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女性活躍!にどうしても白けてしまう理由

「女性活躍!」という言葉が躍り続けたここ5,6年。
活躍する前に、世の中はすっかり言葉に飽きてしまっている気がします。

私は40代前半。
男女雇用機会均等法で、ガツガツ働くごく一部の女性上司。
バブル期で軽く明るく、キラキラ働く女性の先輩たち。
そんな皆様を見上げて、ヒエヒエの氷河期に就職した私。

「あれ?活躍どころかドアも閉まってるんですが…ま、いいか!」と流すこと20年。周りを見れば、40代独身派遣社員、親介護中ワーキングプア、超絶多忙ワーキングママ、自分探し転職漂流者、と、なかなか社会問題見本市のようなことになってます。いったいどうしてこうなったんだ、この国は。


一方で、随所で耳に入る、「女性は優秀だ」という男性からのお褒めの言葉。新卒採用で、一般職の子たちを評して、上司が女性部下を評して、プレゼンの場面で、役員が全社会議で。「女性は優秀だ」とみなさん褒めてくださいます。
女性に気を遣ってそうおっしゃっている部分もあるのですが、みなさん恐らく「本気で」そう思っているような節もあります。

でもね、じゃあ優秀な女性中心に採用するかといったら、そうではなく。部下を出世させると言ったら、そうではなく。ご本人も気づいていないところで、「優秀だけど、男並みには働けない可能性があるから、減点」という意識があるのではとうがった見方をしてしまいます。

ここでいう「男並み」とは、労働時間と労働期間のこと。女性の人生は、家庭に左右されがちです。私のように子供がいない夫婦であっても、小さな家の手続きや介護はどうしても負担が大きくなりがち。
そして、物分かりがよく優しい男性上司たちは、「家庭を優先してね」とたいへん尊重してくださいます。それは、ありがたいことでもありながら、第一線からそっとわき道にいざなう行為でもあります。


…古いですね。
ただ、私が今生きている世界は、まだ昭和がじっとりみっちり沈殿しています。男性は青、女性はピンクでほんのり色分けされ、空気の中にそれぞれの立ち位置がバミられて、与えられた役割を阿吽の呼吸で演じる世界。
そのルールに従っていれば、男性は紳士で女性は淑女で、麗しく温かく尊重しているように見える世界。

その舞台設定を変えることもなく、「女性も男並みに活躍すべし!」と号令かけられても。この舞台では、男性がリーダーとしてスポットライトを浴びて、女性がトロフィーになる筋書きが主流です。
女性がスポットライトを浴びるには、「男装する」のが手っ取り早くて簡単。見た目は女性らしく装っても、行動や言葉は男性のルールをきれいに踏襲しつつ、女性というちょっとしたスパイスを添えて、差別化する。


世の中が望む、「女性活躍」に応じるために何をすべきかは、おぼろげながら分かっています。でも、この舞台に乗って演じ続けるモチベーションはありません。あまりにも、女性にとって難しくデザインされた世界。挑んでも挑んでも、跳ね返され笑われる世界。
男装の麗人にも、主演女優にもなれず、観客兼小道具で参加するばかりでした。でも最近、劇場の外がなんだか明るく、騒がしく。もっと違う舞台の幕が上がるのであれば、飛び込みたい。

皐月、芽吹きの季節です。

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