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#今日の短歌 春の闇~日本人らしいパラドキシカルな季語~

「春の闇」という季語がある。春、月の出ない夜の闇を言う。
春と言っても、ポカポカ陽気にたんぽぽそよ風ピクニック…。だけを表現したくないのが日本人だ。

春という季節は、異動もあり別れもあり、何となくそわそわと落ち着かない。その上に湿度と温度が上がってきて、空気がぬるむ。
そこにふっと差す「魔性」が見え隠れする。大きな事件事故が意外に多いのが4月だったりするのは気のせいだろうか。

日本人はその魔性を嗅ぎ取り、「春の闇」という秀逸な季語を生み出した。

国内外での不安なニュースに心を乱されながらも、移り変わる季節を雨風の音に感じつつ、そこに「美」を見出すことができる自分自身の感性に、先人の残してくれた言霊に感謝する。

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