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抽象化(本質を抜き出す)と共通化(最大公約数)は違うという話。

こんばんは。榎本です。
今日はデザイン思考やロジカルシンキングやKJ法などでよく、概念をチャンクアップ(具体的なものの塊を作ってあげる)する点について、抽象化と共通化は全く異なるものだという話です。

前話した変化の時代だからこそ、抽象的な思考力が問われてきていると思いますが、それを共通化と捉えると全く本筋から逸れてしまうので注意だと思います。

抽象化と共通化

まず共通化は次のような形です。

・犬
・猫
・うさぎ
・亀
・ハリネズミ

というものがあった時に、「動物」という誰でもわかりやすい共通言語を見つける作業となります。ロジカルなピラミッドストラクチャーの上の方に持っていくことです。
これはシステムの要件定義のときなどに良いと思います。

逆に上記から、「ペットとして人間が求める生き物は、危険性が低く愛着が湧くもの?」(例)など、テーマに対して概念を抽出していくことが抽象化だと思います。
抽象化していくと、人の認識・認知に対しての本質が見えてきます。これはアート思考やデザイン思考など、時代によって変わらない本質を見ていくのに重要かと思います。

抽象的だと具体的にもなる

共通化はそれこそ共通言語として利用するのは有効ですが、コミュニケーションが目的ではなく、戦略や差別化をしていくことが目的では全く差別化にならなくなります

本質の抜き出しは、そのビジネステーマやドメインによって規定されるので、その認知ごとに普遍かつ具体的な要素を見つけられます。
抽象的なのに具体的、というのは矛盾しているようですが、これは企業のミッション・ビジョンなどにも必要なことかと思います。

共通化ワードの罠

今この「共通化ワード」という横串で、本質ではなく属性のような要素を抜き出したものは、まずビジョンにしても特にアイデアが出てこない、いけてないものに見えると思います。

「顧客満足」
「プラットフォーム」
「データカンパニー」

一見そのとき合意形成をしやすかったり、無難に落ち着けるときは良いのですが、結果何も言ってないのと同じになります。

さらに怖いのが、横串系はバズワードにしやすいので、言葉につられて中身がないまま進むことが多いです。

「リーンスタートアップでまずはスモールに検証していく」
「AIを使った新規事業」
「DXで既存事業をV字回復させる」

しかし、こういった共通化ワードはわかりやすく、話題を集めやすく、全員が食いつきやすいということがあります。
AIベンチャー、DX戦略、リーンスタートアップなど誰でも本を読めば理解はできますが、実態としてそれが課題を解決するのか?目的に沿うのか?という中身の部分が大事なのに、キーワードだけが先行してしまい言葉が先行するというリスクもあり、戦略が戦略として成立せず、思考停止になるということが多くあると思います。

抽象化に向き合う

抽象化は共通化のような思考停止ではなく、本質を見て中身のあるコンセプトを考えることだと思います。

それには単純にわかりやすい要素を抜き出すことではなく、その言葉を丁寧に扱って向き合うことです。

抽象化と共通化を分けて、同じチャンクアップ(概念上昇)でも全く似て非なるものなので、戦略やミッション・ビジョン、アート思考・デザイン思考をする際には意識しておき、思考停止した楽な共通化に逃げていないか?を見てもらいたいと思います。

ではでは~。

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