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言葉の宝箱 0530【ぜったいに正しい、か。難しいな。そんなのってあるのかな】

『ぼくたちのP(パラダイス)』にしがきようこ(小学館2018/7/4)

主人公の中学生葛城雄太は人には言えない弱点があったせいで人が苦手。
友達がいない。夏休みにおじさんの別荘に行くことになったが、
そこは想像していたのとは全然違った。
5時間もの辛い山登りの末に辿り着いたのは電気も通ってない避難小屋。
おじさんは大学の先生で山の保全について研究、
この山で生徒達とフィールドワークしていた。
山で出会った若者達のドロドロになりながら作業をしている姿に
雄太もつい引き込まれてしまう。
最初は「こんなはずじゃなかった」と覚めていたのだが、
一緒に作業するうちに自分の居場所を見つけいく。
「山にのぼると、人が変わるってことがよくあるけど」って、
おじさんが言う通り、雄太もそうなのかもしれない。
学校ではあまり人とは関わらないように一人でいることが多かった
雄太が山での生活で少しずつ変化していく姿が描かれている。

・まわりで話されていること、起こっていることに全神経を集中する。
目の前で話しているのはどんな人なのか、
まわりの反応を感じとりながら判断する。
早くなれなくてはとあせる。
いい人だと思われたいと努力する。
弱みを見せまいと気をはる。
プライドだけは人一倍強い P9

・ぜったいに正しい、か。
難しいな。そんなのってあるのかな。
ほかの意見が入りこめないっていうのは、とても危ない気がする。
相対する意見があって、当たり前だ。
その中でもがいてくことで、考え自体が強くなっていくんじゃないかな。
わかろうとしたり、疑ったりすることが大切なんじゃないかな P165

・わからんことがわかったって、そりゃ、すごいことやぞ。
わかろうとする最初の一歩がわからんていうことやからな(略)
わからないということは、
わからない自分がだめなんだと今までは思っていた(略)
これからわかればいいのだ P172

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