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「植物考」(藤原辰史著、生きのびるブックス)

読了日:2023/2/19

日経新聞書評より購読。
浅草(田原町)の素敵な本屋(Readin’ Writin’ BookStore)で購入しました。

購入してから知ったのだが、著者の本を読んだことがあった。「トラクターの世界史」:このタイトルはそそられる、買わずにはいられない。

なんか不思議な体験だった気がする。内容が不思議ではなくて、書かれていることは明瞭なのだが、なんとなくふわりとした感覚に包まれる。’読ませる’書物というのはあるものだが、いわゆるそれとは異なる’読む’と’体現する’(に近い)を同時に味わえるというか…著者自身は文系/理系にカテゴライズされない書物を目指したとあるが、それも影響しているのだろうか。
そして、とても良い本だった。

植物のありようを植物(静物)/動物という観点ではなく、生きもののありようを人間視点から考察するものであるが、単なる植物の観察とは歩みが(筆の運びが)違う。
詳細はもちろん割愛するが、感覚の枝葉がアート分野へも触れる。人間の植物を見る目、植物から感じられる副次的な現しなど、稀なる感性と考察だと思う。

先生の講演などあればぜひ聴いてみたいと思う。本書のようなテーマはありながらフリーテーマのような自由な語りがあれば、体験してみたいものだ。

著者は農業、食に関する歴史を専門とする京都大学の先生。
表紙カバーは石内都による[Naked Rose #9]。



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