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黄昏(たそが)れる才能 『めがね』

こんにちは、石川由弥子(ゆみこ)です。

私の好きな映画の第1位は先日ご紹介した『かもめ食堂』ですが、その次に好きな映画はこれも同じく、荻上直子監督の『めがね』です。

↓『かもめ食堂』についてはこちらをご覧ください↓

『めがね』もゆるりと観れる作品で、与論島のゆったりのんびりした島の風景とあいまって、とっても癒しです。登場人物全員が眼鏡をかけているのですが、加瀬亮くんの眼鏡がとても素敵なので、それにも注目してもらえると良いかもしれません。

今日は、なかなか旅行がいけないこのタイミングでこそ観てほしい、マイナスイオン映画『めがね』をご紹介します。

『めがね』のあらすじ

人生の小休止に、南の海辺の町を訪れたタエコは、不思議な一軒宿ハマダに宿泊する。しかし、観光する場所も何もない小さな浜辺の町で、マイペースすぎる住人たちに振り回されるタエコは、耐えかねてハマダを出て行くが……。フィンランドの日本食堂を舞台に、スローライフな日常を描いて話題となった「かもめ食堂」の監督・荻上直子、主演・小林聡美が、今度は南の海辺を舞台に人生を見つめなおす人々をゆるやかに描く。

『めがね』のおすすめポイント

とってもゆるい雰囲気の本作は、心が少し疲れた時におすすめしたい作品です。疲れてなくても、ゆったり過ごしたい時におすすめです。『めがね』のおすすめポイントを3つご紹介します。

1. 受け入れることの大切さ

ゆったりのんびり暮らしている町の住民たちは、せかせか働き生きてきたタエコとはどこか生きるスピードが違います。他人との境界を設けず、自然と溶け込める人には良いかもしれませんが、それが難しい人にはなかなかハードな環境。初めはタエコはそれが苦痛で仕方ありませんでした。

かくゆう私も、民宿ハマダであんな対応したらブチ切れちゃうな〜なんて観ながら思いました。(笑)でも同時に、温かくて奇妙な住民たちの懐に飛び込んでしまったら、きっと居心地がいいだろうなとも思いました。さくらさん直伝の創作体操「メルシー体操」をやってみたり、住民たちとごはんを一緒に食べてみたり、非日常を体験したくてきたのであれば、どっぷり浸かってしまう方が絶対にいい。その方が、きっと生きやすく、いい体験ができる、とタエコを見てそう思います。

2. たそがれる価値

観光するところもない、やることもない、そんな町でみんな何をしているのか。それは、「黄昏(たそが)れる」こと。最初はたそがれることができなかったタエコも、奇妙な住民たちと過ごすなかで自分なりの「たそがれ」を身につけていきます。「たそがれる」コツは、「昔のことを懐かしく思い出してみたり、誰かのことをじっくり思ってみたり」だそうです。

日常生活の中で「たそがれる」ことを忘れていたなあと、私はこの映画を観て思いました。私が見つけた「たそがれる」価値は、「ありのままを受け入れること・自分自身を見つめ直すこと」。時間や仕事に追われる現代人こそ、たそがれる時間、必要だと思うのです。

3. 自分の居場所

初めは居心地の悪さを感じていたタエコですが、いつしかこの場所がタエコにとって大切な場所になります。白い砂浜、海の家、青い海、寄せて返す波の音、そしてサクラさんのお手製のかき氷。

いくら真面目にやってても休憩は必要

と、ハルナが言うように、ふっと心を緩める場所は私たちにはきっと必要で、1つでもそういうところがあったら頑張れるなと思いました。

心が戻る場所

ビルもコンビニも何もない、あるのは豊かな自然と穏やかな時間だけ。肩に力が入っている時、ふと力を抜きたい時、何も考えずに観れる映画です。「自分とは何か」なんてたいそうなことではなく、「あるがままを受け入れ、その時を生きる」。ゆるい住人たちにいると、あくせく働いている自分は何て小さいんだろう〜と思います。皆さんにとって、疲れた心を癒す場所は、どこですか?

ではまた〜

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