映画『哀れなるものたち』

最高に面白い。

ネタバレ。

船旅ではありますが、ロードムービーという感じです。

特徴的なモノクロに、まあ重大な事がおきてカラーになります。

ベラの成長は、髪の長さでわかるのですが、すぐに伸びる。これは、彼女の成長(一般的には経験)のスピードと同期しているのですが、長ロングになると止まります。

この辺は、ルールはわかりませんが、ドラゴンボールのサイヤ人です。

旅立ちと、帰還の時間を同期させているとは思うのですが、これに付随するのは内面ということです。

異世界ものの構造を完全に変化させたのが今作ですが、ベラのキャラクターをちびまる子ちゃんで考えたい。

まる子は、完全な近代人です。昭和ですが近代です。この物語では、まる子の資本主義的な欲望(テレビやおもちゃ)が、幼いが故の過ちにより、とんでもない悲劇に襲われるということを面白おかしく語ります。

(ザリガニが世界を破戒するエピソード)

ベラは、近代人の前提がないので、そこから自由です。その定説、常識と表現される当たり前の世界を、不思議な世界として通り抜ける。

アート面に行きます。今作は、フランス映画にかなり敬意を払っているように感じます。青は、普通映画で登場すると、フランス国旗の青であります。

ラ・ラ・ランドのミアも青でした。

次に重要なのはもちろんイギリスで、シェイクスピアからモチーフは多いですから。川で溺れる悲劇です。

深読みすると、今作では、ロンドンの鉄橋が出ているので、『荒れ地』のシュールレアリスムのポエムの影響がありそうです。

この点では、近代批判を資本主義に対して、もっと広く社会に対して行う。だがアートを忘れるなかれ。映画の基本設定として批評性を、圧倒的に感性の問題として扱う。

映画は、そのための暗室と、洞窟のような複合体にてスクリーンに光がともる。

最後は、ドラゴンボールで、身体が入れ替わるやつ。

映画の、たった1つの嘘は、SF的要素を1ついれる事で、ベラはその嘘を、嘘とした上で、人間について人生について、瞬間の真実を、過去のシュミレーションされた物事を色々考えるのです。

そこに必ずしも、因果関係は必要ない。少年ゴクウの純粋です。

すべては、二項対立であり、現実は映画ではなく、されど劇的なのは、こういう作品に出会うことです。

最高。

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