見出し画像

女性インナーについている小さなリボンのこと

長女が小学4年になったころだったか、インナーについている小さなリボンが気に入らないと言い出した。

「ついていないものにしてほしい。」
「そうか、そうだよね。」
「あなた女の子っぽいものが苦手よね。」

そして、小2の次女も最近同じことを話してきた。

リボンがついているものはイヤだな。」
「お姉ちゃんとおんなじだねえ。」
「あのリボンが可愛いと思うけどなあ。」

と子どもに言いつつ、
ふと、自分のインナーをみつめると、
リボンがないもの選んでいるじゃないか。
大人インナーは選択肢は増えるが、
説得力なし。


小さなリボンとは


ショーツやタンクトップ(この記事では総称して「インナー」とする)についている、小さなリボンとはこれだ。

インナーの小さなリボン
インナーの小さなリボン

この写真は黒や紺でシックだが、
一般的には、
生地の色に合わせたリボンがついている。
ピンクや水色といった明るい色が多い。

女性のインナーは、
子どもから大人
まで、
必ずといってよいほど、
前中央部分に小さなリボンがついている。
正しくは、ついていることが多い。

昭和の子ども時代を思い出してみても、
女性用には必ずついていた、
と記憶している。

そのため、
当時はそれが普通だと思い込んでいて、
疑問にも思っていなかったかもしれない。

それは、
女の子にはピンク、
男の子にはブルー、
というような、
性別に基づく固定観念のように。

子どもたちから言われたことで、
たしかにこのリボンは一体なにか。」
考えてみたくなった。

リボンの意味を考えてみる


リボンをつける意味はなんだろうか。
まず、自分で思いめぐらしてみた。

女の子っぽくて可愛いから?
裏表の目印? いや間違えない。
前後の目印? うん、あるかもしれない。

必ずつけるということは慣習で、
そこに理由なんてないのか。
歴史的になにか理由があるのだろうか。

モヤモヤがわいてくる。
ちょっと調べてみよう。

リボン誕生の経緯とは


昔からずっとあるから、
何か深い経緯があるのかもしれない。

どういう経緯でリボンがついたのだろう。
ざっと調べてみた。

あくまで推測情報でしかなかったが、
こんな情報があった。

最も多かった答えは、伸縮素材が開発されていなかった当時、ショーツを固定するため、レースの穴部分にリボンを通して前面中央でリボン結びをしていた名残だろうという。
さらには、まだ電気が通っていない時代、女性たちは夜明け前から起きて身支度をする必要があった。そのため、ろうそくのほの暗い明りの中でも前後がわかるようにリボンがついていたそうだ。

https://news.nicovideo.jp/watch/nw10105680
ニコニコニュースより

なるほど。
経緯のひとつには、昔のショーツの構造が関係しているのか。

ショーツの歴史を調べてみると、こんなページがあった。

この記事の5ページ目に掲載されていた写真がこちらである。

左が1918年に発売された2×2リブ編みのショーツ、右は現在のショーツ。
photo: PETIT BATEAU

たしかに、リボン(紐)がついている。
推測の一つは、これだ。
ショーツを固定するためにリボン(紐)を通してリボン結びをしていた
この名残だということか。

日本では、
戦後に洋装が広まってきてようやく、
ショーツが普及し始めたというから、
日本に普及したショーツの原型もここにあるのだろう。

今はどういう意図でつけているのか


かつてのように、
固定するために紐でリボン結びしていた、
あるいは、
電気もなく暗い中前後がわかるように、
という必要性は、
現代では求められていない。

では、今現在はどういう意図で、
リボンをつけているのか


ワコール広報・宣伝部に、
こんな質問をした記事も見つけた。

――ショーツの前身頃に小さなリボンが付いていることが多いのですが、これはなぜでしょうか?
ワコール広報・宣伝部 デザイン上の理由であり、リボンのついていないショーツも多数存在します。
――ネット上で、このリボンが付いている理由は「暗くても前・後ろが判断できるように」などといわれていますが、これは本当でしょうか?
ワコール広報・宣伝部 少なくともワコールでは、そのような意図で付けているわけではありません。

永遠の謎解明!「なぜショーツにはリボンが付いているか?」女性用ショーツに関する話
マイナビウーマンより

デザイン上の理由か。
デザインだと言われると、
それで疑問も終わってしまうが、
そういう結論にいたった。

たしかに、機能面ばかりではなく、
ファッションやデザインは、
美的な要素や装飾を含むことが多い。

リボンはその一部として利用されている。
この結論は理にかなっているが、
それにしても、
定番化しすぎていたようにも思える。

無印良品のインナーの変化


子どもが着心地が良いというので、
無印良品のキッズインナーをよく買う。

無印良品の女児ショーツには、
以前は小さなリボンがついていた。
しかし、
数年前から、ショーツからリボンがなくなった。

現在のデザインはこちら。
リボンはない。

無印良品のキッズインナー

長女のように、
「リボンいやだあ」
という声があったからだろうか。

一方で、
商品レビューを読むと、
「シンプルすぎるからリボンをつけました」
という方もいらした。

なるほど。
そういう方にとっては、残念だったんだなあ。

* * *

小さなリボンがついた女性インナーは、
長い間、
可愛らしさや繊細さを象徴してきた。

デザインも多様性の流れで、
性別に関係なく、
可愛らしいデザイン、
シンプルなスタイル、
スポーティなアイテム、
など、
さまざまな商品が展開され、
選択肢は広がった

小さなリボンがついていない商品も
かつてより増えていると思う。

しかし、リボンが好きな人たちにとっては、
その伝統的な可愛らしさが、
もの足りないと感じているようだった。

長女のように、
リボン付きはイヤだとなったときには、
リボンがついていない商品も選べる世の中。

多様性と自由が楽しめる時代になってきたと、
女性インナーの小さなリボンから感じた。



小さなリボンについて、調べてみたお話でした。
本日もお読みいただきありがとうございました。


この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?