料理本から著者のコンセプトを読み解く〜料理本レビュー第一弾〜

私自身、料理本はたびたび購入するのですが、
当然どの本にも個性があります。
特に大型本(日本だと4000円以上するような本)が
好きでついつい購入して読んでいます。

私が料理本を読み解く中で意識しているのは
著者が大事にしている基本概念・基本コンセプト」です。

細かなテクニックを参考にすることはありますが、
レシピ自体を求めて買うことはあまりしてません。
というのも、私が知りたいのはレシピではなく、
色んな料理で使える基本コンセプト・基本技術」だからです。
(かなり科学的な本になれば「基本知識」になります。)

というのも
レシピ自体を覚えてもあくまでその料理しか作れないですが、
基本コンセプトを読み解いて、それを習得できれば
「普遍的知識・技術」として色んな料理に使える
からです。
ここが料理のウデを上げるために必要な考え方かもしれません。

この基本コンセプトを読み解くには
レシピを個々で見るというよりは
複数紹介されているレシピを全体的に見て
「共通している部分を探す」
という感覚でしょうか。
(もちろん何回かはレシピ通りに作ってみるのも大事かと)

というわけで私がここ最近読んだ中でオススメの書籍をご紹介したいと思います。(結局内容は本のレビュー(笑))


まずは比較的ライト(値段的にも内容的にも)なものから

⑴ フレンチシェフが作る「人生最高!」の肉じゃが(田村浩二)

私自身、(勝手に)尊敬している方の一人である
田村浩二さんの料理本です。
田村さんの本はコンセプトが非常にわかりやすいですね。
「塩と昆布だしで旨味を引き出す」「香りをうまく引き立てる」
この二つがメインだろうと思います。
(プラス話題性があるからチーズケーキを入れた、という感じでしょうか)

これはどんな料理でも使えるものですし、何より手軽で手間のかかるものが少ないので取り入れやすい点が良いですね。
(おそらくこの辺りも考慮されているのだろうと思います。)
説明もわかりやすく添えられているので
料理初心者の方も比較的手を出しやすいのではないかと思います。

注意点を挙げるとしたら
「塩分の過剰摂取にならないように注意しましょう」
という点でしょうか。

対策としては、
① 「昆布だし」「味の素」のような旨味成分を加える
 →塩味と旨味の相乗効果で塩味を引き立てることで塩の使用量を減らす
② シンプルなサラダ(塩味をつけていないもの)を添える
 →食事全体の塩分量を減らせるところで減らす
  (ドレッシングを減らす・使わないなど)
③ 余計な脂肪分、糖分の追加を避ける
 →食欲の暴走を抑えて、食事量自体を減らす
といったところが考えられるでしょうか。

あと個人的に気になった点としてはごま油の使い方でした。
具材を炒める中でごま油を使用するという内容になっていますが、
油の酸化という観点からも、香りという観点からも
炒める時よりも加熱が終わってからごま油を加える方が
油の酸化を防げますし、香り成分も揮発せずに済むので良いのではないかと
思った次第です。(酸化は加熱調理の間必ず起こってしまうので)

noteでもご自身の考えを発信されていて非常に参考になります。
今度チーズケーキ本を出されるみたいなのでそちらも楽しみですね。


(2) 新しい料理の教科書(樋口直哉)

いわゆる定番料理と呼ばれるメニューのレシピを
「科学的根拠」に基づいてアップデートすることを
提案している料理本です。

コンセプトは
「科学的に料理を理解する」という点でしょう。

私の第一印象は「理系料理男子向け」だなというイメージでした。
非常に私好みで、似た感覚を感じております。(笑)

理屈で説明されるのが好きなタイプの方には非常にオススメです。
ものすごく丁寧に理論を説明されているので、
納得して料理に向き合えるのではないかと思います。

料理のプロセスを科学的に理解することの良い点は
「様々な料理への応用がしやすくなる」
という点が
間違いなくあるでしょう。

例えば、ハンバーグの肉だねを作るときに
「塩」を加えることでミオシンの変性を引き起こして
網目構造を作る
というテクニックがありますが、
これは何もハンバーグに限らず、
肉だねを作るもの(餃子、パテ、つみれなど)に共通して使える
というのは容易に想像がつくかと思います。
あとは薄切り肉で巻いたりする料理(肉巻き)などにも
肉に塩をふっておくことで剥がれにくくできるだろうと思います。

主婦的な感覚をお持ちの方は
初めから文字をきっちり読むというよりも
レシピだけザッと見て、
気になったレシピを試して、
気にいったレシピに関する説明をあとで読み返してみる
というのが良いかもしれません。


以上、2作紹介させていただきました。

思ったより長くなってしまったので、
また別のタイミングで第二弾レビューを書こうかなと思います。

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