新書大賞2024は、20冊読む?

1位になるのは理由がある。『言語の本質』。

生成の場合。それは言語習得がオノマトペの例えばドューンという発話に始まるように、哲学的な発想法によって深まる。

それは、何か前に向かう力を感じます。

関連する野矢さんは『言語哲学がはじまる』。私は「ラッセルがすき」でまとめますが、現代思想入門の哲学史を補うものでして、超重要です。

4位。『Z世代のアメリカ』。これは2位東浩紀氏と、3位客観性を補うものとして、アメリカ思想を踏まえて世代論は若さについて、ぽかぽかするような気持ちがします。

Zに表象されるニュー・レフト的な感性は、論理的な明晰さで、これは直接に倫理に影響すると私は思います。矛盾する言説は、倫理的な問題を起こしやすい。

7位、8位が戦前とウクライナ戦争。こちらは、持続する問題意識というのが現れていそうです。

対して12位國分さん『目的への抵抗』は、時事的な側面が強く問題意識という点では過小評価されてしまったのかもしれません。

ポイントとしては、アーレントからアガンベンの流れは、ドイツ観念論的(思想史としては古い)で、ドゥルーズ研究者としての國分さんとは、立場が違う。

これは政治性の強度としてアーレントやアガンベンを(しぶしぶ)用いている思われます。フランス現代思想は、脱構築的な政治として難解すぎる。

主体(主語)を全面に打ち出す。(17位の斎藤幸平氏は主体の現代思想家です。)

最後に、16位宇野重規さん『実験の民主主義』を19位『近代美学入門』とくくります。

宇野さんは、保守主義を重視して、いわゆるアメリカの共同体主義とは異なる思想を語ります。

これは、正義のロールズからサンデルの流れで、議論される事のプロセスは重要だが、今日では議論する事ですら成立しないのではという問題意識だと思います。

私見では、リベラリズムの前提(ロールズは包括的リベラリズムで合意事項を限定する)が、社会で活用できるのなら、比較的マシな社会になるとは思います。

生成AIの倫理と、似たような問題点があり、1度インストールされてしまった社会は、もう2度と元には戻れない。

保守主義的な問題意識は、何もしない事ではなく、ゆっくり考える事ではあります。

『近代美学入門』井奥さんは、カントから保守主義者バークのアート論を用いて説明します。

このあたりの独創性(バークでアートですか?)を考えると、社会はどうあるべきか。アート的な社会は、どう形成されるのか。

これについては、来たるべきZ世代以降の問題でもあり、一方の希望は他方の絶望になるが、この点で新書大賞ベスト10の10冊よりも、ベスト20の20冊に注目したい。

物量ではありますが、これについて考える事の重要性について考えたいです。

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