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Webライターになりたいなら、「〜といえるでしょう」はやめなさい

とても個人的な好き嫌いの話もするので、今回の投稿は「お前が言うな」と思われる方も多いかもしれません。その場合は読まずに立ち去ることをおすすめします。

私は今、複数の企業でWeb担当をしており、オウンドメディアの記事作成や、外注記事の校正、プレスリリースの作成などを行うことも多いのですが、ここ数年で急にひどい文章が増えてきたな、と思うようになりました。なんて言うのか、ビジネス書以外の本を読んだことありますか?と失礼ながら思うような文章が多いんです。

大手企業だとあまりそういうことはなくて、スタートアップ系の若い企業に多い印象です。もしかすると文章を添削してくれる人が社内にいないせいなのかもしれません。

私は質の悪いオウンドメディアの乱立を心から憎んでいるので、この投稿はそういうメディアの批判にもなってしまいますが、Webライターの質が上がるといいなあ、そして1文字いくらではなく、書いた文章に対して正当な報酬が支払われるようになるといいなあ、という思いでこれを書いています。

基本的に1文字いくらの仕事はおすすめしない

オウンドメディア全てがそうではありませんが、質の悪いオウンドメディア用の記事はSEO目的であるために量産を求められ、内容は二の次になっています。きちんと校正や校閲もされていないので誤字脱字はまだいい方で、内容が嘘、というケースも少なくありません。

そういうメディアでは、記事の多くが1文字1円(最近はもっと安い案件もあるみたいですね)という依頼のもとで書かれており、報酬を少しでも上げたいライター側の工夫なんでしょうが、文字数を稼ぐようなおかしな言い回しや語尾が目立ちます。

ライターになりたいと思った時、手っ取り早く実績を作るためにこういう依頼に手を出す人もいるでしょう。でも、質の悪い記事を納品することで作られる実績ってなんだろう?と思います。それならブログやnoteなどを利用して質のいい文章を書き続けた方がよっぽど実績になるのでは?

ライターになりたいならオウンドメディア文体からは離れるべき

外注記事で単価が安めだと、オウンドメディア文体のライターが非常に多いです。あれをテンプレにして書くと楽なんだろうな、というのは理解できますが……。

※オウンドメディア文体:勝手に私がそう読んでいる文体。おそらく1文字数円という条件で作られた記事であるため、文字数稼ぎの不自然な語尾や言い回しが多く、記事自体の質も非常に低いことが多い。「〜といえるでしょう。」をやたら使う傾向がある。

もちろん、いい記事が欲しかったら企業側も単価を上げろという話ではあるのですが、それは内容の話であって、ライターを名乗るなら最低限の構成力と文章力は身についていないと。数千円でも報酬が発生する記事なんだから、そもそも文章がおかしいのは論外でしょう。

質の悪いオウンドメディアの乱立で起きた二次災害?

オウンドメディアの乱立で安価なWebライティングの仕事が増えて、買い叩く企業も、安価に仕事を受けて雑な記事を量産するライターも、どちらも悪いと私は思っています。そしてそのオウンドメディア文体をスタンダードだと思い込んでいるのか、同じような記事を書いてくる方を以前に比べて多く目にするようになりました。

オウンドメディア文体が増えたのは、二次災害だと私は思っています。質の悪い文章を垂れ流し続けた質の低いオウンドメディアの罪……。

文章はわかりやすく書く癖をつけよう

「〜です」で済むなら「〜です」でいいんです。文章のキレもよくなるし。同じ語尾の繰り返しは芸がないし読みづらくなるのでそこは工夫すべきですけど、「〜といえるでしょう」の連発は、キレの悪さに違和感を感じます。文章に余韻はあっていいけど、残尿感はいらないんですよ。

文章をわかりやすく書きたい方は、こちらのnote記事がすごく参考になると思います。

ライターをやりたいならオウンドメディアの記事だけは絶対に参考にするなと言いたいです。それよりもビジネス書以外の本を読みましょう。

ビジネス書は難しい知識をわかりやすく要約しているものが多いため、知りたいことの概要をつかむことには優れていますし、知識がついた気になるという点でも素晴らしい書籍ではありますが、文章力の底上げにはあまり役立たないと思います。

個人的には文章力を鍛えたければ文学作品をたくさん読むのが一番だと思っていますが、文学作品を選ぶときには「出だしの一行で続きを読みたいと思うかどうか」「音読しても美しい文体かどうか」の二つを重視すると、ハズレが少ない気がします。あくまでも私の感覚で、の話ですが。

今回は私が、インターンに文章を書いてもらうときに必ず読むべき本として渡していた3冊の本をご紹介します。有名な本ばかりなのですでにご存知の方もいると思いますが。

そういえば「紹介します。」っていうのもオウンドメディア記事によくある言葉でした。

表記ルールの確認に便利な『記者ハンドブック』

新聞などの表記ルールが書かれている『記者ハンドブック』。これ、めちゃくちゃ便利ですよ。

記事を書く上で文字の表記は重要ですが、経験が浅いライターだと、そこが疎かになっている人が結構いるように思います。

私もまだまだ間違えるので偉そうなことは言えませんが、「ハードウェア」だっけ「ハードウエア」だっけ?とか、「ウィルス」だっけ「ウイルス」だっけ?とか、迷った時はこれを必ず見るようにしています。

日時の書き方や紛らわしい社名や地名、登録商標と言い換えなどさまざまなことが書いてあり、とても参考になりますよ。

文章のバリエーションを増やすなら『文体練習』

レーモン・クノーの『文体練習』は本当に素晴らしい本ですよね。1つの事象が99通りの文章で書き分けられています。なんてことのない風景が99の作品になる素晴らしさ、知らない人はぜひ読んでいただきたい一冊です。

文章のバリエーションを増やしたいと思う人におすすめです。

そもそも文章を書くってどういうこと?『読みたいことを、書けばいい。』

文章術とありますが、この本はそもそも「文章を書くということはどういうことなのか」についてとてもわかりやすく書かれています。

私の大好きな作家、山田詠美さんも「読みたい本が書店になかったから書くことにした」とおっしゃっていたと記憶しているのですが、読みたいものを書くって結構大変なことなんですよね。

「読みたいことを書く」を、「書きたいことを書く」に変換する人が一定数いらっしゃるみたいですが、読解力がない時点でライターには向いていないんじゃないのかなーと意地悪なことを思ってしまいます。

今回は好き嫌い丸出しでごめんなさい

好きなものについてだけ書いていきたいし、嫌いなものについては基本的には書きたくないんです。

私が嫌いなものを好きな人もたくさんいるでしょうし、本来、私の「嫌い」を人様に開示する必要はないと思っているからです。

でも、Webライターの質が全体的に底上げされれば、これまで以上にネットで素敵な文章をたくさん見られるようになるだろうし、そうなるといいなーというとても個人的な願いのもと、書きました。

でもこういうことを書くのは少し疲れたので、美味しいおやつとかお茶とか、好きなものの話を次回は書きたいと思います。お気に入りのお茶が廃盤になっていることを知って泣いている今ですが、リンデンバウムのチョコクッキーが美味しいから生きていけます……。ありがとうリンデンバウム。

リンデンバウムのチョコクッキーって何?と思った方はこちらを。


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