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課題を見極めるためには何が必要か

課題とは何か

課題とは何でしょう。

そう問いかけて返ってくる答えでありがちなのが「売上を伸ばしたい」「利益を増やしたい」です。

残念ながらこれは課題とは言いません。企業活動の当たり前の目標です。言い換えると、企業の存在意義そのものです。

課題とは、理想と現実とのギャップをもたらす原因となる要素(壁)です。

例えば、会社の理想像(目標)を売上100億/利益率10%と掲げ、現状が売上80億/利益率5%であった場合、売上+20億/利益率+5%の達成の壁となっている原因が課題、ということになります。

壁となっている原因を因果関係として特定できる場合は、それを実行するための手段を講じていくことになります。やるべきことは分かっているため、対応は人金物の柔軟な機動的運用に帰結します。

問題は、それが因果関係なのか相関関係なのかを特定できなかったり、「おそらくそうではないか」という推測で課題設定をせざるを得ない場合です。

この場合は、「仮説」を立てた「仮説検証」という大筋の中で、PDCA型か、改善を積み重ねていくアジャイル型の進め方が適切なのかを、商品性・企業の強み弱み・分析データの有効性・日程などに基づき決めていきます。

仮説検証の進め方がブレると迷走します。

迷走は、マネジメントへの不信感とモチベーションの低下に繋がるので、戦い方(戦術)をスタッフ全員としっかり共有することが大切です。

課題の見極め

仮説を立てるにあたっては、「課題の深掘り」を行います。

課題が大きく漠然としたままでは、漠然とした応答しか得られません。
何をやってもイマイチな状況に陥り、次の一手の判断もできなくなります。

課題の深掘りは、下記の観点などから多角的に見極めていきます。

・4P/4Cによる、商品(サービス)・価格・流通・販促の観点
・3C分析から、顧客(市場)・競合の観点
・SWOT分析から、強み弱み・外部要因・内部要因の観点
・バリューチェーンの可視化から、強み・流通・販促の観点

など。

お気づきの様に、これらは全てマーケティングの基本で学ぶことです。そしてこの基本がいかに大事かというです。

さらに言うならば、これらのマーケティングの知見を社員が共通認識と有しているならば、自ずと、社員一人一人が当事者として自発的に課題解決に向き合う土壌となっていきます。

※脱線しますが、社員教育は、作業を教えることではなく、事業の課題解決のために必要な知識と意識の持ち方を備えていただくことです。

話を課題の見極めに戻します。

3Cや4Pの様なマーケティング分析ツールを実際にやっていただくと、ほとんどの場合、うまくできないか、内容が薄いことが多いのに気づきます。

これは、マーケティング分析ツールに効果がないのではなく、自社のビジネスを深く分かっていないと言うことを意味しています。だから、課題を見極められないのです。

そして、課題の見極めのプロセスを省いた結果、売上増の結果だけを求めてしまうことで、あれもこれもと手をつけ、生産性の低い業態に陥ってしまうのです。

蛇足

日本の企業は、総じて、物作りは得意ですが、マーケティングは苦手です。マーケティングとセールスとを混同したり、統計学が必須であるにも関わらず、文系の分野として見做されたりしており(昨今はサイエンティストの分野です)、マーケティングの理解そのものが稚拙なままです。なので、日本企業の多くが、作った製品は好評を博すがビジネスは失敗を繰り返します。

以前、前職で米国の企業を数社訪問した時に、その意識の違いに驚きました。米国は、昔からコンセプチュアルな提案が得意で、現代のプラットフォーマーを米国企業が独占していることはご存知の通りです。そして、その源泉は、彼らのマーケティングへの深い理解により得られていることは言うまでもありません。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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