ある日10歳の少女あすかを連れて訪ねてきたキャバクラ嬢の由希は札幌に暮らす片原修一に「先生、この子を母親の処まで連れて行ってくれないかしら」と迫った。あすかは高校教師だった彼の教え子鈴崎凜子の娘で由希は凛子の親友だという。凛子は現在、帰省した熊本で緊急入院しているらしい。なぜ「僕が？」と応じる修一に、かつて二人が特別な関係だったことを持ち出す由希。それぞれが抱える大人の事情が絡み合い、札幌から熊本まで２千キロ日本縦断７日間の奇妙な旅が始まった。


・人生何が起こるかわからない　P51

・水商売に向いている女っていうのは存在する。
その水の中を自由に泳ぎ回る女と、
ずぶずぶと泥に沈んでいっちまう女の二つに分かれる　P90

・学校の先生の仕事っていうのは、
生徒に、
夢と希望はこの世にちゃんとあるってことをわからせることなんですよ。
教育っていうのはそういうものなんです。
＜教えて、育てる＞んですよ　P92

・この女はバカなフリをしているだけで、いろいろと鋭い。
学校の成績は悪かったかもしれないけれど
生きる知恵は持っている女だよ　P96

・自分が大好きなものに対してだけは素直になれるんだ。
その大好きなものを裏切ることは、たとえどんなことが起ころうとも、
根っこのところじゃ決してできないんだ　P124

・いつか失うものは、持ちたくない。
いつか消えてしまう愛情は、感じたくない　P142

・お金を節約できる女とできない女がはっきりわかれているんだ　P146

・優しいけれどもケチくさい男かもしれないわよ。
そういう男は出世しないからね　P148

・ちゃんとした日常があって、初めて非日常を愉しめる　P152

・極めようと思う人間は、もしくは極められる人間は
ちゃんと考えられる人間だ　P203

・赤の他人が見内の揉め事に手出し口出しして
ケリをつけられそうな明確な手段なんて、二つしかない（略）
暴力と法律さ（略）
まぁその他にも大きな方法は二つあるんだがな（略）
ところが後者の二つは、いちばんややこしいんだ（略）
金と、愛だ　P225

・世の中の様々な問題ってのは、
そのほとんどが＜家族関係＞から生じているんだ　P231

・嘘はいけないって。ゼッタイに嘘をついてはいけないって。
でも、大きくなったらわかるけど、嘘には良い嘘と悪い嘘があるって。
だから、嘘をついたからってすぐに怒ったらダメだって　P237

・幸せってのを摑むのがどんなに難しいか　P256