロの小説家でも、ラノベなどで、…………………と長く三点リーダをつけることがあるが、一気にギャグっぽい感じになってしまうので、マジメなシーンではお勧めしない。

 小説なので、長い沈黙を表現するために三点リーダを増やすのではなく、地の文で表現することをお勧めする。
「彼は言葉を切って、数秒、食い入るように洋子の目を見つめた」なのか、「突然唇を噛んで岩のように押し黙った」なのか、三点リーダで表現しきれないことを描写していただければと思う。

読みづらい漢字(人名など)には記事中1、2回はルビを振る

×

 御手洗は立ちすくんだ。
「僕の名前は、御手洗……そのはずなんだ!」

 御手洗みたらいは立ちすくんだ。
「僕の名前は、御手洗……そのはずなんだ!」

 単純に読めないと話が入ってこないので、ルビを振ってあげた方が良い。

 私は怠けてて自分が読める漢字にルビを振らないが、人名は振る。四月一日わたぬきとか毒島ぶすじまとか、読み方が分からないと、話が入ってこないので、読者のためにつけてあげた方が良い。

 ※参考:noteのルビの振り方

セリフの最後に句点をつけない

×

「私、あなたは御手洗みたらいじゃないと思うわ

「私、あなたは御手洗みたらいじゃないと思うわ」

 おそらく、がすでに文章の終わりを示すので、句点まで付与すると二重句点のようなことになって無駄なので省こうということだと思う。

 なお、読点はどうなんだと思うかもしれない。私は読点はアリ派である。

「だけど、そんなことがあるかい? 僕が御手洗じゃないなんて、それは、」
 御手洗は、ふと何かに気を取られたかのように言いよどみ、続けた。
「……ありえないよ」

 という感じで、言葉を言い差した印象を与えたい時に使うことがある。プロの作家さんもやる人はやるテクニックだが、多用するもんじゃないと思う。これについては賛否両論かもしれない。(海外文学の文脈から来ている気がする)

 とにかく、前の句点は明確に許されないのでそのルールのみ記すことにした。

視点を統一する

 小説というのは基本的に、各登場人物にカメラがズームインしたりズームアウトするような感覚で進めていく。読者は登場人物の誰かの視点で物語を読み進める。だから、その視点で見えようもないようなことを描写すると視点が混乱して読みづらくなるし、矛盾が生じてしまう。

  ×

 洋子はコートのポケットに名刺を忍ばせた。いざという時はこれで……! 御手洗は洋子が名刺を忍ばせたのを不思議に思う。

  〇

★洋子視点
 洋子はコートのポケットに名刺を忍ばせた。いざという時はこれで……!
 御手洗はそんな洋子を不思議そうに見ている。

  もしくは、以下のように章を切って視点を明確に変更する。

★洋子視点
 洋子はコートのポケットに名刺を忍ばせた。いざという時はこれで……!

★御手洗視点
 御手洗は洋子がコートのポケットに手を突っ込んでいる様を不思議に思う。

 ×文では、御手洗は洋子が忍ばせたのが名刺であるということを(洋子が隠しているので)知らないにも関わらず、「なんで名刺忍ばせたの?」と思っている点で矛盾が生じている。また、一文の中で洋子の視点から御手洗の視点に飛んでいるのもあまり良くない。混乱する。

 視点変更は少ない方が良い。オーソドックスには、神視点→登場人物A→章を変えて登場人物Bのように視点移動するのが良いと思う。

最後に

 以上、かなり初歩的なことで恐縮だが、お約束を列挙してみた。他に「これはどうなの?」ということがあれば追記するのでコメントいただけると嬉しい。

 慣れていないと、こんなの、いちいち意識してられないよ! と思うかもしれない。だが最初から知らないのと、意識してたけどミスしてしまった結果なのは、読み手の気持ちとして全然違う。

 それに、やってればそのうち無意識に直ってくるので安心してほしい。

 私も昔は、書ききってから数百枚ある原稿用紙を印刷して何度も見直して修正していたが、今ではそんなこともなく、自然にお作法通りに書けるようになる。

 この記事が、あなたの創作に少しでも役立てば幸いである。

 なお、他にもノウハウを書いてみたので、もし興味があればご覧いただけると嬉しい。


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